蠱毒退治

徳川家光は江戸幕府の3代将軍として知られるが、知られざる秘密があった。右半身が、完全に「蠱毒」と化していたのだ。幼い頃から体の右側が異様に力強く、異常なまでに冷たかったが、家光は理由を誰にも打ち明けなかった。将軍としての使命と、右半身が持つ異質な力の間で、彼は次第に苦しみ始める。

ある夜、夢の中で家光は声を聞く。

声:

「お前には、藤原の血が流れている…その血が蠱毒を引き寄せ、異質な存在に変えたのだ。」

家光は目を覚まし、胸を押さえながら考え込む。藤原氏と自分が関係しているだなんて、一体どういうことなのか？彼の心は混乱し、さらに深い不安に襲われる。

右半身に潜む蠱毒の力は、絶大な効果を発揮した。家光は、蠱毒の力を駆使して何度も敵を圧倒してきたが、その力が人間離れしたものであることを知る者はほとんどいなかった。彼は家臣たちにもその力を隠し、自分が普通の人間であるかのように振る舞っていた。

家光:

「この力は、誰にも知られてはならない。俺が将軍である限り…いや、徳川が続く限りだ。」

しかし、彼の心の中には次第に疑問が湧き上がる。自分は本当に徳川の血を引いているのか？それとも、もっと古くから続く藤原の影響を受けているのではないか？

家光は、自らの血筋について調査を始める。探求は次第に藤原氏へとつながり、驚くべき事実が明らかになった。藤原氏はかつて蠱毒の術を操り、密かに権力を拡大していた一族であり、その血が家光の右半身に宿る蠱毒を引き寄せたのだ。

ある日、彼は文書を手に取り、藤原氏と自分との関係が書かれているのを見つけた。

文書:

「藤原の血は、徳川へと受け継がれ、蠱毒として姿を変え続ける…」

家光は震える手で文書を閉じ、運命を悟った。自分は徳川ではあるが、血筋には藤原氏の力が深く関わっていたのだ。

家光は自分が蠱毒であることを受け入れざるを得なかった。しかし、それと同時に藤原とのつながりが徳川に与える影響を恐れていた。自分の血が、蠱毒が、この国をどう変えてしまうのか。家光は葛藤の中で次第に冷酷な将軍としての顔を見せ始める。

家光:

「俺が蠱毒だろうが、藤原の血を引いていようが、徳川の世を揺るがすことはない。俺の手でこの世を変える…それだけだ。」

だが、彼の心には常に藤原氏との因縁が影を落としていた。

終章: 語り部の結末

そして、時は流れ、家光は歴史の中に埋もれていく。語り部は一部始終を聞き知っていたが、語る内容にはいささか「都合の良い」編集が加えられていた。

語り部:

「実のところ、家光には何の秘密もなかった。彼はただの優秀な将軍であり、藤原氏とのつながりもなければ、蠱毒なんて物騒なものも持っていなかった。ええ、皆さん、安心してください。すべては私が調べました。信じるかどうかは…まあ、自由ですが。」

語り部は最後に軽く笑い、聴衆は妙な違和感を抱きつつもその話を信じるしかなかった。

語り部:

「さあ、これでこの話はおしまい。真実なんて、気にしすぎても疲れるだけさ。」