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【シカゴ】『ナルシソカジノ遊技場』
派手派手しく荒野にライトアップされた、シカゴ一のギャンブル会場付きのホテルは、一夜でアメリカンドリームを掴める人間もいれば、一夜で人生を破滅に追い込まれる人間もいる
そこのカジノのエレベーターのドアが開くと、磨き抜かれた大理石のフロアが現れ、途方もなく広い玄関ロビーに、歓迎するように赤と金のカーペットが引かれている
そこに一歩足を踏み入れると、正面の壁には龍が若い女の子達と戯れている図柄が、ビーズで描かれた巨大なタペストリーがまず目に飛び込んでくる
降ってきそうなほどの大きなシャンデリアが、夜なのにまるで昼間のように玄関ホールを照らしている
そして中央階段を降りて行くと、途方もなく広い中央フロアには40のポーカーやルーレットなどのゲームテーブルが軒を連ね、端にはそれぞれ専用のバーがあり、その奥のさらに暗いフロアには、100台を超えるスロットマシーン遊技場があった
ポーカーやルーレットテーブルフロアは、そのゲームテーブルを囲むように、壁伝いに4つの専用カウンターバーが設置されていた
その一つのカウンターバーの中に竜馬がいた、ブラックのタキシードベストの制服を着て、髪をオールバックにセットして、カクテルシェーカーを見よう見まねで振っていた
「えっと・・・マンハッタンブリッジは・・・パイナップルジュース60ccと、レモンシロップ30cc・・・に・・・シャンパン」
竜馬はカウンターテーブルの裏に張り付けたカクテルのレシピ表を見て、カクテルを作る練習をしていた、いつも無意識に蝶ネクタイを引っ張っている、これのせいでやけに暑いし首が苦しい、後ろの酒がズラリと並んでいる、ツール棚の鏡に自分の姿が映る・・・我ながら、なかなかさまになっているじゃないか?・・・と竜馬はジャスティンにセットしてもらったオールバックを手で撫でつける
竜馬はジャスティンの紹介で、彼がトランプのディーラーで働いているカジノで、カウンターの「バーテンダー」として週末アルバイトをやりだした
そして今、フロア通路を挟んでこちらを睨みつけている、ジャスティンが片眉を上げる
「しっかり働けよ」
「ハイハイ・・・」
目で訴えてきているジャスティンの視線を無視して、竜馬は忙しくグラスを磨きだした、黒のタキシードのベストに、黒の蝶ネクタイで、一流ディーラー姿のジャスティンは、いつものボサボサ頭の彼と別人だった
そこで、人間は髪型で随分印象が変わるものだと学んだ、礼装に身を包んだ彼は、どこか超然として、男の目から見ても非の打ち所がなく、どんな女性もいちころで参ってしまういい男だ
印象的なロイヤルブルーの瞳・・・大きなダイヤのピアスが耳で光って、金髪が映える・・・ポーカーディーラーのジャスティンは、魅惑的な微笑みを絶やさず、イケメンぶりをここぞとばかりに発揮していた
ふいにキャァキャァはしゃいで飲み物を取りに来た若い女性二人組が、ジャスティンを見て騒いでいる
「ねぇ・・・あの金髪のディーラー見た??とんでもなく良い男!イケ散らかしてるわ」
「ちょっと大げさじゃない?」
「あら本当よ!!ひと目見ただけでイッちゃいそうそうなほどセクシーで、なのにどことなく野性の豹を思わせる様な雰囲気も持っているわ!!」
「どこどこ?」
「オールバックで、前髪を粋に垂らしている人!ほらっ今カード切ってる」
カウンターを挟んで竜馬は女性達の視線と同じようにジャスティンのいるポーカーテーブルを見た、自分の事を言われているとジャステインはたとえ水の中に潜っていても聞こえるのだろう、彼がこっちを見て魅惑的にニッコリ微笑んでカードを切る・・・そしてちょいちょいと手招きする
キャーっ「大変!!こっちへおいでって言ってるわ!!」
「どうしよう!あたし火照ってきちゃった、ちょっと!ボーイさんっ!おかわりっ」
一人がシャンパンのグラスを一息に飲み干した、そ知らぬ顔で竜馬がそのグラスに、シャンパンを継ぎ足す
「どうする?行っちゃう?行っちゃう?」
「あたし行ってくる!」
「あんっ!ちょっと待ってよっ!」
ジャスティンのポーカーテーブルのゲームが一段落し、男性グループが去った次に、あの女性達が席に着いた、ジャステインがカードを美しい手さばきで切りながら、何か言いうと女性客がケラケラ笑い、キャーキャー騒いでいる
これでこの二人は今夜のジャスティンのカモにされる、笑っていられるのも今の内だろう
フーッ・・・「ご愁傷さま」
竜馬は目玉をぐるりと回して、グラスを磨いた、次に他のルーレットテーブルにも5人の男性客がやってきて、竜馬達に次々と酒を注文した、竜馬は注文された飲み物を次々にテーブルに届けてから、バーカウンターの安全地帯にひっこんだ
プレイヤー達の賭けの金額がだんだん大きくなり、賭け方も無謀なものになっていく、プレイヤー達は声を上げて悔しがったりゲームを楽しんでいる、竜馬もそれをカウンター内から見て、楽しみながら今夜は大盛況だなと思った
すると大柄のボディーガードを引き連れて、一人の妖艶な女性が腰を揺らしながらやってきた
その女性は竜馬のいるバーカウンターの椅子に優雅に腰かけて、竜馬を見つめて言った
「Chinese?(中国人)」
竜馬の顔を覗き込んで彼女は言う・・・竜馬はうんざりして首を振った、ここへきてから何度この質問をされただろう
「Japanese、(日本人です)」
女性のシルバーの瞳が竜馬を値踏みするように見つめているので竜馬は落ち着かなくソワソワした、見事な金髪をカールした髪・・・ボリュームのあるメロンみたいな胸の谷間が見えているドレス
砂時計のような身体つきの迫力がある美人だった・・・そしてむせかえるようなこの女性の放つ香水の匂いが辺りに漂い、香水の香りに成れていない竜馬がゴホゴホッと咳込む
なんだか彼女を見つめ返しているうちに、頭から冷静な判断力が失われて行くようだった
「何か飲ませてちょうだい、そこの可愛い人・・・喉が渇いて死にそうなの 」
うっとりするほどセクシーなしゃべり方だった、ぼんやりしている竜馬に彼女がテンプレートで描いたような綺麗な眉を上げて見せた
「な・・・何を召し上がりますか?」
「任せるわ、私のいるテーブルに持ってきてね」
そう言うと彼女はポーカーテーブルに腰をふりながら向かって行ったパッカリ胸元が開いたドレスは背中もパッカリ開いていて、着ている意味があるのだろうかと思うほどだぅた
竜馬は並んでいるウィスキーやリキュール類のボトルを一瞥すると、素早く酒の量を図り、カクテルを作った
―えっと・・・あの人、甘いのが好きかな?―
竜馬はブルーの綺麗なカクテルをトレーに乗せて、ポーカーテーブルに近づき、その女性の肘のあたりに飲み物を置いた
コト・・・「どうぞ・・・」
彼女はディラーのジャスティンから視線を外し、淡いブルーの飲み物と竜馬の顔に視線を走らせた、彼女の怪訝な視線が再び竜馬の全身を這ったので、竜馬は再び緊張した、そして長いスリットから露になっている綺麗な脚を組み直し、竜馬に魅力たっぷりに微笑んで見せた
「美味しいわ、これはなぁに?」
「チャイナブルー・・・です」
ジャスティンがコホンッと咳をして言った
「彼女は有名なハリウッド女優の「 ルビー・ランドル」さんだよ 」
「あ・・・そうなんですか・・・」
後でシャスティンから聞いた所、彼女はニューヨーク在住の女優で、今はハリウッドにいて重鎮プロデューサーの作る映画にひっぱりだこらしい、ルビーは若々しく、チャーミングで ウィットに富んでいた
しかし、彼女はシカゴの冴えないこの街出身だということはマスコミには秘密にしていて、時々有名人の仮面を剝ぎたい時に 地元のここ、ナルシソカジノで遊ぶようになったのだ
そして彼女はいつも腹のたるんだプロデューサー達の「夜の相手」を「名演技」で務めているため、休暇の時くらいストレス発散に若い男の子を漁りにも来ていた
特に彼女の好みは竜馬のような、ウブなティーンエイジャーだ
いやもっと下でも良いだろうと、ジャスティンは言った
コメント
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読了しました。第147話、シカゴのカジノが舞台で一気に華やかな世界観に引き込まれました。バーテンダーとして奮闘する竜馬のぎこちなさと、ジャスティンのディーラー姿のギャップが印象的。特に、ルビー・ランドルという女優が登場してから空気が一変し、彼女の視線に竜馬がたじろぐ様子が生々しくて、この先どうなるのか気になります。カジノの喧騒の中で、竜馬がどんな経験を積んでいくのか、続きが楽しみです。
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