〜pn視点〜
婚約が決まってからというもの王妃教育が始まった。毎日やるのは大変で嫌になってしまう日もあったけれど、リアム様が忙しい中会いに来てくれた。それがすごく嬉しくて、リアム様の隣に立っても恥ずかしくないようになりたいと感じた。それからは王妃教育も苦に感じなかった。
ある日、そんな日常だけという訳ではなくリアム様が北の大地に魔物の討伐に行くことになってしまった。どうやら魔物が増えてそこの民の力だけでは手に負えなくなってしまった。怪我なく帰ってきてくれるといいんだけど。
「リアム様、お気をつけて」
「あぁ、ぺいんとを待たせては行けないからなすぐ帰ってくる。」
「俺がいない間これを身につけといてくれ。」
そう言って私に箱を突き出した。その箱にはリアム様の瞳の色をした綺麗なネックレスが入っていた。
「これ、いいのですか?」
「いいんだ。」
「では、行ってらっしゃいませ」
北の大地はバッカニア国から馬を使っても6日はかかる。少なくても1ヶ月もすれば帰ってくるだろう。婚約してから初めて離れるから不安もあるけど、リアム様はリアム様で懸命になさっているはず。自分も頑張らなくては。
と思っていた。
リアム様が北の大地に行ってから2週間が経った頃ある知らせが王宮まで届いたのです。
いつものように王妃教育を受けていると、突然王宮内が騒がしくなった。バタバタと物凄い音が王宮内を響かせ部屋のドアが突然開いた。
「ぺいんと様大変です! 」
「これらへお越しください」
そう言われリアム様の寝室に連れていかれた。中に入りそこに居たのは見送った時とは別人かのような怪我をされたリアム様がいた。
「リアム様?」
「どうして、大丈夫なんですよね?」
「ぺいんと様、リアム様は北の大地に赴き災害級の魔物と戦い負傷してしまいました。命に別状は無いのですが、いつお目覚めになるか、」
「そうなのですね」
勇敢に戦ってくれたリアム様を尊敬するのと同時にいつ目覚めるのか不安に思う気持ちが押し寄せてきた。
リアム様が目を覚まさず1週間が経ちその間に色んなリアム様を慕う方々が様子を見に来ていた。僕も彼のそばにずっといないと心配だったけれどリアム様が目覚めた時隣に立っても恥ずかしくない自分になりたくて、講義がない時間だけそばにいることにした。
そうして数日が経ちリアム様が目覚めたと報告をうけ急いで部屋に向かった。そこには何故かモブ美がいた。彼女は庶民の私と違い、伯爵家のご令嬢でよくリアム様に付きまとっていた方だ。僕が婚約者になる前にはリアム様の婚約者では無いのかと噂されていた。そんな方が何故ここに、婚約者である僕より先にいるのか疑問に思うのは不思議ではないだろう。そんな彼女よりリアム様が心配で真っ先に彼の元に向かった。彼女が暗く微笑んでいることにも気づかずに。
「リアム様、心配したんだよ!」
「大じょ、う、ぶ…」
僕は彼を見てどこか違和感を感じた。
「お前は誰だ?なぜ余所者が王宮内にいるんだ」
いつもの彼からは想像もつかないほどの冷たい瞳と声だった。
「何を言ってるんだリアム、お前の婚約者だろうが。忘れたのか?」
「父上こそ何をおっしゃてるのですか、俺の婚約者はモブ美ではないですか?」
彼のその言葉を聞いたあと僕はどうやって部屋に戻ったのか記憶がなかった。夜はいつもはすぐに眠れるのに心がざわつき、リアム様が起きた嬉しさと忘れられてしまった悲しさの2つの感情がごちゃまぜになり泣いてしまった。彼が目を覚まさなくなった時でさえ涙を流すことは無かったというのに。
その日から彼を諦めきれず会いに行き続けた。
しかし、何度会いに行っても相手にされず心が折れ始めていた時陛下に呼び出しを受けた。
陛下に呼ばれた場所に行くとそこにはリアム様とモブ美、そして陛下がいらっしゃっていた。
陛下がリアム様に尋ねた。
「リアムよお前の婚約者は本当にモブ美で間違いないのだな?」
え、僕は次に彼の口から出る言葉に耳を塞ぎたくなる気持ちを抑え彼の言葉を待った。
「はい。間違いありません」
「そうか、後で後悔するでないぞ」
「後悔など致しません。モブ美が婚約者なのですから」
「ではリアムとモブ美は戻って良いぞ」
「はい」「はい!」
そっか、そうだよな何を少しでも期待をしていたのだろう。元々身分も違えば、隣に立つにも烏滸がましい。釣り合うような人は他にもいたのに。
「ぺいんと」
「はい」
「もう無理などしなくても良いのだぞ。」
「逃げたとしても誰もお主を責めることなどしない。」
そうか、もう逃げてもいいのか。
「したいことをすれば良い」
「私は、」
今までできなかったことがしたい。
「私は旅に出て色んな国をみてまわりたいです。」
「そうか。旅の資金はだそうではないか」
「え、大丈夫ですよ?」
「いや、これくらいはさせてくれ」
「では、お言葉に甘えてありがたく受け取らせて頂きます。」
「ただ1つだけお伝えしたいことがあります。」
「なんだ?」
「リアム様が記憶をなくしてしまった原因はモブ美の能力と関係があるはずです。それを調べていただけますでしょうか 」
「分かった。調べておこう。」
「ありがたき幸せです。」
それからの僕の行動は早かった。荷造りをして親に挨拶をして、もし彼がこの家に来るようであればと手紙を預け見送ってもらった。
女の子の一人旅は危険だと親に言われたため男装して旅をすることにした。
生まれて初めて出る国外に胸が高鳴った。
忙しくて投稿全然出来てなくてすみません!
投稿してない間にフォロワー553人ありがとうございます!8月までは忙しいのが続いてしまうので、いつ投稿できるか分かりませんが気長に待っていただけると幸いです!
投稿日 2024-06-19
コメント
2件
モブ美〜? ブッ転がしてやるっっっ!!