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ななもりverーーーーーーー
莉犬くん。
俺は、君じゃない。
俺が知っているのは君の名前と誕生日。
履歴書にサインされている内容。
それだけなんだよ。
俺は占い師でもないし、先生でもない。
俺のいうことが100%正しいわけじゃないし、
正義のスーパーヒーローのようなかっこいいもんじゃない。
だから、君の求めている答えは俺にはいつまでも出すことが出来ないかもしれない。
俺はこの学園に来た室員には、一人一人に求めているものを渡したいと思っている。
いや、求めているものを見つけて欲しいと思っている。
るぅと君の場合は、ずっと隣にいてくれる両親だとか家族。
ジェル君の場合は、何気ない日常を一緒に楽しんでくれる友達。
ころちゃんの場合は、馬鹿みたいなものにだって本気でやり遂げる気持ち。
さとみ君の場合は、自分を子供にしてくれるありのままの自分を信じて愛してくれる人。
じゃあ、莉犬君は?
「莉犬君は幸せ?」
君のアンサーは、「はい」だ。
「どうして?」
「生きているから」
その答えはあまりにも、子供らしくなくて、
無理に背伸びをした大人びた答えだった。
君には親がいない。
君を育てる親族もいない。
きっと君なら、すぐに里親だって見つけることができるのだろうけど。
君の望む未来はそれじゃなかったんだよね。
ななもり「莉犬くん、夕飯食べに行こう」
莉犬「先行っててください」
莉犬「俺も後で行きます」
ななもり「俺、なんも思ってないよ」
莉犬「そんなの人間じゃないです」
ななもり「そうかもね」
ななもり「ほら、行こう?」
ななもり「みんなも待ってる」
ななもり「そしたら、さとみ君探そう」
莉犬「でも時間が…」
ななもり「時間なんてどうでもいいでしょ?」
ななもり「君達には時間がないんだから。」
莉犬「時間が…ない、?」
ななもり「そう、時間なんてあっという間だ」
ななもり「一瞬たりとも無駄な時間はない」
ななもり「たとえスマホを触る時間もね」
莉犬「先輩らしいですね」
ななもり「でしょ?」
莉犬「わかりました」
莉犬「行きます」
ななもり「そうこなくっちゃね!」
ななもり「今日夕飯何かな」
莉犬「ハンバーグって書いてありました」
ななもり「え、俺大好き」
莉犬「俺も好きです」
ななもり「ふふ、美味しいよね」
高校一年生にしては、君は小さいよね。
学園の制服がよく似合ういい顔だ。
この学園に入ってきた時に与えられた色は生涯君が大切にする色そのものだ。
予知なんかなものじゃない。
人間、古くから行っていたことは大人なってもやってしまうものだから。
俺はそれをすでに体感している。
実体験からなる考えということだ。
ころん「遅かったね」
ななもり「ごめん!楽しくなっちゃって笑」
ジェル「なんの話してたん?」
るぅと「気になります!」
ななもり「えぇ?つまんないよ?笑笑」
ななもり「ねぇ、莉犬くん」
莉犬「まぁ、はい」
ころん「莉犬くん!これ美味しいよ!!」
ジェル「話逸らすなや笑笑」
ころん「えぇ、いいじゃーん!」
ころん「それはいいからさ、」
ころん「ほら、莉犬くん!」
ころん「あーん!」
莉犬「あー…」
ころん「美味しい?」
莉犬「美味しい!すごく美味しい!」
ころん「だよね、僕も大好き」
ころん「僕たち味覚合うかもね」
莉犬「まだ一食めだよ?」
ころん「あはは!いいじゃんね!笑」
莉犬「適当だなぁ…」
ジェル「なんや?2人仲ようなったんか?」
ころん「まぁね〜」
るぅと「僕も混ぜてください!!」
ころん「ダメダメ!!僕達だけなんだから!」
ころん「ね、莉犬くん」
莉犬「あ、うん」
ななもり「みんな仲良しで嬉しいなぁ」
ななもり「先輩感激」
ジェル「あ、なーくん」
ジェル「さとみのことなんやけど、」
ジェル「まだ帰ってきてへんねん」
ななもり「なんとなくわかってたよ」
ななもり「いるところ多分わかるし」
ジェル「それならいいやけどな」
ころん「後で探しに行くの?」
ころん「先生に言っとくよ?」
ななもり「そしたら、そうしてもらえる?」
ななもり「見つかったら怖いからね」
莉犬「怖いんですか?それって」
ななもり「まぁ、一応?」
ななもり「どうにかなるさ、きっと」
ななもり「何?怖いんだぁ?」
莉犬「怖くないです」
莉犬「知らないから怖いだけです」
ななもり「怖いんじゃん笑」
ななもり「ま、食べたら行こう」
ななもり「先生の周回の時間決まってるから」
ななもり「会わないように行こうね」
るぅと「2人で行くんですか?」
ななもり「うん」
るぅと「僕も行きます」
ななもり「ううん、俺たちの問題だから」
ななもり「るぅちゃんは寝ててね」
ななもり「俺が怒られちゃうから」
るぅと「はーい、」
莉犬「ごめん、るぅとくん」
るぅと「ううん、大丈夫!」
るぅと「莉犬の布団あっためとくね」
莉犬「うん笑」
ころん「あ、そろそろ先生来ちゃうよ」
ななもり「本当だね」
るぅと「行ってらっしゃい!」
莉犬「行ってきます」
ジェル「気をつけてな、さとちゃんよろしく」
ななもり「任せて!」
先輩と暖かい格好をして、校舎を移動する。
なんとなく、行き先は決まっているようで足取りはとても軽いものだった。
朝見る校舎とは見違えて、暗くて今にも幽霊が出そうな場所だった。
ななもり「莉犬くんのこと好きなんだよ」
ななもり「さとみくん」
莉犬「好き…なんですかね」
ななもり「うん、大好きなんだよ」
ななもり「俺色んな人見てきたもん」
莉犬「色んな人…?」
ななもり「そう」
ななもり「さとみ君はここに最初来た時ね」
ななもり「凄く、警戒してた」
ななもり「家族だっているし円満な家庭。」
ななもり「でも彼には足りなかったんだよね」
ななもり「それは誰が悪いとかじゃない。」
ななもり「欲が満たされなかっただけ」
ななもり「寂しがりやなんだよ」
ななもり「お母さん達忙しくてね」
ななもり「あんまり、お家帰れないんだって」
ななもり「テストでいい成績でもね」
ななもり「誰からも褒められないの。」
ななもり「遊ぶ相手だっていなかった」
ななもり「友達もいえる友達もいなかった」
ななもり「だから、ここに来たんだ」
ななもり「猫ちゃんだよね彼」
莉犬「円満でも、ダメなんですか?」
ななもり「うーん、人によるかな」
ななもり「莉犬君は?違かったの?」
莉犬「俺はッ…」
今思えば、あの日から両親のことを思い出すことはあまりなかったような気がする。
というよりも、思い出したくなかった。
どんなに家に帰ってこない両親だったとしても、俺のことを愛してくれてることに間違いはなかったから。
莉犬「大好きだったんです俺」
莉犬「お母さんのこともお父さんのことも。」
莉犬「大好きだったんです。」
莉犬「いなくなるだなんて思わなかった」
莉犬「電話だったんです」
莉犬「事故が起きた時連絡してきたのが。」
莉犬「亡くなってしまうかもしれないと。」
莉犬「それはあまりにも淡々とした言葉で」
莉犬「それがどうしようもなく辛くて。」
莉犬「走って走って、病院に行きました」
莉犬「体が遅いように感じました」
莉犬「気持ちだけが焦っちゃって」
莉犬「体にむちが打たれているようでした」
莉犬「病院に着いて、部屋に行くと」
莉犬「白い顔をした両親と」
莉犬「手を合わせる、看護師さんがいました」
莉犬「タヒんだんだと、わかりました」
莉犬「その瞬間全てを失いました」
莉犬「こんな一瞬なんだと。思いました。」
莉犬「その日からは地獄ようでした」
莉犬「食べ物が喉に中々通らなくて、」
莉犬「睡眠だってろくにできない。」
莉犬「やっとの思いで、意識を失うように」
莉犬「寝れたとしても、」
莉犬「悪夢を見ました。」
莉犬「目の前で両親が居なくなるんです」
莉犬「ごめんねって」
莉犬「生きている心地がしなかった」
莉犬「息が上手く吸えなくなった」
莉犬「謝る必要なんてなかったのに。」
莉犬「俺はどうすることも出来ないんです」
莉犬「ごめんなさい、暗い話して」
ななもり「ううん、いいよ」
ななもり「いつか、聞きたいと思ってたから」
ななもり「知らなかったわけじゃないけどね」
ななもり「俺が知ってるのは履歴書だけ」
ななもり「それは君じゃないでしょ?」
莉犬「俺じゃ、ない」
ななもり「うん、違うの」
ななもり「君のこと知れてよかった」
ななもり「ありがもう」
莉犬「いえ、…」
ななもり「さとみくん」
莉犬「え、?」
さとみ「なに?」
莉犬「さとみ…先輩」
莉犬「ごめん…なさい」
さとみ「莉犬は悪くないだろ…」
さとみ「俺も悪かった、ごめん」
さとみ「泣いてるのか、?」
莉犬「泣いてなんか…へ、?」
莉犬「俺ッ…ポロポロ」
さとみ「話、聞いちまったんだ」
さとみ「辛かったんだな」
莉犬「先輩…ポロポロ」
さとみ「ここで泣いとけよ」
さとみ「あいつらの前じゃ泣きづらいだろ」
ななもり「ありがとね、さとみ君」
さとみ「先輩、すみません」
ななもり「ううん、いいんだよ」
ななもり「泣いてもらって良かった」
莉犬「あぅッ…ポロポロ」
莉犬「はぁッ…ごめんなさぁッ…」
さとみ「落ち着け落ち着け、?」
さとみ「大丈夫だから」
さとみ「どこも行かねぇよ」
ななもり「そうそう、ここにずっといる」
その日、その後からの記憶はない。
強いていうなら、さとみ先輩の温かい体温が気持ちよくて眠気に襲われたことぐらいだ。
2人の背中はものすごく大きい。
きっと俺が2人と同じ年齢になったところで、きっとこんなに寛大な人にはなれないだろう。
この学園に来れて良かった。
この人たちに会えて良かった。
コメント
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あの……最高すぎて口角天井にぶっ刺さって頭禿げました ありがとうございます(?)