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バッ!
「……え?」
顔を上げると、綾川君がふわりと口元を緩めて笑っていた。
顔を見た途端かぁっと頬が熱くなる。
赤い顔を隠す為に両手で顔を覆う。
すると、頭上から笑い声がした。
「あははっ」
笑ってる…?
指の間から覗くと明るい笑顔をしながら、声を出して笑う綾川君が居た。
その笑顔にまたドキッとして俯く。
小さな声で「なんで…居るの…?」
と聞くと、
「ん〜。さっき、話しかけようと思ったら、逃げられちゃったからさ」
「うっ…」
バレていた事が 恥ずかしく感じる。
「ごめんなさい…」
申し訳なくなり、謝ると綾川君は
「大丈夫!俺も昨日、急にごめん。」
と逆に謝られてしまった。
数秒間、見つめ合った後、2人で笑いあう。
「あはは!綾川君変な顔〜!」
「天音さんだって〜!」
そして、綾川君は少し黙り、深呼吸をした後
「あのさ、図々しいのは分かってるんだけど…」
「なんですか?」
何かあったか思い出していると、決意したように、少し頷いて
「名前さ、呼び捨てで呼びたい。」
「………え」
ん?んん?呼び捨て?天音って呼びたいの?
すると、突然、綾川君が悶えだした。
「うわぁぁ!ダサいよな〜!ごめん!さっきの忘れて!」
呼び捨てかぁ…本当は、別に嫌じゃない。
迷ってるのは、絶対に赤面するから。
でも、綾川君が勇気を出して聞いてくれたから、私も、勇気出さないとだよね。
「……いいよ。」そう返すと
「……へ?」綾川君が変な声を出した。
「本当に?本当にいいの!?」
何度も何度も聞き返す綾川君。
それに返すように
「本当だよ。」と言う。
さっきまで、反対側を見ていた綾川君が、
私の返事を聞いた瞬間、泣き出しそうな顔をしながら振り返った。
「よろしくね!翔馬君」
笑いながら右手を差し出す。
すると、パァァっと明るい顔になって
「うん!よろしく天音!」
差し出した右手を大きな手で包む。
天音…君に呼ばれた自分の名前は、とても、特別な名前に感じた。
その時、休み時間終了5分前の放送が流れた。
「戻ろっか!」
「うん!」
ガラッ!!
大きい音を立て開く教室のドア。
入ってきたのは担任の幕山(まくやま)先生。
幕山先生は、皆に「まくっち」等とあだ名を付けられている。
「まくっち〜!1時限目何?」
絢がそう聞くと。
「おう!今日は席替えだ!」
と耳に響く大きな声で答える。
その途端、わぁぁ!と騒がしくなる教室。
「ほら〜!静かにしろ〜!それじゃ、くじでもいいか?」
はーいとバラバラに答える生徒達。
ゴソゴソと机を漁り、くじの紙を出す先生。
「引きに来ていいぞー!」
一斉に群がる生徒。
余り物でいいので、ゆっくり向かう。
余りの1枚を引き、席に戻る。
開くと【17】と大きく書かれている。
何処だろうなぁなんて、思っていると、移動の合図が出たので、同じ数字が書かれている席を探す。
………あった!って…
「え、天音〜!?やった!」
「翔馬君!よろしくね」
なんと、隣が翔馬君だったのだ。
余り物には福がある。なんて、
2人でキャ-なんてバカな事やって居た。
そして、授業が始まる。
カキカキ カチッ
シャーペンが紙に擦れる音が教室に響く。
「ここが分かれば〜…」
先生が黒板に書いたのをノートに写す。
ん〜…これどうしたらいいんだっけ…
記憶から探りながら解き方を思い出す。
カサッ
隣の席。翔馬君が紙切れを私の机に置いた。
ん?何これ… 開くと
【ここ、○と△を…】
と、分からなかった問題の解き方が書かれていた。
なんで…
「分かった?」
小さな声で耳打ちをする翔馬君。
「ッ!?なんで分かったの?」
顔には出してなかったはず…
「ん〜勘?w」
か、勘って…
「悩んでた天音可愛かった」
ッ!?顔に出てた!?てか、可愛い!?
告白されて1日目。
どうしてドキドキするのかな…
【作者ノート】
呼び捨ていいなぁー
てか、思えば。うち、好きな人に名前呼ばれたことないわ。悲しっ!
まぁ、また遅くなるだろうけど、お楽しみに!
おそらー!