TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



料理を作る約束をしてから、あっという間の日曜日当日。


ここまでの時間はというと、案外また偶然にも出会わないモノで。

プロジェクトの資料も時間が空き次第確認はするものの、お互い忙しさからか社内でも連絡を取り合うこともないまま相談も出来なくて。

仕事以外でも、美咲の店も行けてないし、隣の部屋に住んでるのにたまたまも会わず。

向こうも料理のリクエストだけしてからは連絡は一切なし。


ようやく連絡が来たかと思えば


『適当にオレの家来て作ってくれたらいいから』


というメッセージが前日の夜に届いたくらい。



うん、こんなもんよね。

別にドキドキさせるのを楽しみたいって言われただけで、別にそこにそれ以上の気持ちがあると言われたワケでもないし。

でも、最初に会った時のアピールが強かっただけに、その後もそんな感じのことが続いていくのかな、なんて思ったりしてたのに。

思ってたより、全然平穏な毎日。


いや、もちろん期待してたワケではないけどさ。

だからなのか、なんかこうやって改まって普通に二人きりになるのが、なんか照れくさい・・というかちょっと落ち着かない。

どういう反応してどう接すればいいのやら。


ってそんなことを思いながら、今日作る料理の材料を買い込んで、今は早瀬くんの部屋の前。


さっ、そろそろ気持ちを切り替えよ。


そして、ようやく隣のチャイムを押した。


「はい」

「どうも」


ドアを開けて顔を出した早瀬くんにまずは挨拶。


「いらっしゃい。どうぞ」

「お邪魔します」


そういえば、キッチンちゃんと料理出来る物あるのかな。


「キッチン見せてもらうね」

「どうぞ~」


そう言って調理道具や食器が揃っているかチェック。


「ねぇ。調理道具と食器ってこれだけ?」

「あぁ。うん」


なるほど。これで料理を作れと。

まぁ、材料持参する時、ちょっと疑問に思ったことだけども。

思ってた以上に調味料も調理用具も食器も揃っていない。


「ね~普段料理しないの?」

「しない」

「今までの彼女たちは家で作ってなかったの?」

「この家では作ってない。他人に家でいろいろされるの好きじゃないし」


ほ~。

矛盾。

私今からここで料理しようとしてますけど?


「そこまでの仲にもなってないし」


あ~。そういうことか。

軽い仲で、料理を自分の家でさせる程の仲にはなってない程度がたくさんいたってことね。

それか彼女の家で作ってもらってたってとこか。

自分のテリトリーにあまり入れたくないタイプとか?

なら私はどんな仲・・・?


にしても、やっぱりここまで揃ってないと作りにくいな。


「あのさ~、私の家で作ってもいいかな~」


これ私の家で全部作って盛り付けて用意した方がやりやすいな。


「自分家のが色々揃っててやりやすそうなんだよね」


さすがに家上げるのはどうかなとも思ったけど、早瀬くんの家にもすでに何回か上がってるワケだし、今回はお礼だし、まっいっか。

もう少し歴代の女性たちが調味料や食器揃えてるのかと思った。


「ちょっと自分家戻って作ってる間、時間かかるから家で待っててもらっていい? 出来たら呼ぶね」

「そっちの家で出来るまで待ってていい?」

「いいけど・・。時間かかるから暇だよ?」

「別にいいよ」

「隣だし出来るまで自分家でゆっくりしてる方がよくない?」

「作ってるの見たいし」

「いいけど・・・そんなの興味あるんだ?」

「透子が作ってるのに興味ある」

「大丈夫。ちゃんと作るから」

「オレの為に作る姿が見たい」


そう言われるとそれ以上何も言えない。


「じゃあ、私先戻るから適当に来て」


そう伝えて先に部屋を出て自分の家に戻る。

そして材料を冷蔵庫に戻して再度自分のキッチンで作る準備を始める。


そのあと、うちの家のドアが開く音が。


「お邪魔します」

「どうぞ~」


中に入って来た早瀬くんを確認。


「適当に座っといて~」


あっ、そうだ。

聞くの忘れてた。


「好き嫌い何かある?」

「特にない」

「なら何でも大丈夫だね。あっ、コーヒー飲む?」

「あっ、うん」

「インスタントだけどいい?」

「うん」


料理が出来上がるまで時間がかかりそうなので、ポットでお湯を沸かしてコーヒーを準備。

それと同時にリクエストされたハンバーグと一緒に出すサラダも作り始める。


「早瀬くん、いつもご飯どうしてるの?」


リビングのソファーに座った早瀬くんに、料理の準備をしながら話しかける。


「う~ん、まぁ外で食べて来ることのが多いかな。だからたまに修さんとこでも食って帰る」

「へ~そうなんだ。修ちゃんとこで私も食べて帰ってるけど全然気付かなかった」

「オレはたまに見かけたけどね」

「えっ!そうなんだ!? 私のことそんな前から知ってたの?」

「まぁ」

「いつから?」

「秘密」


なんだよ秘密って。

そういえば最初の方に聞いた時も誤魔化されたような。

いつから私のこと知ってたんだろ。


「そっちはそうやってたまに家で作ってるんだ?」

「うん。外で食べて帰るのはたまにかな。それ以外はお金もかかるし家で作って食べた方が楽な部分多いし。料理作るの嫌いじゃないからね~」

「じゃあさ。家で作る時、二人分作ってよ」

「なんで?」

「オレの分」

「え~。何、今日以外も食べにくんの?」

「一人分も二人分も同じじゃないの?」

「いや、そりゃ変わんないけどさ~」

「その分ご飯代払う」

「私食堂のおばちゃんみたいじゃん」

「そういうつもりじゃないんだけどさ。あっ、じゃあさ、一緒に作ってもらったその分ご飯ご馳走する。それならどう?」

「う~ん」

「お互い今恋人もいなくて所詮ドキドキさせ合う関係なんだし、恋人っぽいことしてもありだと思うんだけど」


そこ改めて強調するんだ。

所詮、恋人のフリ。

真似事・・か。


「早瀬くんがご飯助かるだけでしょ~。まぁ別にいいけどさ」

「じゃあ決まり」


そっか。

早瀬くん的には隣に食事作ってる便利な相手が来てくれた感覚なのかも。

だけど、その提案に案外ワクワクしてる自分がいて、流れで受け入れてしまう。


「じゃあさ、ご飯いる時早めに連絡してね。用意あるから」

「オッケ。じゃあ、行けない日だけ前もって連絡する」

「えっ。それ以外毎日食べに来ようとしてんの?」

「当然」

「いや、そっちも外で食べる都合や他の女性との約束もあるだろうし、必要な時連絡してくれたらいいよ。私も無理なら無理で断る」


その方が気が楽だし。

その方がそっちも好きな時に女性との時間過ごせるでしょ。




本気になってはいけない恋

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

4

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚