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・一般人パロ
・がくひょが【 sakura shimeji 】
・曲名「大好きだったあの子を嫌いになって」
キャラ紹介①
【髙田彪我】
・社会人1年目
・高校時代に田中雅功に好意を抱いていた
・会社から離れた場所で時より路上ライブしている
・特技はギター、ゲーム、少しダンス
・捏造注意
・知識不足
・not R展開
・キャラ崩壊有り(の可能性があります)
・出てくるEBiDANメンバーにカプ要素有り
「あ”ぁ”ー!」
「んー?なに、どうしたのさ」
「恋人欲しいぃぃ!!アイツらばっっっかイチャイチャしよって、!俺もイチャイチャしたい!!」
「…じゃあさ…俺と____ 」
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ。
無機質なスマホのアラーム音が鳴る。起きるのが苦手な俺は一回目は早めにアラームを鳴らして目を覚まさせる。それでも、今日は1度のアラームで目が覚めた。
「懐かしい夢…って、なんで俺泣いてんだよ、」
ははっ、と乾いた笑い声が響く。これは自分への嘲笑か。それとも、過去の俺への弔いか。
「…さっさと仕事の準備しよ、」
顔を洗うために洗面台に行って自分の情けない顔と対面する。こんな顔で外出んのかよ…
─────
──
ガタンゴトン、ガタンゴトン。いつもより早く出て乗る電車は思ったよりゆったりと座れて落ち着く。こんなに人少ないならアコギ運べば良かったかな。
『次は恵比寿、恵比寿です。』
あ、ここで降りなきゃ。俺は重い腰を上げてドアの前に立ち、ゆっくりと開く扉を人混みを避けながら降りる。
(…あ、これあいつが好きだったバスケのアニメじゃん。)
改札を出て会社への道のりをフラフラ歩いているとアニメ3期のお知らせの広告が目に入る。そういえば、高校生の時におすすめしてもらって2期も一緒に見たっけ。って、なんでまたこんなアニメ追っかけてんだろ。あいつが興味あったアニメだし、俺は興味無い。
「きもちわる…、」
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──
「なぁーに考え込んでんのよ。」
「びっくりしたぁッ!!なんだ柔様か、」
上の空で昼飯を食らっていたら同期の柔様こと柔太朗が背中を叩きながらドカっ、と隣に座ってくる。同い年で同期、それでも持ち前の容姿で先方を魅了し営業成績もトップクラスの出世コース。だ、が、し、か、し!!
『…ねぇ、彪我、、これなんて読むの、?』
『まって、彪我これ漢字あってる??』
『彪我ー!!え、ちょっ、どゆ意味、?』
筋金入りの馬鹿である。聞けば高校時代は全てサッカーに注ぎ、サッカーで高校に進学した言わば超絶脳筋サッカーオタクなのである。本気でバレろ、柔様かっこいい♡って騒いでる女性社員全員にバレろ。…いや、ギャップ萌え♡かわいい♡になるのか。イケメン爆ぜろ。
「…がー?ひょうが?髙田さーん??」
「ぅぉっ、!あー、ごめんごめん。なんだっけ?」
「いや…考え込んでたから話しかけたら余計に厳しい顔になったから…」
「あぁ…イケメン爆ぜろって思ってた。」
「は?」
あ、何言ってんだこいつ、って顔された。まぁ、恋愛経験豊富そうな柔様だから聞いてみるか…
「冗談冗談。柔様はさー、学生時代にバカデカ失恋したことある?」
「んー…ないかな。むしろ恋愛とは無縁だった」
見るからに愛妻弁当食ってるやつから吐かれる言葉はとは思えない。そんな卵焼きをハートを作る母親居るのか…?いや、まぁ、家庭によるか…
「何その顔」
「いや…見るからに愛妻弁当にしか見えないけど…これ母親弁当…?」
「いや?彼氏お手製」
「ふーん……え、彼氏!?!?」
「ちょっ、しー。声でかい」
待て待て待て、!?え、彼氏…カレシ…かれし…ってことは男…だよな、?こんなに引く手数多で女の子にもキャーキャー言われてた男が?彼氏持ち??信じられない…
「……って顔してんね。」
「柔太朗サン心読まないでください…、」
「高校の時のマネージャーでさ、サッカー部の。俺が1年の時の3年の先輩でさ、俺がここの会社来たのもその先輩追っかけてなんだよ。」
「へぇ…。え、でも恋愛とは無縁って…」
「…うん。無縁だった。だけど俺気づいちゃったんだよ。どんなに可愛い人に告白されても、学校一の美女に声掛けられても。俺が可愛いって思うのも、会いたい、めちゃくちゃにしてやりたい。って思うのもその人だけなんだって…」
目を細めて愛おしそうに弁当を見つめる柔様の横顔は男の俺でもドキッとするほど綺麗だった。恋をすると可愛くなるって言うけど、可愛くなるんじゃない。元々の可愛い部分が露出するんだ。
── あの時の俺もこんな顔してたのかな。──
「じゃ、お疲れ。」
「ん、お疲れさん。駅まで一緒に行く?」
「あー、ロビーで彼氏待つわ。また明日ね」
「アツアツなことで…。また明日」
仕事を終え帰路に着く。フラフラと歩きながら街を見渡せば思ったより男女の2人で歩く人も、同性同士出歩く人も多かった。そういえば、学生の時は一緒に帰りながら帰りにコロッケ一緒に食ったっけ。食いたい!ってめちゃくちゃせがむからわざわざ遠回りして買いに行ったっけなぁ…。あそこのコロッケ美味しかったし帰り買って帰ろうかな。まだあいつもあそこのコロッケ好きだったりするのかな。でもまぁ…1年経てば味覚なんて変わるか…。けど、教室で弾き語りして、みんなに聞いてもらって。その帰り道に話しながら食べたコロッケが世界一美味かったんだよなぁ。……って、またあいつのこと考えてる。もう忘れなきゃ。俺は足速に恵比寿駅のホームに進む。ヘッドフォンをして、少し大きめな音で音楽を流す。しばらくすれば目の前に電車が止まりゆっくり扉が空く。邪魔にならないようにドアの端っこに寄り、降りる乗客を待つ。刹那。ふわっと馴染み深くて、トラウマにも近い爽やかな香りが鼻腔に届く。
「ぇ…、」
人混みの中にマスクより顔が小さくて、目付きが少し悪い、俺より身長の低い金髪の男が流れて降りていく姿が目に入った。
(……ま、気のせいか。アイツはあんな髪色しないだろうし、、、)
今日は散々な日だ。早く家に帰ってアコギでも引こ。あ、でも今日ならいい曲作れそう。
でも、やっぱり鼻腔に残るどこか懐かしい香りは俺を安心させた。あいつの匂いすらも覚えている自分には吐き気がしたけど、この匂いはやっぱり嫌いじゃない。いや、嫌いになれなかった。
「…うぇっ、気持ち悪すぎだろ俺、」
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「コメントはえぇ…」
辛いこと、悲しいこと。自分の中のキャパを超えたら路上ライブで発散するのが日課になっていたけど、外に出る気がなかったりギターを忘れた日はこうやって手元だけを映して配信をする。
💬)8LOOMの曲弾いて!
「え、8LOOMの曲…?俺弾くんみたいにかっこよく弾けないけど大丈夫そ?」
💬)かっこよさは求めてないから大丈夫ww
💬)私は右しめじさんの方がかっこいいと思います♡
「おい待て、見えたぞ誰だ俺の事かっこよくないって言ったやつ。芸能人様に勝てるわけないでしょうよ」
流行りのグループからマニアックな曲まで。譜面を見たら大体弾けるけどなんだか緊張する。まぁ、別に顔売りじゃないからいいけど普通にこれブルーミーにしばかれる気がしてならないけど弾いちゃうか。
💬)ってかずっと気になってたんだけど右しめじって何?左どこ行ったの?
「あー…やっぱそれ気になる?」
聞かれたくなかったことが聞かれてしまう。コメント欄も私も気になる!で埋まっていく。言うしかないのかな…
「俺さー。実は学生時代にフォークデュオ組んでてさ。その時のグループ名がさ、さくらしめじって言うんだけど…」
💬)さくらしめじ!?
💬)どこのゆるキャラですか笑笑
「可愛いだろさくらしめじ!んで、その時に俺が右に居たから右しめじ。相方は左しめじ」
名前弄りに花が咲きコメント欄は草が生え散らかしてる。この場合、花が咲く。じゃなくて草が生えるなのか。うるせ!なんて突っ込んでいたらひとつのコメントに目が止まった。
─ 💬)その相方さんは今何してるんですか? ─
俺は思わずはっと息を飲んだ。
「んー…今、何してんだろうなぁ…俺もわかんない。」
この時の俺の顔はどんの顔をしてたんだろう。きっと、今日の柔様みたいな美しさなんてなくて、ただ、誰かを恨んでいる顔をしているんだろうな。そんなことを思いながらコメントを読み終え配信を終える。
ピコン、ピコン、ピコン。
配信終わりと同時に通知が何件かくる。
『今日の配信最高だった!』
『優しい声で歌ってくれたMelodyまじで神!』
その後もぽんぽんと通知が来てはそのコメントを見て頬を緩ませる。やっぱりエゴサは終わった時に必ずしちゃうんだよなぁ。こんな曲歌って欲しいとかリクエストも紛れてるから。それに…
ぴこん。
「お、来たきた。」
『相変わらず右しめじさんの声は優しくて好きだなぁ。寝る前に毎日必ず聞こ』
「やっぱ見てくれてたんだ…」
多分その中では最古参であるきのこりあん。さんからのメッセージが今の俺にとっての心の拠り所だった。沢山褒めてくれるし、変化にも気づいてくれる。
「…うん。やっぱあいつみたい。」
投稿内容、口調、音楽。載せることも100人いれば1人2人は被るだろう内容だけど、何故かこの人にあいつの影を重ねてしまう。こんなネトストみたいな事はやめないといけないのも分かってるし、この人を大好きだったあいつと比べるのも良くないってことも分かってる。けどいつまでも俺はあいつの影をどこかで追って居る気がしてならない。
「…俺、まだあいつのこと好きなのかな…」
どんだけ未練タラタラなんだよ…。早く忘れたい、こんな気持ち。
季節は巡り慌ただしい1日が続き次第にあいつの事を考える時間が無くなってきた。嬉しいことやら、悲しいことやら。毎日目まぐるしく過ぎていき唯一の休憩の時には完全に伸びきっている。
「おつかれぃ」
「んー、ありがと、柔様愛した、」
「はいはい、俺が愛されんのは彼氏だけで十分なんで。」
「うわぁー、惚気ごちそうさまです」
ただの同期の俺にも気を使って缶珈琲を投げ渡してくれる柔様はほんとにイケメンだと思った。…顔だけじゃなくて性格もイケメンとか腹立つな。
「…やっぱイケメン爆ぜろ」
「ん?なんか言った?」
「イエ…ベツニナニモ…、」
そんなこと言うならこれは没収ですと缶珈琲を取り上げられる。ごめんなさいごめんなさい!って騒ぎながら俺の缶珈琲を取り戻しながら席に座り直す。いつまでも高校生の時みたいにしょうもないことで笑ったり、くだらないことをして笑ったりしていたいな。
「…あ、おいちゃんだ」
さっきまで学生みたいにわちゃわちゃしてた雰囲気と一変し、愛おしげに誰かの名前を呟く。その時の柔様はあの時と同じ、綺麗な顔をしていた。
「ん?おいちゃ…って吉田主任!?」
「おつかれーい。山中くんは、おいちゃんって呼ぶのやめましょうねー。」
「すみません、味音痴主任、」
「おぉい、誰が味音痴だこら、あ?」
なにこれ夫婦漫才…?って、あ。そういう事か。柔様のお相手って…
「…吉田主任だったんだ、」
「ん?何が?」
柔様にヘッドロックをかけながら俺に返答してくれる。それを見ながらしーっと人差し指を唇に当て口止めをしてくる。何してもイケメンだなおい。その様子を見て、頭に疑問符を浮かべる吉田主任に柔様が耳打ちをすれば、ぶわっ、と一気に顔が紅くなる。
「…余計なこと吹き込まれてないよな、?」
「あー…酔うとベタ甘のくっつき虫になることくらいしか…」
「おいてめぇ、山中。何言ってんだこら、」
あ、ケツしばかれた。ほんと仲良いんだな…。高校からの知り合いかぁ…、元気にしてんのかな。
「あ、そうだ髙田。お前に会わせたい人いんだけど今大丈夫か?…って大丈夫だよな?」
「え、あ、はい。」
俺の拒否権 is どこ。 まぁ、?飯食ったし?あとは惚気聞くだけだから?大丈夫だけど?せめてYES or はいの答えじゃなくて検討くらいさせてくれても…。色々と心の中で突っ込んでたら主任が休憩室に人を呼び込む。俺より小柄で、目付きが悪くて、金髪で…懐かしい香りがするこの男は…
「木野古商事営業部から参りました…なんて、堅苦しい挨拶しなくて大丈夫だよな?」
ここ1年間、いや、それ以上忘れてこようとしてきたこの香り、この声、この表情……
「久しぶり、彪我」
久しぶり、雅功。思い出したくなかったよ。そんな言葉は俺の息と一緒に飲み込まれた。
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──
「あー…こりゃ完全できあがってるわ…」
「…だね、、」
吉田主任の提案で今日は早めにあがり4人で飲みに行くことになった。なんで俺らが知り合いなのがわかったのかと聞いたら『髙田がつけてるキーホルダーと同じの着いてたし、さくらしめじ。って髙田がやってた所のグループなんだろ?』と柔様に話した事が吉田主任にも伝わってたらしくそれを覚えていてくれたらしい。嬉しいやら悲しいやらで複雑な感情だったが久しぶりに相方に会えたのが少し嬉しくて吉田主任には感謝してしまった。
忘れたいのに忘れられない。初恋の呪いは簡単に忘れさせてはくれないらしい。
「俺仁ちゃん送っていかないとだから田中くんのこと任せられる?」
「あー…わかった。」
4人分の会計をナチュラルに済ませテキパキと行動する柔様のイケメンっぷりに圧倒されながらも俺と雅功の分は払うと言ったが仁ちゃんの可愛い所見れたから今日は奢ってやるよ。とお金は受け取ってくれなかった。逆の立場だったら同じこと出来んのかな俺。颯爽と立ち去る柔様の背中を見送り完全に伸びきっている雅功に声を掛ける。
「ほら雅功、帰るよ?」
「んぅ…やらぁ、もーちょっとひょーがといたい…、」
倒れ込むように俺に凭れ掛かり、挙句抱き着いてくる。
─ きゅん、 ─
あぁ、そうだ。この感覚、この感じ。この可愛さとあざとさが俺の心を揺さぶったんだ。
─ ほんと可愛い、 もう少しだけ一緒に ─
…いや、!待て待て待て!!思い出せ、こいつは誰にでもこの距離の距離感お化けで、きっとこれも俺じゃない誰かにも言ってるんだ、!!
「はいはい、ありがとねー。おうち帰りますよ〜」
店から連れ出し肩を貸しながら駅まで歩く。途中水を飲まそうと公園によりベンチに座らせてペットボトルを渡す。飲まない!って駄々こねるかな、って思ったけど案外素直に飲んでくれた。
「…ねぇー、ひょーがー、」
「んー…?なに?」
「…あのさ、、、やっぱいーや。」
「え、なによ。そこまで言ったら言いましょうよ。」
「いっていーの?」
「なぁに?…教えて?」
俺に凭れ掛かり肩辺りに頭を傾けちら、と雅功は俺の方を見た。その姿に昔を思い出し思わず頭を撫でたら気持ちよさそうに目を細める雅功。やっぱ昔から変わらないな…猫みたいで可愛い。
「ひょーがはさ、なんでいきなりおれのまえからいなくなっちゃったの、?」
「…えっ、?」
おれ、さみしかった。と回らない呂律で言いながら俺をぎゅっと抱きしめた。なんでって、お前が俺の事…
「ひょーががいなくなってから、ずっとつまんなくて、連絡しよーとしてんのにつながんないし、LINEもかわってるし、、おれのこときらい…?」
好きだよ、今も昔も、ずっと。その言葉が口から溢れ落ちなかった俺を褒めて欲しい。
「あー、ごめん!俺あの日スマホバッキバキにしてさ、やり方も分からなかったからLINE消えちゃったんだよね…、」
「…ふーん、」
「、、、もしさ、雅功が良かったら、また俺とLINE交換してくれない…?」
二つ返事で連絡を交換した。LINEに新しく追加された『 gaku. 』の名前に頬が緩んだ。LINEは消えたのは本当。だけど嫌いになんてなれなくて毎日毎日写真ばかり見返していた日々。それが今は本人が俺の目の前によく現れる。それが嬉しくて、どこか苛立たしかった。
「なぁーにニヤニヤしてんの」
ひょいっ、と柔様にスマホを取られ内容をざっと見られた。ただの何の変哲もない友達同士の会話。傍から見たらそんな文章だけど、俺はそれが死ぬほど嬉しかった。やっぱ…俺アイツのことまだ好きなのかな…。
自覚してからは早かった。今まで一緒にいなかった時間を取り戻すように毎週毎週あっては音楽の話をしたり会わなかったあいだの話をした。
「雅功はもう弾き語りはやめたの?」
「んゃ?たまーにする。けど今はほとんど見る専彪我は?」
「んー、俺はたまにやってるかな。」
「まじ?今度聞かせてよ。」
「えぇー、気が向いたらね。」
「だめ、約束。ね?」
あの頃と変わらない無邪気な笑顔を向けられ心がきゅんと鳴いた。幸せな時間が永遠に続けばいいのに。そう思っても時よりフラッシュバックする過去の記憶。
『あ”ぁ”ー!』
『んー?なに、どうしたのさ』
『恋人欲しいぃぃ!!アイツらばっっっかイチャイチャしよって、!俺もイチャイチャしたい!!』
『…じゃあさ…俺と…付き合ってみない?』
『えぇー、彪我と…?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ絶 対 無 い わ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ︎︎ ︎︎』
『ははっ…そうだよね、』
『だってまず俺ら男同士じゃん?ないない』
けらけらと笑う声が、この時ばかりは悪魔のように聞こえた。そして今も___
「彪我…?」
「っ、!ごめん。今日はもう帰るね。」
「あぁー…おう。またな」
「…うん、ばいばい。」
もう終わりにしよう。会うのはこれで最後。話すのもこれで終わり。連絡も早く消さないと。あとは、あとは…
─ 〜♪〜〜〜♪ 〜♪〜〜♪─
軽々なリズムが鼓膜を震わせた。店内BGMが扉が開いた所為で大きな音で流れ出す。あぁ、この曲。雅功が好きだった曲だ。曲にはなんの罪はない。だけど今はこの曲を聴くだけで泣き出しそうになる。もう俺は、お前と話すのがトラウマなんだよ。
(やばい、泣きそう…)
段々と目頭が熱くなっていくのが分かる。視界も徐々にぼやけ始めて重くなる。雑に服の袖で目を擦り曲を聴かないようにその場所から離れようと歩き出そうとした途端、誰かが駆け寄る音がする。
「ひょうが!!!」
お前はいつもそうだ。俺が会いたいって思う時には来ない癖に、会いたくない時はすぐ駆け寄ってくる。それでも俺は気付かないふりをしてその場から駆け出す。
─────
───
──
はぁ、はぁ、はぁ。
どのくらい走ったであろうか。体力も、持久力にも自信が無いのにあいつから必死に逃げた。捕まったら終わりだと思ったんだ、あの時は。今まで思ってたこと、思ってきたこと。今の雅功に思っている事を全部、全部吐き出しそうになって意地でも逃げた。
「待てよ、!っ、彪我、!!」
「待たないっ!」
多分、今日は俺史上1番走ってる。会社の明かりでキラキラ光る恵比寿を全力疾走で走り回る俺ら。きっとこんな事してんの俺らだけなんだろうな。
段々と俺を呼ぶ声が近くになってきたのが分かってきて、なんとかまこうと恵比寿公園に逃げ込む。もうダメだ、息が持たない。そう思った時にはもう遅かった。
「はぁ、はぁ…捕まえた。」
「っ、離しっ、」
「いやだ離さない」
手首を掴まれて軽く雅功の方に引かれたら、真っ直ぐ俺を見詰めるその瞳に吸い込まれるように、目を合わせる。目が合えば優しく笑いかけるその顔を見た途端余計に涙が止まらなかった。
「なぁ、俺なんかしちゃった?彪我が嫌がることした?教えてくんねぇとわかんない、」
「っ、!おまえがっ、…お前が俺の事振ったんだろ、勇気出して言ったのに…あんな仕打ち…」
「はぁ、?まてまて、お前がいつ俺にそんなこと言ったよ、!」
「大学時代に!いつもの場所で言ったろ、!俺と付き合ってみない?って!」
「…はぁ、、、まじかよ…あれってそういう意味だったのか…」
俺の手首を掴む力が弱まり、雅功はずるずるとその場にへたり込んだ。
「遊ばれてんのかと思ってた、」
蹲り蚊の鳴く声で言われる。腕の隙間から見える雅功の耳は真っ赤だった。それを見たら俺も次第に顔が紅く、熱くなっていった。手首を掴む腕は次第に両手をしっかり握られ俺も同じ目線になる。
「…ねぇ、彪我。まだ俺のこと好き…?」
目を愛おしげに、確り見つめ手を強く握られる。そして、目を伏せ雅功は俺の手の甲に口付けを軽く落とした。その姿はまるで王子様みたいで心がときめく。ずるい、ずるすぎる。俺はもっと、もっと雅功に言いたいことがあった。あの時どれほど辛かったのか。雅功を忘れようと毎日頑張ったけど忘れられなかったこと。お前の所為だ、お前の所為で俺はおかしくなったって。それでもこんな姿を見たら文句なんて言えない。それでも俺は今言いたいことを言わないとずっと雅功から逃げることになる。自分に胸張れるように、ちゃんともやもやを晴らすために…
「…大好きだった雅功を嫌いになるなんて…そんなのなれっこないよ、大好きだよ…、」
あー、また泣く。目頭に溜まる熱は下に俯けばぽたぽたと落ちていく。1年、それ以上言わないようにしてきたその言葉を口にした途端何かが崩壊していくようにぽろぽろと雫が落ちていく。『ひょうが、』と甘く、蕩けるように優しい声で俺の名前を呼ぶ雅功。頬に手を当てて俺の目の下にたまる雫を親指で拭われる。
「…なんて嘘だよ、馬鹿にすんな、こんの…ばーーーーか!!」
「っちょ、うわぁっ、!?」
俺は言葉と裏腹になるけど雅功に勢いよく抱き着いた。俺より身長も低いし体格も小さいのにちゃんと俺の事を受け止めてくれる。力が段々と強くなる。俺は雅功の首筋に頭を沈めてしがみつく。
「ちょっ…彪我サン…?」
「…雅功のばか、あほ、ちび、」
「待てこら身長は関係ないだろ」
肩を押され目が合えば段々と笑いが込み上げてくる。静かな公園に響く俺らの笑い声。だんだんと落ち着いてきて風が頬を掠めて心を落ち着かせた。
「彪我」
「ん?なに?」
「すきだよ、」
「…ふふ、おっそいわ、ばか雅功」
頬に手を当てられ、ゆっくりと唇が合わさる。冷たいような、温かいような。そんな不思議な感覚が体を支配した。一瞬の事だったけど体が火照ってきた。額を合わせて微笑めばもう1回、と言わんばかりに目を見つめる。雅功はその事に気付いたみたいでもう一度唇が合わさった。次は長く、何度も交わすような熱い口付けをした。
「…んで?それで盛り上がって、外に居過ぎて寒さで風邪ひいたと…?」
馬鹿じゃん。と言いながらも鼻水ずるずるの俺にティッシュを渡してくれる柔様。あの後、長い事抱き締めあって、ゆっくり手を繋ぎながら帰ったけど。何十分、何時間も鬼ごっこした影響で体は完全に冷えきった挙句風まで拗らせてた。ほんと何も言い返せねぇ…大人なのに何をしてんだろうかほんとに。
「まぁ、でも。学生時代にした初恋の大失恋の相手が今の恋人ねぇ…なんか少女漫画みたいでいいじゃん。」
「いやほんと…こんなに苦しんだのに勘違いだったってのが余計に…」
大好きだったあの子は結局、お互いの勘違いですれ違っていただけで、最終的にはハッピーエンドになった。今では言いたいこともちゃんと言うようにして、お互いに今までみたいな思い違いはなくそうと努力した。そして、こいつに褒めてもらうためじゃなくて、自分の趣味のために今日も俺は弾き語りをする。
「それでは今日最後の曲です。聞いてください
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎」
キャラ紹介②
【田中雅功】
・髙田彪我の初恋の相手
・実はずっと彪我が好きだった
・SNSの名前はきのこりあん。
「そういえば最近コメント来てないな…」
雅功と付き合ってから数週間経っても配信や路上ライブは続けていた。
「彪我って誰がコメントくれてるとか全部覚えてんの?すげぇな。」
「いや?ぜんっぜん覚えてない。けど1人だけ毎回必ず俺を褒めてくれる人が居たんだけど…」
「へぇー、どんな人?」
「あーっと……、あ、この人この人。」
肩口からひょこって顔を出す雅功にその人のアカウントを見せる。
「え、俺じゃん。」
「は???」
ほら、と雅功のスマホの画面を見せられる。確かに名前はきのこりあん。だし、IDもおなじ
「あはは…まじかぁ…」
結局俺は、この男から逃げられることなんて出来なかった。
「相当好きじゃん、俺の事。」
「何?今更?ならもっと身体に教えてあげよーか?」
隣に座られ腰辺りを撫でられる。びく、と身体を揺らし肩をすぼませれば面白がるように耳元で『かわいい。』なんて呟かれる。あー、ほんとこういうところ…
「だいっきらい、」
あとがき。
はぁーい、どうだったでしょうか?なんと今回1万文字を超えました。拍手。
最近この曲にハマってて永遠聞いてたので書いちゃいました♡(怒られろ)
田中雅功って罪な男だと思うんですよ。いつもは好きな人のことは何も言わずとも分かるくせに大事なところで伝わらない。そんな男だったらいいなと思ってます。
あ、今更だけど口調迷子だけど許してね。
これを書き終えたので次はαの奴隷の続きでも描き始めますかね。
それではまた次の作品で。
(2024/10/31 括弧の修正諦めました。
通知荒らしてたらすみません