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ひとせるな
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伝説の師匠たちによる「地獄の補習」を終え、黒咲たちの体には新たな戦闘の理(ことわり)が刻み込まれていた。一方、学校の時計塔は不気味に深夜の零時を指そうとしている。静まり返った校庭に、二つの巨大な殺気が待ち構えていた。
転校してきた殺し屋君 第2章:崩壊する日常
第15話:双璧の決戦(ダブル・レクイエム)
「ここからは、お前たちの戦いだ。俺たちは雑魚を掃討する」 佐藤(小曽根)と竹内(安藤)が背後を守るように立ち、黒咲、藤堂、浪岡の三人を先へ進ませる。黒蜜は負傷が深く、地下で治療中だ。彼のためにも、ここで終わらせるわけにはいかない。
校舎へと続く中央広場。そこには、月光に照らされた二人の影があった。
「……遅かったわね。待ちくたびれて、中身が入れ替わりそうだったわ」 冷徹な声。そこに立つのは、五つの人格を教頭の手によって「統合」され、戦闘機械と化した海沼玲亜。 そしてその隣、時計塔の梁には、漆黒のライフルを構えた**黒岩(黒鷹勇)**が静かに座している。
「浪岡、お前の裏切りは高くつくぞ」 黒岩の冷ややかな声が響く。
「……藤堂。海沼は俺たちがやるぞ。浪岡、黒岩を頼む!」 黒咲の合図と共に、二つの戦場が同時に爆発した。
【戦場 I:海沼玲亜 vs 黒咲雅樹&藤堂騎士華】
「まとめて掃除してあげる!」 海沼が地を蹴る。玲奈の脚力、れいおの爆発力、れいのの計算。全てが混ざり合った海沼の攻撃は、予測不能な軌道を描く。
ドガッ!! 黒咲は佐藤から伝授されたボクシングの歩法で、海沼の回し蹴りを最小限の動きでかわし、その懐に飛び込む。 「……そこだ!」 黒咲の鋭いジャブが海沼のガードを突き破る。しかし、海沼は空中で体を捻り、藤堂の背後へ着地。 「甘いわよ、騎士華!」 「それはこっちのセリフ!」 藤堂の白銀の刀が、闇の中で弧を描く。海沼の蹴りと藤堂の剣閃が激突し、火花が夜の闇を照らし出す。黒咲の打撃と藤堂の剣術。二人の完璧なコンビネーションが、かつて圧倒されたNo.4の動きを徐々に追い詰めていく。
【戦場 II:黒岩(黒鷹勇) vs 浪岡龍水】
「パワーだけで俺に勝てると思っているのか、浪岡」 黒岩が至近距離からライフルを放つ。 「パワーだけじゃねぇ。俺にはこれがある!」 浪岡は竹内から教わった「死角への潜り込み」を使い、弾丸の軌道を読み切って突き進む。 「おおぉぉぉぉ!!」 浪岡の巨体が、黒岩のいる梁を根元から粉砕した。崩落する足場。黒岩は空中で拳銃に持ち替えるが、浪岡は瓦礫を盾にしながら、その剛腕を黒岩の胸元へと叩き込んだ。
月光の下、かつてのクラスメイトたちが、組織の威信と自らの信念をかけて激突する。 黒咲の拳が、海沼の視界を捉えた。
「海沼……目を覚ませ! お前の本当の心は、どこにある!」
叫びと共に、黒咲の右拳が海沼の守りを突き破ろうとしたその時。 校内放送から、教頭の冷ややかな笑い声が流れた。
『……素晴らしい。ですが、そろそろ「時間切れ」ですよ』
海沼の瞳が、血のような赤色に染まり始める。 人格統合のさらに先――「厄災」と呼ばれた最後の人格、**『玲(れい)』**がその産声を上げようとしていた。
(つづく)