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「さあ、不穏な形で終わった第六幕! 全員失踪と言う前代未聞の状況だが、今回のゲストは誰だー!?」
「ガッハッハ!! 俺様、キラ・ドラゴレオだ!!」
「おぉー!! 倭国遠征編で、実は三年生の経験と立ち回りでいい感じに役に立ってたキラだー!!」
「おいおい、なんだその説明!! 俺様が倭国では一番役に立ってただろうが!!」
「いや、実際否めないんだよな……。流石はあの暴君のレオと張り合ってきた元王族だけはあるよな……」
「ふふん、まあな! じゃあこの俺様が、今回は特別ゲストとして、第六幕のおさらいをして行くぜ!!」
「じゃあ、早速一個ずつ解説してもらうぞ! 実は風の使徒だった倭国民の風間咲良が、俺たちの味方になるぜ〜って感じで始まった第六幕だけど、つまりは魔族はどんな能力を使ってて、咲良はどんな状況だったんだ?」
「まず、本当の風の使徒、エル=クラウンの能力は、他の人間の魂と融合し、そいつの感情、怒りや悲しみ、困惑などの感情を喰らうことで強化されてたんだ」
「だから、都市部の芯の強い衛兵、と言うよりは、発展途上でまだまだ悩みがちな咲良の方が、自身の強化にもなるし、取り込みやすかったってことか……。ちなみに、なんでエルは、そんな強力な能力があったのに、更なる強化が必要だったんだ?」
「それは、作中でも語られていたが、エルは元々、あの戦争で指揮官 リムル=リスティアーナを裏切る予定だったんだ。つまり、それまでは部下としてしっかり働く必要があった。だから、セノ=リュークの作戦を遂行する為には、本気で倭国を滅ぼす立ち回りを見せなければいけなかったわけだ」
「裏側の話だけど、だから魔族化しかけていた和国民たちを、キルロンドの増援と一緒に魔族化を解いてくれていたってことか……。魔族の契約だっけ? なんか、互いに攻撃し合えないんだっけか。でも、俺たち学生でもリムルを打ち倒せるように、アイツらなりのやり方でバックアップはしてくれてたんだな……」
「まあ、癪な話ではあるが、ずっと俺たちはセノの掌の上なんだ。魔族たちの援護がなければ、リムルに勝つことはできなかっただろうからな」
「と言うか、そのリムルだけど、本来は “氷の使徒” なんだろ!? なんで炎の力に目覚めてたんだ!?」
「そこは未だ分からない部分だが、セノが少し話していたのは、『リムルの回収』。倒す、ではなく、回収し、その能力の解明と、自分たちをリムルと同じ二属性持ちにするとかって話してたよな……」
「まあ炎を纏わせた時は絶望したけど、いいところで半魔族化に成功したレオに倒されたわけだけど……。あんなにレオが強くなってただなんて驚愕したぜ……。俺たちはみんなで力を合わせて、父さんやシルフさん、倭国統領やルギアさんの支援があってやっと氷を砕いたのに、アイツ一人で一撃だったもんな……」
「いや、それは少し違うな。確かに強くはなっているが、もしレオが一人で倒せるなら、魔族はわざわざ俺たちに倒させようとはしないだろう。まあ、ヒノトの “灰人の覚醒” も目的の一つだったらしいが、レオ一人では倒せていなかったと思うぞ」
「何か根拠でもあるのか? 俺は未だ、魔力を扱えるようになったの最近だから……あんまし分からなかったんだよな……」
「そうだな。これは魔族の会話を聞いた上での憶測だが、ヒノトの灰人の能力『魔族の弱体化』がかなり効いていたんだと思う。あとは属性相性だな」
「属性相性?」
「ああ。炎ってのは雷に特に弱いんだ。それでいて、レオの雷魔力は魔族の力でかなり膨大になっていた。リムルはヒノトの灰人の力で炎を放出させたものの、魔族の力は弱体化されていた。その中で、魔族の力をガンガンに強化して温存していたレオの雷は相性最悪だったわけだ」
「どちらにせよ……借りができたな。絶対に救い出してやるぞ…………! レオ…………!」
「まあ、本人にその気があるのか、だな。アイツ、何があったのか、すっかり魔族に入れ込んでいたからな。じゃあ後半は他の奴に任せるぜ! エルフ編は知らんからな!」
「えっ、ちょっ! 誰が来るんだ!?」
「はぁ……。面倒臭い……どうして僕が…………」
「キラの弟! キル・ドラゴレオ!」
「まあ、情緒不安定なリオン様や、失踪したルーク様が来るわけにも行かないし、仕方ない」
「エルフ帝国で何があったかはリオンから一応聞いてるけど、詳細説明を頼め……ますか……?」
「ああ、いや。兄さんと同じで、別に先輩だからって僕のことも敬語はいらないよ。そういうの苦手だし」
「お、おう、分かった! じゃあ、キル! エルフ王国は結局、“エルフ帝国” だったんだよな?」
「そうだ。結構前のことだったみたいだが、エルフ族は、エルフ王国とエルフ帝国で二分化され、キルロンドとその後も交友があったのは、帝国の方だったそうだ」
「それで、リオン、ルーク、キル、ニアの四人だけが会得できた力ってなんなんだ?」
「あれは “自己バフ” と言えば聞こえはいいが、自らのトラウマを彷彿とさせ、エネルギーに変える魔族の技だ。あの部屋に特殊な魔族の魔力でもあったんだろう。まあ、確かに強力な力ではあるけどね……」
「それで、ルークは結局なんなんだったんだ……?」
「まず、エルフ帝国の帝王、アザミ・クレイヴというエルフ族が、魔族と手を組んで真の族長を裏切ったんだ。そして、その妃、自分の妻を、更なる強化の為に国王ラグナ様を操り、ルーク様を孕ませた。ルーク様が幼少の頃にエルフ帝国に行っていたのも、アザミ帝王自らが扱くためだったんだろう。しかし、ニアと同じく記憶を消されていた。それが、今回の試練で記憶が蘇り、ショックで我々のことを忘れ、復讐の鬼と化したんだ。今までの戦い方はせず、見たこともない草属性の剣士になっていたしな」
「ルーク……。そりゃあ、リオンがあそこまで心配するわけだな…………。それで、どうして帝国にいた参謀や、騎士団長は事情を説明したんだ?」
「それは簡単だ。アザミ帝王に無理やり従わされてるからだ。あの人たちが真に慕っているのはかつての族長。僕たちに知らせたのも、この力を与えたのも、共にアザミ帝王と、その裏にいる魔族軍四天王より上位の一人、魔族三王家の一人、アダム・レイスを倒す為……」
「アダム・レイス…………。やっぱり…………」
「ああ。僕も倭国の事情は聞いている。アダム・レイスはシルフさんの父親で間違いないだろう。エルフ族と魔族の子供を作らせ、シルフ・レイスを生み出した。それだけじゃ飽きたらず、ルーク様もその被害者……と言うわけだ」
「許せねぇ…………。でも、だとしたらやっぱ、魔族に味方してるシルフさんの考えが分からない…………」
「半エルフとは言え、寿命は長い。あの人が何を見て、何を経験して、何を思っているかなんて、数百年しか生きられない僕らには予想もつかない。だが、可能性としていくつか考えられることはある」
「と言うと…………?」
「はぁ…………。お前はやはり、公式戦でも思ったが、頭の方はあまり良くないようだ……」
「よ、余計なお世話だよ!!」
「まず、今回お前たちが倭国で経験した『魔族同士の価値観の違いでの争い』だが、それが、アダムとセノの間にも起こっていたとしたら?」
「そうか……! 実際、リムルのことをセノは裏切ったわけで、アダムのことも倒そうとしているとしたら、シルフさんが協力を示す理由も頷ける…………!」
「そしてもう一つの可能性。まあ、こちらの方が希望的観測で望み薄ではあるが……。キルロンドのラスさんやルギアさんがシルフさんの行為をあそこまで簡単に受け入れていることが気になっていたんだ。もしかしたら……シルフさんは『キルロンドを裏切ったフリをして、魔族のスパイに行っている』と言う可能性……だが、こちらはあまり期待しない方がいいだろうな……」
「お前……頭いいな!! 確かに……いくらエルフ族が長寿でシルフさんの気持ちになっていたとしても、受け入れるのが早すぎるもんな……。わぁ〜〜!! この後、どうなっちまうんだ〜〜!?」
「そして、もう一つお前がバカなことだが、今は他人のことを気にしている暇はないと言うことだ」
「ほぇ?」
「はぁ…………。パーティ編成を組んだ僕たちキルロンド生たちは、今どこかに失踪したんだぞ? まずは、僕たちがどうなってしまうのか……だろ……?」
「あぁ!! そうか!! 第七幕……俺たちは一体、どうなっちまうんだ〜〜!?」
「はぁ…………やっぱりバカだ…………」
「まあ、どうせ生きてるし、頑張るぞ〜!! そして、レオとルーク、ソル先輩もカナリア先輩も取り戻す!」
――
◇現状況
○キルロンド王国
パーティ編成した生徒たちが全員夜の内に消える。
○倭国
キルロンドと協力し、リムルの軍隊を退け無事。
キルロンドから、凪クロリエが再び向かう。
○エルフ王国・帝国
ルークが帝国の中で失踪中。
○魔族
四天王の上位の存在、三王家の存在の判明。
リムルを回収し、セノを中心に『二属性の会得』。
レオ、ソル、カナリアが魔族化、シルフがセノに協力体制を見せている。