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青い人だぜ★
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#bl注意
ゆゆゆゆ
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「完成した!!」
僕は両手を広げた。
達成感に満ちていた。
ものすごく満ちていた。
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シクサーは黙っていた。
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「どう?」
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まだ黙っていた。
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「どう!?」
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「……これか?」
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「うん!」
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シクサーは目の前の建物を見る。
もう一度見る。
横から見る。
上から見る。
もう一度見る。
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そして言った。
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「豆腐?」
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「お城だよ!!」
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即座に反論した。
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だってお城だ。
僕がそう言ったんだからお城なのだ。
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見た目は確かにただの四角い箱だけど。
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お城だ。
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「窓ないぞ」
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「防犯」
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「玄関ないぞ」
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「秘密基地だから」
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「煙突あるぞ」
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「かっこいいから」
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「中に暖炉ねえぞ」
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「雰囲気」
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「適当だな」
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「ロマンだよ」
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シクサーは大きくため息をついた。
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でも。
少しだけ笑っていた。
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「まあいい」
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「でしょ!」
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「お前が楽しそうだし」
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僕は得意げに胸を張った。
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「ここは僕のお城です」
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「ほう」
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「僕が王様」
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「なるほど」
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「だからシクサーは騎士」
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すると。
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シクサーがにやりと笑った。
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嫌な予感がした。
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すごくした。
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「なんでだよ」
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「え?」
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「つまんねえ」
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「なにが!?」
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「俺は魔王でいい」
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「は?」
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「王様のお前を襲う魔王」
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「待って待って待って」
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嫌な予感が当たった。
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「シクサー?」
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「お城攻略開始だ」
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「ゲーム変わってる!!」
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僕は慌てて逃げた。
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しかし。
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豆腐城。
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狭い。
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めちゃくちゃ狭い。
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五秒で行き止まり。
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「終わった!!」
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振り返る。
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そこには魔王がいた。
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赤い角付き帽子。
黒い服。
ニヤニヤしている。
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最悪だった。
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「王様」
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「な、なんでしょう」
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「覚悟しろ」
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「やだ」
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「却下」
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「却下を却下!」
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「却下を却下を却下」
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「ずるい!」
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その瞬間。
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ぐいっ。
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「うわっ!?」
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肩を掴まれた。
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そのまま。
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後ろへ倒れる。
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ぽすっ。
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背中に当たったのはベッド代わりのブロック。
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「ちょっと!?」
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僕は慌てて起き上がろうとする。
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でも。
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シクサーが両手をついていた。
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逃げ道がない。
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「シクサー!」
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「なんだ」
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「ゲーム内だよ!?」
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「知ってる」
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「近いよ!?」
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「そうか?」
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「そうだよ!!」
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僕が真っ赤になっていると、
シクサーは楽しそうに笑う。
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完全にからかっている。
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「王様弱すぎだろ」
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「魔王が強すぎるんだよ!」
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「じゃあ降参か?」
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「しない!」
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「へぇ」
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「僕は勇敢な王様だから!」
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「なるほど」
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シクサーは少し考える。
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そして。
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「じゃあ捕虜だな」
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「なんで!?」
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「魔王に負けたし」
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「そんなルールない!」
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「今できた」
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「ひどい!」
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その後。
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僕はなんとか脱出して逃げ回り、
シクサーは魔王役を楽しそうに続け、
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結果として。
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せっかく作った豆腐城は。
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二人の追いかけっこで半壊した。
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「僕のお城ぉぉぉ!!」
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「耐久力なさすぎだろ!」
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「シクサーが壊したんじゃん!」
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「俺は攻略しただけだ」
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「魔王最低!」
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「王様弱い!」
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そんなくだらない言い合いをしながら、
二人は崩れたブロックの上に座った。
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夕焼け色の空。
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半壊した秘密基地。
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空になったブロキシコーラ。
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「また作る?」
僕が聞く。
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シクサーは少し笑った。
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「今度はもう少し城っぽくしろ」
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「努力します」
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「期待してねえ」
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「ひどい!」
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でも。
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次の日もまた。
僕たちは同じ場所でブロックを積み上げていた。
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世界一しょぼい秘密基地だったけど。
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その頃の僕たちには、
たぶんどんな豪華な城より大事な場所だった。