第一話「リベンジ」
まだ空がオレンジ色に光る早朝のことだった。電車に揺られる大多数の中の一人である浩二は満員電車で真ん中にだけはなってやるものかと頑張って窓側にいた。
そんな中近くの同年代くらいの女性が痴漢にあったのだ。もちろん浩二は気づいていた。でも見て見ぬふりをしたのだ。それは浩二だけに言える事ではないが、それでも浩二という人間はこの時目の前で怯える人がいるのに助けられなかったのだ。幸いと言えるのか、立派な社会人の青年がたすけていた。
電車は終点まで走り、浩二は終点で降りた。駅から徒歩3分の場所に家があるのでいつも通りいそいで帰ろうとしたのに、浩二は無限に感じる時間の中を過ごしていた。1秒が1分に感じられるほどの感覚だった。頭からも瞼からも先程の光景や想いが張り付いて取れなかった。好きな漫画を読んでも、美味い飯を食べても、気持ちの良い風呂に入っても、その不快な光景と想いは張り付いたままだった。
次の日から浩二は不登校になってしまった。
ーそれから、家に備蓄してあった保存食だけで生活しながら、3年の時 が過ぎた。
浩二はまるで別人の様な雰囲気を放つようになっていた。結局忘れられなかった光景を2度と起こさせないために様々な事をこなして武力と知力共に強くなっていた。
浩二はあの駅からあの電車に乗り、終点まで走っていた。例により、まだ痴漢は続いていた。しかも痴漢をしている犯人は同じ人物であった。『坂上 丸太46歳、IT関係の会社に務める。』と、浩二は頭の中で呟いた。様々な事をこなしたおかげで浩二は様々な能力を手にしていた。これは情報収集能力。
そして、終点まで走った電車は2人の乗車人を降ろして扉を締めた。浩二は坂上の後を追う。
ーそして、、、
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!