テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「失礼します」静かな第三音楽室に、一人の少年が入ってきた。
金色の光が差し込む部屋の中央で、キングのようにソファに座っていた須王環が顔を上げる。
「ようこそ桜蘭ホスト部へ!」
キラキラッ。
そして数秒後。
「……って、男?」
「男だな」
「男だね」
双子の常陸院光と馨が同時に頷く。
「なーんだ男か……」
がっくり肩を落とす環。
(何なんだこの人たち)
橘〇〇――いや、今は“男”として振る舞うしかない少女は、無表情のまま一礼した。
「じゃあ失礼します」
「待ちたまえ!」
環が勢いよく立ち上がる。
「名前は?」
(近い近い近い近い!)
「近いです」
〇〇はさっと距離を取る。
しかし環はまた一歩近づく。
「そんな照れなくても――」
「照れてません」
また離れる。
また近づく。
また離れる。
その攻防を三回ほど繰り返した瞬間――
ガシャンッ!!
入口付近に置かれていた大きな壺が粉々に砕け散った。
しん、と部屋が静まる。
(まあ、せいぜい50万くらいでしょ)
光が指を立てる。
「800万」
「……は?」
馨が追い打ちをかける。
「ちなみに保険なし」
(終わった)
〇〇の顔から血の気が引いた。
親とは別居中。一人暮らし。生活費だけで精一杯。
そんな彼女に、800万円など払えるはずがない。
環はしばらく黙っていたが、ふっとかりんの前にしゃがみ込む。
「……ほら、笑え」
ぷに。
〇〇の頬をつまみ、無理やり口角を上げる。
「なんでふか」
「笑った方が可愛いぞ」
「いたいでふ!」
光と馨が顔を見合わせた。
「ホスト部入るか、雑用係になるか」
「どっちがいい?」
「どっちもなしで」
「釣れないな〜」
「男が男に釣られるわけないでしょ」
呆れたように言い返す。
(本当は女だけど)
「殿〜どうすんの〜?」
「そうだな……」
環は腕を組み、妙に真剣な顔になった。
「今日からお前は桜蘭ホスト部に入部して、借金を返済しろ」
「は、はぁぁ!?」
「お前が客を俺より集められたら、借金800万はチャラにしてやる」
「ちなみに殿がNO.1だよ」
光と馨がニヤニヤと話す
EXIT➞
ルル
51
85
259
139
コメント
5件
読了しました🩷 桜蘭の空気感そっくりで、冒頭からニヤニヤが止まらなかったです笑 借金800万で無理やりホスト部入部って展開、王道だけどやっぱり楽しい…!「男が男に釣られるわけないでしょ」って強がりながら内心バレバレな〇〇ちゃんがもう可愛くて。環くんの「笑った方が可愛いぞ」もズルいですね、これ。続き、絶対読みます…! かりんさんの環くん節回し、好きです🤍