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でもそんなのどうでもいい
嫌われたくない
捨てられたくない
それだけで、頭がいっぱいだった
視界が滲む
ぽたぽたと落ちる涙を拭く余裕もなくて、 ただ必死に玲於を見上げる。
「……いなく、ならないで……」
声が震える
言葉がうまく繋がらない
でも、伝えないと終わる気がして
「俺……ちゃんとする……いい子にするから……っ」
自分でも分かる
今の自分がどれだけ惨めか
でも、そんなのどうでもいい
玲於がいなくなるより、ずっとマシだった
「なら、友達なんていらないよね。消せないなら、そういうことだよ」
胸の奥が、ぎゅうっと締め付けられる。
怖い。
怖い怖い怖い。
一人になるのが怖いんじゃない。
玲於がいない〝世界〟が怖い。
だって
玲於がいないと、俺は生きていけない。
「け…消す!消すから…!玲於以外いらないから……っ!」
震える声と手でポケットからスマホを取り出し、連絡先の一覧を開く。
さっきまで笑い合っていた友人たちの名前を、俺は自らの指で、一つずつ削除していった。
「け、消した……っ、ほら……全部、消したから……」
画面を見せると、玲於の表情がふっと和らいだ。
「よかった……消せて偉いね。やっぱり霄くんには、俺しかいらないもんね」
さっきまでの冷酷さが嘘のように、優しく頭を撫でてくれる。
その手の温かさに、俺は一縷の希望を見出した。
「じゃ、じゃあ……許してくれ、る……?」
だが、玲於は満足げに微笑んだまま、残酷な一言を付け加えた。
「そんな甘えた顔してさ…言っとくけど俺、まだ怒ってるからね」
(……あ。)
でも、その声の色はさっきまでとは違う。
底冷えするような拒絶ではなく、執着に満ちた、どこか子供のように拗ねているような
俺が知っている、いつもの玲於の「愛し方」だ。
戻ったんだ、と直感した俺は、迷わず彼に抱きついた。
「好き、玲於が好きだから……一番だから……っ、俺が悪かったから、ね、許して……?」
必死に甘え、彼の胸に顔を埋める。
すると、玲於の手が俺の腰を強く掴み、ひょいと軽々と抱き上げた。
「……じゃあ、俺の気が済むまで抱く。……朝まで、寝かさないから」
「はっ?!ま、待てって! 明日大学あるし……!」
「霄くんが悪い。俺の言いつけ守らなかったんだから」
有無を言わせぬ低い声。
抵抗する暇もなく、俺はベッドルームに連行されてしまった。
ドサっと乱暴にベッドに投げられ、あっという間に全裸に剥かれていく。
羞恥を感じるより早く、玲於の整った顔が近づいてきて、貪るようなキスが始まった。
舌を絡ませ合う熱い口づけを繰り返しながら、玲於は自分の服も脱ぎ捨てる。
現れた彼の肌は、闇の中で妖艶に光っていた。
「もう挿れよっか」
「ま……待って、まだ慣らしてな……っ!」
「だから?」
問答無用とばかりに、両足が力任せに割り開かれる。
蕾に、既に硬く濡れている玲於の欲望が押し付けられた。
「痛……ッ、……っぁ……!」
異物が無理矢理入ってくる感覚。痛みに体が強張る。
けれど、玲於は構わずに腰を進めてくる。
「痛い? なら体でよく覚えられるね……俺との約束破ったらどうなるか……っ」
律動がすぐに始まり、息つく暇もない。
苦しい、でも同時に頭の芯が痺れるほどの快感もある。
それは俺が玲於のものである証明だった。
「あっ、あっ、玲於………っ!」
次第に理性も羞恥も薄れていき、ただ与えられる刺激に溺れていく。
「ほら、言って? 俺のこと好きって、一番好きって」
「すっ、好き……っ、れお、れおが一番……っ、……!」
揺さぶられながら何度も繰り返すうち、体は完全に玲於に支配されていた。
行為の途中、玲於は思い出したように冷たく尋ねた。
「で、盛り上がったってさ、今日どんな男とどんな話してたの? この前会った男?」
正直に答えればまた怒らせるかもしれない。
だけど、嘘をつけばもっと酷い目に遭うのも明白だった。
「え……っ、普通に…仲良い友達と酒飲んでて……なぜか、俺の恋人の話とか……っ」
「……霄くん、まさか俺のこと話したりした?」
「……っ」
「え、……っと……っ……うん、背が高くて、かっこいい美容師の彼氏がいるって……っ」
「……マジ?」
「……話しちゃ、ダメだったわけ……?」
「まさか。ちょー嬉しい」
玲於は鼻で笑いながらも、腰の動きはますます速くなる。
「んあっ……ッ♡♡れ、れお、急に……っ!」
「彼氏自慢してくれたのは嬉しいけどさー、他の男に目移りしないように体に刻んどかなきゃ……っ」
「俺しか見えないようにしなきゃね、霄くん?」
「ん”っあぁ!!?♡♡」
「ほら腰使いなって……もっと気持ちいいところ擦ってあげるから」
「やッ…そんなの…わかんなっ……あ”ぁ!!♡」
甘い言葉の裏にある執着の深さを感じながら、俺はただ彼に縋りつくことしかできなかった。
◆◇◆◇
翌朝
俺の意識が浮上したのは、玲於の腕の中だった。
目を開けるとカーテンの隙間から淡い光が射していて、昨夜の嵐のような情事が嘘のように穏やかな朝だった。
「ん……玲於……っ」
掠れた声で呼びかけると、隣で眠っていたと思っていた玲於がパチリと目を開けた。
「あ、起きた?」
鼻先が触れ合うほどの距離で微笑まれる。
汗ばんだ額に貼りつく俺の前髪を、長い指が優しく掻き上げてくれた。
「……身体、平気? 痛いとこない?」
訊いてくる声は蜂蜜みたいに甘いのに、その奥に潜む「俺のものだ」という確信が透けて見える。
昨日あれだけ激しく責められて体の節々は痛いけれど、玲於がここにいるだけで幸せで、そんなのどうでもよくなる。
「……大丈夫」
小さく答えると、玲於は嬉しそうに頬を緩ませた。
「よかった。じゃあちょっと起きよっか」
促されるまま怠い体を起こすと、すぐに温かいレモネード入りのグラスが手渡される。
一口啜ると喉が潤って、「サンキュ」と呟いたところで、後ろから玲於の両脇の間に手が侵入してきて、ぎゅっと抱きしめられる。
いつも通りの玲於だ、と思うと心底安心して
俺は玲於の手を解いて振り向くと、玲於の背中に両手を回す。
「……玲於……次からは約束守るから……もう、あんなに怒んないで」
そう言って彼の首筋に顔を埋めると、頭上からクスクスと笑う声がした。
「ふふ、もう怒ってないよ。たださ……霄くんが俺以外に目移りするのが、耐えられないんだよ」
そう言いながら玲於は俺の手を握り、爪を確かめるように撫でてくる。
「……でも俺、友達の連絡先消したし……浮気だってしないんだけど」
ぽつりと漏らすと、玲於は俺の唇にチュッと触れるだけのキスをして、囁いた。
「それでも霄くん可愛いから心配だよ。いつどこで他の男に狙われるか分かんないじゃん?」
「狙われないって……」
「いや、狙われる。だから次からは絶対約束破らないって約束して? じゃないと俺、おかしくなっちゃうから」
そう言う玲於の表情はどこか狂気じみていて、それでいて妙な色気に満ちていた。
彼の嫉妬や独占欲が怖いこともあるけれど、それ以上に玲於が俺を必要としてくれているのが嬉しかった。
「うん……分かった……約束、する。だから……玲於も俺のこと捨てんなよ」
俺がそう告げると、玲於は一瞬きょとんとした表情をしてから、愛おしそうに俺を抱き寄せた。
「霄くん、可愛い……俺が捨てるわけないでしょ? 一生側にいるんだから」
「じゃ、じゃあ……美容室に可愛い女来ても目移りしない?」
「不安になったの?」
「美容師ってこと伝えたら、同級生の女子がお前のこと調べてキャーキャー騒いで、今度その美容室行こうって話してたし…」
「お前が他の奴に触られてんの想像するだけでやなんだけど」
「大丈夫だって、霄くん以外アウトオブ眼中だし」
耳元で断言するように囁かれると、胸が暖かいものでいっぱいになって、自然と目頭が熱くなる。
「ほんとに……?」
「もちろん」
玲於は俺の指に自身の指を絡ませてぎゅっと握り締めると
「約束したんだから守ってね、霄くん。……また破ったら次は……無いからね」
と甘やかすような低い声で、けれど逃げ場を塞ぐように脅し文句を口にした。
でもその脅迫じみた言葉さえ、今は愛おしく感じる。
玲於の大きな手をぎゅっと握り返して小さく頷くと
玲於は満足そうに微笑み、もう一度深くて甘い、俺を溶かすようなキスを贈ってくれた。
そして俺は、これからも玲於の檻の中での幸せに浸ることになる。
たとえ外の世界がどんなに魅力的でも、俺の居場所は、玲於の隣しかないのだから。