テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『妖様へ願事』〜人を呪わば穴二つ〜
第二章『欲まみれの願い』
第一話 ミッツノノゾミ
『お腹が空いたわ……。』
『お狐様でも空腹には抗えないのですね。』
『ユーハン…。貴方も同じはずよ。妖の好物は人間の魂。それがないと満たされない。』
私はユーハンから出されたあんまんを口に含む。
『こんな気休めのものじゃ、足りないのよ。』
もぐもぐ……。
『…ごくん。それとも、貴方が私の為に人間を狩ってきてもいいのよ?』
ユーハンの顎を撫でる。
『ご冗談を。貴方の舌は肥えています。私の選別でご満足頂けるものなどご用意出来ませんよ。』
『はぁ、つまらないわ。』
チリン、チリン……。
『噂をすれば…。お狐様、愚かな人間が貴方様にお願いをしに参りましたよ。』
『今回はお腹が膨れるといいのだけど。』
ふわりっと着物をたなびかせ鳥居を潜る。
『いらっしゃい。貴方の望みは何かしら。』
『お前が何か代償を払えば願いを叶えてくれる狐か?』
『無礼な人間ね。私無礼な人大嫌い。』
『っ、俺は貴族だ。お前が妖だろうがなんだろうが、関係ないね。いくらだ?いくら払えば願いを叶えてくれる?』
ドサッ。
『……はぁ。私が欲しいのはお金じゃない。』
クイッと指先で男の顎に触れる。
『お前の何か大切なものよ。私は人ならざるもの。妖。重い代償が伴うのは当たり前…それなのにこんな紙切れで済まそうだなんて。無礼極まれないわね。』
『ひ…っ。』
『妖の私に願いを乞うのだから、それぐらいして当然でしょう?貴方は私に何をくれるの?』
『…いいだろう。俺の願いを叶えてくれるなら、お前の望むものを全てやる。』
『偉そうな態度は気に入らないわね…まぁ、いいわ。貴方の望みを聞いてあげる。』
『本当か!?』
『えぇ。富でも地位でも、望むものをあげる。代償次第なら。』
『それなら、俺の望みを3つ叶えてくれ。』
『3つ?』
『やれやれ、お狐様は南の大地のランプの神様ではないのだが。』
『まぁいいじゃないの、ミヤジ。人間らしくて。』
『1つは…俺の見た目を美しくして欲しい。
見た目の通り俺はこんな顔だから女が寄ってこない。だから、見た目を変えて欲しい。2つ目は俺の長男をこの世から消して欲しい。俺は次男だから家を継ぐ資格がない。だからそれが欲しい。そして、最後は…。父と、母を消してくれ。幼い頃から兄貴ばかり贔屓して…目障りなんだ。』
『なるほど…貴方が払える代償は兄、そして、両親の命なのね。自分の代わりに家族を犠牲にする…人間らしいわね。』
『叶えてくれるのか…!?』
『…えぇ。貴方みたいな強欲な人間、初めてだもの。貴方、名前は?』
『ログラン・ヨリだ。』
『ログラン。貴方に刻印を刻むわ。』
『くぅ…っ。』
鋭い痛みが前身に走った。
『これで私と契約した証。逃げようとした時はその刻印が貴方を蝕むわ。では、まず1つ目…。』
私はボワッとログランの顔に狐火を灯した。
『ぐ、ぐぁぁ!!熱い!何を……っ!』
『ハウレス、鏡を渡してあげて。』
『はい。』
『っ、これが、俺…。』
『これで人間の女性が貴方に群がるんじゃないかしら。次に兄と両親…。』
私は薬を渡す。
『これはなんだ?』
『その薬を飲んだ後、鏡の前で兄の名前を唱えなさい。そしたら兄は此岸に連れていかれる。両親も同じように…。』
『これがあれば…邪魔な兄と両親を消せる…。おい、俺の支払うものは2人の命だ。俺からは取らないよな?』
『…えぇ。貴方からは取らないわ。』
『感謝する、狐の女。』
ログランは嬉しそうに去っていく。
『……クスッ。貴方からは…取りたくても取れなくなるもの。』
次回
第二話 ノゾンデタモノ
ぷち
23,131
#願いを叶える
ぷち
1,691
コメント
3件
ぷちさん、第二章お疲れさまです! 妖狐の「代償」のルールがじわじわ明かされていく感じ、すごく好みです。ログランの強欲さが人間らしくて気持ち悪いほどリアルで、逆に「ここからどう代償を取るんだろう?」とワクワクしました。最後の「取りたくても取れなくなるもの」…この含みがもう、次回が待ち遠しいです。