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「なっ‥何? 2人して黙っちゃって…来てないって事? それなら退院したら仲村さんに直接会って、何の用事で駅で待ち合わせをしてたのか聞いてみるよ」
「それは…無理ですよ」
亜季ちゃんは目を合わせなかった。
「無理ってどういう事?」
「なっ‥仲村さんは…‥」
すると亜季ちゃんは口を閉ざし、それ以上何も語ろうとはしなかった。
「亜季ちゃん…どうしたの? 亜季ちゃん!」
僕は亜季ちゃんの肩を掴んで少しだけ揺さぶった。
「佐藤の妹…俺が言うからいいよ」
「何だよ、辛気臭いな! まるで仲村さんがいなくなっちゃったみたいじゃないか!」
「もう…いないんだよ」
「えっ!? いないって、どういう事だよ?」
「死んだんだよ…‥」
「死んだ? 冗談はよせよ。だって数日前には僕と駅で待ち合わせをしてたって言ったじゃないか…‥」
「その日に死んだんだよ。車にひかれそうになった人を、自分の命と引き換えに救ったんだ…‥」
「そうなんだ…」
「・・・・・」
千葉は、それ以上何も言わず黙り込んでしまった。
「まさか…‥嘘だろ? 僕を救って…仲村さんは…‥」
「そうだ! お前のせいで仲村は死んだんだ!」
「やめて下さい。そんな言い方しなくたって…‥」
「なっ‥何でこんな事に…。僕のせいで仲村さんが…」
そんな命の恩人である仲村さんを忘れてしまうなんて、僕は最低だ…。
それに…何をしても仲村さんには償いきれない。
「仲村は、お前を助ければ自分が死ぬってわかってて助けたんだ!」
「何でそんな事わかっ…‥そうかっ…葵さんか…‥」
間違いない。
きっと葵さんは、悲しい未来を変えようとして仲村さんに教えたんだ。
結局未来は変えられなかった訳だけど…。
それにしても何で千葉はその事を知っていたんだ?
「日記ですよ。仲村さんが書いた日記が出てきたんです。直接は見てないですけど、そう書かれていたって松下先生が教えてくれました」
「日記?」
「お前が駅に行こうなんてしなければ、仲村は死なずに済んだかもしれないんだ!」
「もうやめて下さい。仲村さんが、あの時あの場所で命を落とすのは運命だったんです」
あっ!?
そう言えば、僕と亜季ちゃんて…‥
確か…‥
今ようやく思い出した。
僕と亜季ちゃんは、もう終わっていたんだ。