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あたしは自分の本当の親が大智の両親だって思い込んでた。あたしだけ関係ない家に養子に出されて、大智だけ実の両親に育てられてるのが許せなかった。あたしは実の親に捨てられたかわいそうな子どもなんだって悲劇のヒロインぶって、育ててくれた親にもよく当たり散らした。そのことはあとで謝ろうって思ってる。

あの頃、あたしはいつも怒っていた。大智を不幸にできるなら悪魔に魂を売ってもいいとまで考えて、本当に悪魔に魂を売ってしまった。小山田圭吾という悪魔にね。

あたしと大智は学年は違うけど同じ中学だったから、中学生になった大智が不良グループに呼び出されて暴力を振るわれたりお金を取られたり、ひどいいじめをされてるのは知っていた。もちろんあたしは一度も助けなかった。それどころか、ざまあみろって陰で見て笑ってた。不登校にでもなればいいのにって思いながら見てたけど、大智はどれだけいじめられても家族に心配かけないように学校に休まず通い続けた。


大智が中二で、あたしが中三で卒業まであと半年というタイミングで、放課後、あたしはいじめの首謀者の一人の小山田圭吾と軽音楽部の部室で二人で話をした。軽音の部室は部室棟の一番奥にある、もともと物置に使われていたスペースで、窓一つついてない密室の小部屋だった。傲慢なあいつは自分は椅子に座り、先輩のあたしを自分の前にずっと立たせていた。

「勝又美琴先輩って大智のいとこなんですね。つまり、大智をいじめるなっておれに言いに来たんですか?」

「逆、あたしはあいつが大嫌いなんだ。今のいじめは生ぬるいんだよね。あいつが自殺するくらいまで追い込んでほしいんだけど」

大智が死ねば、あたしが大智の両親と暮らせるはずだって、馬鹿なことを考えていた。

「見返りは?」

「見返り?」

「なんでおれが先輩のお願いをタダで聞かなきゃいけないんですか? 大智はただのストレス解消でたまにサンドバッグになってもらってるだけなのに、自殺するくらいのいじめ? そんなのやる方だって疲れるしめんどくさいわけですよ。おれにとって魅力的な見返りがあれば考えてもいいですよって言ってるんです」

「お金でいい?」

「大智からカツアゲしてるやつがいるのは知ってるけど、おれはまったく金に困ってないので、それはしたことないんですよ。先輩、おれが音楽でけっこう稼いでるの知ってますよね? 先輩がこづかいから出せるようなはした金には興味ないんで、ほかの見返りでお願いします」

「あたしが君の彼女になる、というのは?」

「おれの彼女になりたい女子なんていくらでもいるのに、なんでただの一般人でしかない先輩を彼女に選ばなきゃいけないんですか? それ、あなたにとってはただのご褒美で、全然おれに得がないんですけど」

「もう分からない! 見返りとしてあたしに望むものを、君の方からいくつか挙げてみて!」

「そうですね」

あいつはあたしの頭の先から足の先まで舐め回すように見ていた。あたしはあいつの目で犯されているような嫌な気分になった。

「じゃあ先輩、おれのセフレになりませんか」

それを聞いた瞬間、冗談で言ってるのかと思った。でも本気でそう言ってるんだとあいつの目を見て分かった。狂ってる。でも確かにこの男なら大智を自殺に追い込むことができるに違いない。

「それはちょっと……。あたしまだ処女だし……」

「じゃあ、セックスなしでもいいですよ。毎日ここで会って、おれのお願いしたことを十分間だけやってくれればそれでいいです」

「できないことやれとは言わないんだよね?」

「この場でできることだけです。何かを持ってくる必要もないです。手ぶらで気軽に来て下さい」

「撮影とかも嫌だよ」

「大丈夫です。おれがこの場で楽しむだけです」

「それで絶対に大智を自殺に追い込んでくれるんだよね?

「今からだと先輩の卒業には間に合わないかもしれないけど、一年以内には必ず」

「分かった。その条件でいいよ」

「契約成立ですね。じゃあさっそく今日からお願いしていいですか?」

「言ってみて」

「スカートをまくって、おれがいいって言うまでそのままでいてください」

なんだ、その程度かと拍子抜けした。パンツ見せるくらいで大智が死んでくれるなら安いもんだ。

「いいけど、誰かここに来たりしないよね?」

「ここは軽音の部室だけど、おれ以外の部員はみんな名前借りただけだから、ここにはおれ以外誰も来ないんですよ」

スカートの裾を両手でつかみ、なんか言った方がいいかなと考えて、

「どうぞ」

と言って、スカートをまくり上げた。

自分から見たいと頼んだくせに、またその日のショーツは水色の薄手のもので目を凝らしたら毛が透けて見えたかもしれないのに、あいつはあたしの下着なんてほとんど見ようとしなかった。

あたしたちはその状態で話を続けた。

「先輩、明日から大智をここに呼び出すので、あいつが壊れてく様子を毎日来て自分の目で確認するといいですよ」

「分かった。でもあたしに見られてるって知られたくないんだけど。あたしはどこで見てればいいの?」

あいつはあたしの後方を指差した。

「ちょっと狭いけど、そこの掃除用具入れに入っててもらっていいですか。その隙間から見える場所で大智をいたぶりますから」

「OK! 放課後すぐあの中に入って待ってるよ」

あたしはパンツがずっと丸見えになってるのを忘れて、夢中であいつと話していた。気がついたらスカートをまくり上げてから五分以上経っていた。

「先輩、もう下ろしていいですよ」

と言われてスカートを下ろしたけど、恥ずかしいという気持ちは心の中にまったくなかった。


掃除用具入れに入り、これから現れる大智に対するいじめを見物することになってるけど、誰もいない部屋の古くて狭い掃除用具入れに入り、一人でぼうっと待っていると、まるであたし自身がいじめに遭ってるような気分になってくる。

十五分ほど待ってやっと誰かが部室に入ってきた。先に大智、あとから入ってきたのが小山田だった。大智が部屋の真ん中辺りの床に座らされ、それを小山田が見下ろしている。

「いつも蹴ったり殴ったり痛い思いさせてごめんな。今日は言うこと聞けば一切痛い思いさせないから安心してほしい」

小山田はあくまで優しく大智に語りかける。

「とりあえず服を全部脱ごうか。もちろんパンツだけは履いたままでいいからさ」

言うことを聞かなければ暴力で制裁されることを理解している大智は少し考えてから立ち上がり、ゆっくりと服を脱ぎだした。運動部員ではなかったが、今と同じで当時の大智の髪型もスポーツ刈り。ケンカが強そうな顔つきをしてるのに、実際はただの見掛け倒しだった。

パンツ一枚になった大智は不安そうだった。今までの経験でいじめがこれで終わるとは思ってないのだろう。その予測は正しいが、ここから出ていくことができないから、褒めてあげられないのが残念だ。ちなみにパンツはおじさんが履くような白いブリーフだった。大智らしいと声に出さずに笑ってしまった。

「パンツ、お父さんとシェアしてるの?」

小山田も呆れて笑っていた。

「ステージを作るから待ってろよ」

縦二つ横二つの計四つの机をくっつけただけの即席ステージが作られて、大智はその上に乗るように促された。小山田が、そのまま上がろうとした大智をたしなめる。

「家に上がるとき靴を脱ぐよね。同じように、ステージに上がるときは必ずパンツを脱ぐんだ。常識だから」

大智はブリーフも脱ぎ捨て、ステージに上がり、体育座りをした。なるほど、この座り方なら性器が見えづらい。

小山田が大智に、掃除用具入れの方に体の正面を向けるように、また足は折り曲げて思いきり開いて座るように指示した。

濃い陰毛の茂みからだらんと垂れ下がる男性の生殖器が見える。ネットに転がる動画や画像としてなら、今まで何度も見たことがある。それらはたいてい激しく勃起してそそり立っていたから、小山田に威圧されて小さく縮こまる大智の生殖器はこれ以上はないというほど貧弱なものに見えた。

大智はまだ、自分の生殖器を生殖器として使用する前に――つまり女とセックスする前に自分が自殺してこの世から消えてしまうことを知らない。そういう意味では生殖器というより、まだ生殖機能を持たない男児のそれに近いという意味で、おちんちんと呼びたくなるような代物だった。と考えてから、男児のおちんちんには陰毛なんて生えてはいないだろうなと思い直した。すでに生殖能力を持った性器を持ちながら、一度もそれを女の生殖器の中に挿入することなく死んでいく大智をほんの少しだけ、本当にほんの少しだけかわいそうだと思った。

「じゃあ、大智、ふだんやってるみたいにここでオナニーやってみようか」

小山田の頼み方はいつもソフトだ。命令されて仕方なくするんだ、という意識を相手に持たせないようにするためだろう。そう。大智はこれから自分の意志で人前でオナニーしようとしている。

片手でそれを握り上下に動かし始める。いつも澄ました顔してるくせにふだんこんなふうにいやらしくオナニーしていたんだなと知った。大智の生殖器は痛々しいほど勃起していった。

「あと少しで射精するというところで教えて手を止めること。勝手に射精したら半殺しだから」

数分後、大智は言われた通り、

「もう出ます」

と小山田に伝えて手を離した。小山田はあらかじめ用意してあった黒いアイマスクを大智の顔に装着し、手招きしてこっちに来るようにあたしに知らせた。

アイマスクをしてるせいで何も見えてない大智の前に立つ。自分の貧弱な裸を、全裸で足を開いて机の上に座るみっともない姿を、痛々しく勃起した性器を、すぐ目の前にいるあたしに見られてることを大智は知らない。無様だなと思った。でも本当の地獄はこれからだ。

「今日だけ特別におまえのオナニーを手伝ってやるよ。心配するな。タダでやってやるから」

小山田はそう言って、あたしにそれをするように促した。あたしは大智のそれを右手で握り、一度ぎゅっと握りつぶした。

「痛っ」

大智の悲鳴が心地よい。大智がこの世に存在するせいで、今までどれだけ嫌な思いをさせられたことか。今あたしはその大智の生殺与奪の権利を得た。恨みを晴らすように乱暴に上下にしごいた。

「ああっ」

三十秒ももたずに射精して、白い液体が机を越えてぼたぼた床に落ちていく。こぼれ落ちていくそれを左手で少し受け止めてみた。大智の分身だと思うと精子でさえも憎かった。

あたしはまた大智の性器をしごき始めた。さっきより乱暴に、そして雑に。そんなでも気持ちいいらしく三分ほどで射精した。さらにもう一度――

大嫌いないじめっ子に性器をしごかれて三回も射精させられたことで、大智は屈辱感に震えていた。

でも実は性器をしごいて三回も射精させたのは実の姉のあたしだった。いじめっ子の小山田に性的いじめを受けたと思うくらいで体が震えるなら、真実を知ったらどれくらいショックを受けるだろう?

人を自殺に追い込むほどのいじめってどうやるんだろう? とさっきまで半信半疑な気持ちだったけど、なるほどこの方法ならそう時間がかからず大智の心を壊すことができるはずだ。あたしは小山田を見直したのと同時に、この企みにあたし自身がもっと積極的に関わってやろうと暗い情熱の炎を燃やしていたのだった。


「気持ちよくしてもらったのに情けない顔するなよ」

小山田のそんな声に見送られて、放心状態の大智は部室から出ていった。汚した床をきれいにするに当たっては、小山田がこの部屋にあるものをおまえの精子で汚すなと言ったので、大智は自分のハンカチとそれだけでは足りなかったのでブリーフも使って床を拭くしかなかった。だから部室を出るとき制服のズボンの中には何も履いてなかった。

「美琴先輩、出てきていいですよ」

と言われてあたしはまた掃除用具入れから出た。

「美琴先輩、本当に大智のことを憎んでるんですね。大智のやつ、泣きそうでしたよ」

あたしは小山田に、実はあたしと大智は遺伝子上は姉弟で、あたしだけ養子に出されたのだと話した。

「先輩、それを利用して大智に自殺させるいい方法がありますよ」

「どんな方法?」

「先輩はこれから大智のそばにいて姉として支えてやって下さい。いじめに負けちゃダメだって優しく励まし続けて下さい。それで大智が先輩に気を許した頃に、見せつけてやれば自殺しますよ」

「何を大智に見せつけるの?」

「先輩とおれがセックスしてるところを、ですよ。あいつの唯一の心の支えのお姉さんまで実はおれ側の人間だったと知ったら、大智はどうなります?」

そんな残酷なことがよく簡単に頭に浮かぶもんだと感心した。あたしはその話に乗り気になった。この世から大智の存在を確実に消せるなら、処女を捨てても惜しくないと思った。

「美琴先輩、今の話は急がないので、よく考えといて下さい」

「分かった」

「じゃあ美琴先輩、今日のお願い聞いてもらっていいですか」

「どうぞ……」

さっき大智に対してあれだけやりたい放題やらせてもらった以上、今日の要求は昨日みたいなソフトなものでなく、その見返りとしてかなりハードなものになるだろうなと思っていたから、思わず返事の声が小さくなってしまった。

「まずスカートを履いたままパンツを脱いでください」

またスカートをまくれと言われてもいいように、今日は厚手の黒いショーツを履いてきたのに、無駄になってしまった。言われたとおりショーツを脱いだ。パンツを見られるくらいならいいけど、その中を見られたり触られたりするのは、そのとき処女だったあたしにはまだ抵抗があった。でもパンツを脱げと言われた以上、きっとそのどちらかは迫られるのだろうなと覚悟した。

小山田は何の迷いもなく制服のズボンと黄色いトランクスを脱ぎ捨て、さっきまで大智が乗っていた机に腰掛けた。上半身はワイシャツ姿、下半身は何も身につけてない。

「美琴先輩、隣に座って下さい」

「う、うん……」

大智が四つ合わせた机の真ん中辺りに座らされたのに対して、あたしたちは並んでブランコに乗ってるみたいに机に浅く腰掛け、足を前に投げ出している。大智の性器は穴が開くほど見てやったけど、小山田のそれは見ていいものかどうか分からないからずっと目を背けている。

「美琴先輩、おれのちんこもしごいて下さい」

「え? さっき大智にやったみたいに?」

「あれはいじめですよね? おれのは恋人とセックスするイメージで触って下さい」

そんなこと言われてもよく分からないけど、自分のあそこを見られたり触られたりするのではないと分かって、正直ホッとした。

「じゃあ触るね……」

小山田はあたしの右側に座ってるから右手を横に滑らせていこうとしたけど、その手はすぐに小山田に取り押さえられた。

「恋人なら目をそらしたらダメですよ」

「う、うん。分かった……」

あたしはそのとき初めて小山田の性器を見た。まだ触ってないのに彼の性器は勃起していた。同じ勃起した性器でも、大智のは痛々しい感じしか受けなかったけど、小山田のそれは落ち着きというか不思議な余裕が感じられた。陰毛は大智よりもかなり薄いけど、それは小山田が薄いというより大智が濃すぎるだけかもしれない。

「なんでもう勃起してるの?」

「美琴先輩に触ってもらえるのがうれしいんですよ」

やっぱり女ったらしだなと思った。既に音楽業界で成功者として名を刻んでいる小山田には何人も恋人がいる。高校生や大学生だけでなく社会人の恋人もいると聞いたことがある。年上の大人の女たちと対等に渡り合える小山田が、先輩といっても一般人でただの中学生にすぎないあたしなんかに魅力を感じるわけがないのだ。

「じゃあもう一度……」

小山田の性器をそっと握ったとき、正直ちょっと得意な気持ちになった。小山田に憧れてる女子は多い。あたしは今みんなの憧れの男の性器を思い通りにしているんだ。性器を握った手を上下に動かし始めると、小山田が言った。

「美琴先輩、キスしてもいいですか」

自分が小山田の性器を好き放題にいじってるのに、そんな彼にキスもさせないのはひどいかなと思ったから、

「いいけど……」

と答えたら、すぐに唇が彼の唇で塞がれた。頭の中が真っ白になった。それがあたしのファーストキスだった。たぶんそれは一分くらい続いたと思う。

「美琴先輩、愛してます」

「あ、あたしも……」

「先輩」

「うん」

「スカートをまくって下さい」

「うん」

ショーツを脱いでいたことを忘れていたわけじゃない。スカートをまくれば全部見られてしまうことも理解していた。そのとき私は彼になら見られてもいいと、いや見てほしいと確かに思った。

小山田の性器から手を離し、隣に座る小山田によく見えるように両手でスカートをまくり上げた。昨日パンツを見せたときは全然見ようとしなかったくせに、このとき小山田はまじまじとあたしのあそこを覗き込んできた。

「恥ずかしい……」

あたしは陰毛が濃いことがコンプレックスだった。実際、大智よりは薄いけど、隣の小山田よりは間違いなく濃かった。

「毛がこんなに濃くてうらやましいです」

「うらやましい?」

「だって比べたらおれなんて子どもだし」

「そんなこと……」

小山田は全国区で活躍するミュージシャン、中学生相手におせじなんて絶対に言いそうにない。そんな彼に自分の嫌いな場所を褒めてもらえて、あたしは有頂天になった。

「美琴先輩」

「うん」

「セックスしたいです」

「ここで? 大智と同じ扱いなの?」

「大違いですよ。大智が死ぬまで経験できないセックスを、先輩はおれとするんです」

机の上で四つん這いになったあたしは小山田に後ろから貫かれた。処女をなくした瞬間、大智の顔が浮かんで、勝ったって思った。うらやましいでしょう? あんたがオナニーしかさせてもらえないあいだに、あたしはみんなの憧れの小山田とセックスまでしてるんだから!

処女だからセックスしたくないと言った翌日にはもう処女でなくなっていたというわけ。セックスしない、一日十分だけ、撮影しない。約束したことはその日に全部破られた。

それから小山田は放課後になると部室に観客を集めて大智を机の上に乗せてオナニーをやらせるようになった。あたしはそれを掃除用具入れの中から終わりまで見物して、みんないなくなったあとさっきまで大智がオナニーをしていた机の上で小山田とセックスした。

一方、あたしは小山田に言われたとおり、大智の家に行き、大智の味方の振りをした。だんだん大智もあたしに懐いていった。あとはあたしと小山田のセックスを大智に見せつけるだけだったのに、なぜかあたしはそれをする気になれなくなっていた。毎日のように小山田とセックスしてたのに、大智の前でセックスするのだけがどうしても嫌だった。

一月の終わり頃、小山田からイライラしたような声をぶつけられた。

「美琴、大智におれとのセックスを見せるのとおれのうんこ食うのとどっちか選べよ」

もうその頃には小山田はあたしを呼び捨てにするようになっていた。もちろん敬語なんて使わない。

あたしはうんこを食べる方を選んで、小山田に馬鹿にされながらそれを食べた。

小山田にセフレになれと言われたとき、セフレになっとけばよかったのかもしれない。あたしは結局ただあいつの奴隷にされただけだった。

真冬に暖房もない部室で裸にされて服を全部取り上げられて、一人取り残されて三時間も放っておかれたときはさすがに泣いたよ。

うんこ食べさせられたのも一回や二回じゃないよ。あたし、詩音さんに残飯みたいな女って失礼なこと言っちゃったけど、あたしは残飯どころかうんこを食べてた女。誰かを馬鹿にする資格なんてないんだ。もちろん詩音さんは残飯なんかじゃない。大智の両親がかわいがるのも当然だと思うよ。

小山田はあたしたち姉弟のどっちも自分の思い通りに操れる奴隷に仕上げることができて満足そうだった。あたしまでそんなことになってしまったから、自分から小山田に頼んだことなのに、大智を自殺させることなんてもうどうでもよくなってしまった。

完全に心が折れたあたしは小山田の言いなりになって、あいつの奴隷として残りの日々を過ごし、中学を卒業した。


あたしが小山田とセックスしてるところをなんであんなに大智に見られたくなかったのか、卒業して大智とも小山田とも離れてみたらすぐに分かったよ。あたしは大智にいいお姉ちゃんとして認めてもらいたかっただけなんだ。死んでほしいと願うほど憎んでもいたけど、あたしが悪い男の言いなりになってセックスしてることや、ましてやあたしが誰かの奴隷にされてることを、大智にだけは知られたくなかった。

あたしが大智につらく当たれば当たるほど、自分の心が汚れてくような気がして、あたしの行動はさらに荒んでいった。思えばその悪循環だった。大智に会えば愛情の裏返しのあたしの憎しみはきっとまた暴走するに決まってるから、あたしはなるべく大智には会わないと決めた。

卒業して何ヶ月かして大智が自殺を図ったと聞いて、一年以内に大智を自殺させるというあたしとの約束を小山田が覚えていたことを知って驚いたのと同時に、あたしは結局大智が死ぬまで一度もいいお姉ちゃんにはなれなかったんだなって絶望した。

死んでほしいと願いながら、実際に自殺したら絶望するって勝手すぎるよね? 自分でも分かってる。でもそういう得体の知れない怪物だったんだ、あたしは。

だから、何日かして大智が意識を取り戻したと聞いて、あたしはもう二度と大智の人生に関わらないようにしようと誓った。憎む気持ちも認められたい気持ちも消えたわけじゃないから、関わらないという選択肢しかなかった。それがお互いのためなんだって自分に言い聞かせた。


でも最近になって小山田があたしに連絡を取ってきた。

あいつに奴隷にされたことがトラウマになって、中学卒業から今まで、あたしは誰も好きにならなかったし、怖くて誰かとセックスしたいとも思わなかった。

あたしは、あいつを殺して自分も死ぬつもりで、刃物を胸に忍ばせてあいつと会った。

あいつは大智の近況をずいぶん詳しく知っていた。大智が婚約したことは親から聞いて知ってたけど、小山田が持ってきた三枚の写真を見て、あたしはびっくりした。あいつは詩音さんと高校生たちのセックスを十時間も隠し撮りした動画データを持っていて、その三枚は長時間の動画のほんの一部分だけを切り取ったものだって言ってた。十二人の高校生と淫行した性欲モンスターみたいな女が大智の婚約者の正体だと聞いて、大智の幸せのために絶対にこの結婚を潰してやるってあたしは小山田と約束した。それは姉としての贖罪の気持ちからだったけど、一方で大智の不幸を願う歪んだ心もまたどんどん膨らんでいった。

本当にごめん。大智を自殺に追い込んだ罪だって消えてないのに、あたしはまた罪を増やすところだった。

あたしは自分のことしか考えてなかった。ううん、自分のことさえ考えてなかったのかもしれない。だって大智が死んであたしが幸せになれるわけでもないし。

大智が死んでも誰も幸せになれないけど、大智が死ねばみんな不幸になるのは間違いない。大智本人はもちろん、今まで育ててきた両親、そして詩音さん。特に、血の繋がりがなくても今まで懸命に育ててきた大智のお父さんの話を今日聞いて、七年前に大智が自殺したとき、死なずに済んで本当によかったと思った。

あたしはもう二度と大智にも詩音さんにも会わないよ。どうやったってあたしの犯した罪は消せないんだから、せめて会わないでいることがお互いのためなんだと思う。


そうそう、小山田が最後におもしろい話をしてたよ。あいつ、あたしが卒業してすぐまた別の女を奴隷にして、あたしとおんなじように部室でセックスさせたりうんこ食べさせたりしてたんだって。その女とは中学を卒業してからもずっと関係が続いてて、最近その女が小山田の子を妊娠して、向こうの親に結婚を迫られて困ってるってさ。

そんな話のあと、あいつ、またおれとつきあわないかってあたしに言ってきた。要はまた奴隷になれっていうことだよね。ふざけんなって言って思いきり顔を平手打ちしてやったよ。本当は八年前にそれができてれば一番よかったんだけどさ。

地味だけど、清楚でもない

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