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誠の騒ぎがようやく収まり、メンバー達が搭乗ゲートに向かう、誠が音々にウインクしながら言った
「ねえ、音々ちゃん、俺達のツアーファイナル、東京ドームだからその時はステージに立ちなよ!」
「おう!それがいいぜ!力と一緒に「メロンパン」の歌を歌おうぜ!」
拓哉もその話にノリノリで言った
「いいよ!音々カウボーイの衣装がいい!」
搭乗ゲートは再び笑い声で満たされた、その裏には別れの時間が刻一刻と近づいている現実があった
『大韓航空KE724便、(ソウル仁川国際空港)行きにご搭乗のお客様は、搭乗口25番へお進みください』
アナウンスの声を聞くと力の胸に重いものがのしかかる、沙羅と音々を日本に残し、また韓国へ戻らなければならない・・・
長いブラック・ロックのワールドツアーが始まり、契約も残っている、だが、今度こそ沙羅と音々を失うわけにはいかない
「パパー!ビデオ通話してね!」
「うん!音々ちゃんが夜寝る前に必ずするよ!」
「早く帰ってきてね!」
「わかった」
音々を抱き上げ、力が最後の別れを告げる
「行ってらっしゃい、みんな元気でね!」
沙羅が静かに言う、彼女の声は穏やかだったが瞳には複雑な感情が揺れていた
力は最後に音々の額にキスをして沙羅に渡した、寂しそうな瞳には少し涙が滲んでいた、それを見た沙羅も切なくて泣きそうになった、健一が言う
「力、ツアーが終わったらすぐ日本に帰ってこいよ、お前にはここに家族がいるんだぞ」
「わかってる、音々ちゃんと沙羅を頼むよ、父さん」
「ほら、行くぞ!力」
「じゃーな!音々ちゃん!沙羅ちゃん!」
力の背中を押したのは拓哉だった、二人の視線が絡み合い、今では8年間の空白を埋めるような強い絆を感じた
ブラック・ロックのメンバー達全員が搭乗口へと消えていった
力は何度も振り返り、沙羅と音々の姿を目に焼き付けながら、仲間達と一緒に歩みを進め・・・
やがてみんな消えていった
関西空港のロビーは再び日常の喧騒に戻り、夕陽が滑走路を赤く染めていた
この別れがこれからの自分達の新しい家族の絆を紡ぐためのものであるように、沙羅は心から願った
そして後日、沙羅は力に贈られた指輪がいったいどういった代物なのかを調べた
するとこの指輪はジュエリーの王様ハリー・ウィンストンの1500万円の婚約指輪『エタニティ・プロミスリング』だと判明した
沙羅はあまりの高額に奇声を上げてひっくりかえった
そしてこれから自分は一生、こうして力のやることに驚かされるのだろうと思った
・:.。.・:.。.
「パパ! 今日ね! ママが作ったチャーハン食べたよ!」
音々の弾けるような笑顔がリビングに響く、ノートパソコンの画面越しに、スタジアムで骨組みのステージを背にした力が、ちょっと疲れた顔で笑う、目の下にはくまが浮いている
『ハハッ! いいなぁ~、パパもママのごはん食べたいよ!』
力の声は少し枯れているがどこか温かみがある、画面の向こうで、彼は首を振って笑っている、ステージの準備で忙しいはずなのに、こうやって音々と沙羅のために毎日時間を割いてビデオ通話をしてくれる
音々はパソコンの前でピョンピョンと跳ね、まるで力に飛びつくかのように手を振った
一か月前、力が韓国での活動に飛び立った時は沙羅は不安でたまらなかった
もう二度とこんな風に笑い合えないんじゃないか、音々が父親の顔を忘れてしまうんじゃないかと思ったが
しかし力はそんな心配を吹き飛ばすように、どんなに忙しくても毎日ビデオ通話を繋いでくれた
時差も、距離も、力の愛を止めることはできなかった 、それが沙羅には何よりも嬉しかった
『いよぉ~! 音々ちゃん!』
『沙羅さん、音々ちゃん! お久しぶりですぅ~!』
突然、画面の端から拓哉とジフンが飛び込んできた、音々が嬉しそうに手を叩く
「拓哉君! ジフン!!」
すると、わちゃわちゃと他のメンバーが我先にと画面に割り込んできた、全員目の下が真っ黒なのを見ると元気そうにはしているがツアーの過酷さを物語っていた
『音々ちゃん、元気かぁ~?』
『力さんはすぐにビデオ通話しにいなくなるんですよぉ~!』
沙羅はクスクス笑いながら、画面の向こうの騒がしさに目を細める
「みんな元気そうね! 体調崩さないようにツアー頑張ってね、私達全部リアルライブストリーミング中継で観てるわよ」
『沙羅ちゃんのヤキソバパン食べたぁ~い!』
『俺も! 俺も!』
『俺は健一さんのソーメン!』
メンバーの声が重なり合い、力は笑いながらもメンバーをなぎ倒すようにして前に出る
『だぁ~! もう! コイツらがいたらゆっくりしゃべれない! サウチェ(※サウンドチェック)始めるから、また後で電話するよ』
「ばぁいばぁ~~い!パパ」
そしてプツン・・・と通話が切れた、音々はまだ興奮冷めやらぬ様子で笑って言った
「パパ達、大変そうだね!」
「そうね、日本のコンサートには東京と九州に行こうね~」
「うん! ねぇ、明日の参観日、おじいちゃんも来てくれるって!」
「そう! よかったわね~さぁ、それじゃ明日のために、もう寝ましょうね」
沙羅は音々の髪を撫でながらふと思った・・・
力がこんな遠くにいても、音々は寂しがるどころか、毎日をキラキラと楽しんでいる、健一が音々を溺愛してせっせと面倒を見てくれることも大きいけれど、何より音々自身の心が、父親の愛をしっかり受け止めて彼を信頼しているからだろう
沙羅は、自分の娘の強さに密かに誇らしさを感じていた
・:.。.・:.。.
夜も更け・・・
音々が眠りについた後、沙羅はベッドにうつぶせになってタブレットを立てていた、キャミソールとショートパンツのラフな姿で、力とのビデオ通話を二人っきりで再び始めていた
『でさ、もうアイツらには困ったもんだよ・・・』
力の愚痴とも冗談ともつかない話に、沙羅はクスクスと笑う
クスクス・・・
「そうなんだ」
沙羅の声は柔らかく、画面越しの力の沙羅を見つめる目は愛情に満ちている
「イギリスはずっと雨なの?」
『そうだよ、明日のスタジアムライブもきっと雨だな、6時になったらリハに行かないと』
「やっぱりどこも行けないの? ホテルにこもりっきり? かわいそうに・・・」
沙羅の少し同情した口調に力が笑う
『もう慣れっこだよ、あ~あ、沙羅がいたらホテルに缶詰めでも楽しいだろうな、だってすることがあるから時間なんてすぐ経つよ、今すぐ「どこでもドア」で隣に来て!』
クスクス・・・「あたしだってどんなにそうしたいか・・・」
『おっと!沙羅、もうちょっと屈んで!』
「・・・?なんで?」
『おっぱい見えそうだから』
ポッと沙羅の頬が染まった
「ま・・・まぁ!力ったら!バカなんだから!ちょっと!何してるの!」
画面越しに力が自分の履いているデニムのボタンを開けてファスナーを下ろした
『こんにちは~♪』
「ハイ!こんにちは~・・・って!バカッ!何出してるの!しまいなさい!」
沙羅は画面に映っている力のモノに深々と頭を下げたが、すぐにつっこんだ
ハァ・・・『沙羅!脱いで見せて!もう随分君を抱いていない!僕が君にしか興奮しないの知ってるでしょ!』
力がゆっくり自分自身を擦っている、もうそこから目が離せない
「で・・・でも・・・誰か来たら・・・」
『誰が来るって言うんだよ!ホテルの僕の部屋だぞ!』
「リ・・・リハーサルあるんでしょ?」
『うん、だから、早く!』
「変態みたいよ、力!」
『男は少なからず皆変態なんだよ、特に好きな女の子にかけてはね!』
いい年した自分の事をまだ女の子と呼んでくれる・・・そんな力が愛しくて切なくなった
沙羅はipadの前で正座して、誰もいない部屋をキョロキョロ見渡している自分がバカみたいだと思った
でも・・・ああっ・・・力のモノは私を見てあんなに大きくして・・・
可哀想に・・・なぐさめてあげたい
途端に沙羅の母性本能が全開になる
音々もぐっすり眠っているし・・・
ハァ・・・『沙羅も触って・・・一緒に気持ち良くなろうよ・・・』
画面越しに力から息を呑んだうめき声が漏れる・・・
もう一ケ月も二人は離れ離れだ、力は自分のこわばる股間を掴み、沙羅を見ながら自ら刺激を与えている、途端に沙羅の頬が熱くなる
忙しく右手を動かし、快感とも苦痛とも思える顔で眉毛をハの字にしてこっちを見つめる力はセクシー過ぎてドキドキする
「は・・・恥ずかしいよ・・・力・・・」
『沙羅!早く!見せて!僕を愛してないの?僕のも見ていいから』
「もう・・・力の・・・バカ!」
そう言いながらも尚も重量を増していく力の股間に沙羅は目を奪われた、力のソレは長く太かった、艶やかな先端がむき出しになり、重々しく筋張った根元近くの血管が脈打っている・・・
こんなの思うの変かもしれないけど力のはカッコいい・・・
かわいそうに力は欲求不満であんなに大きくして沙羅を求めている・・・私が傍にいれば・・・
沙羅自身も硬さを増す一方の彼に触れ、自分の中に迎え入れて慰めてあげたいと言う欲求に濡れた
この手の事は悪魔の様に上手く誘導してくる力に逆らえる訳がなく、結局沙羅は言われるまま全裸になり、画面に向かって脚を開き、力の自慰行為に付き合わされ、最後は自分もノリノリになってしまった事がとても恥ずかしかった
『あ~!めっちゃ気持ち良かった!これ、いいな!今度からビデオ通話セックスはしょっちゅうやろうよ!明日もライブが終わったら電話するから付き合ってね、イェ~♪ライブ後の楽しみが出来た!曲が出来そうだ!』
スッキリした顔で力がウキウキしながら言う、結局巧みな力の誘導を受けて自分を慰めてイかされた沙羅が息も荒く画面の力を睨む
ハァ・・・「バカすぎ・・・(照)こんなの毎日やらされたら体がもたないわ・・・」
ジャ~ン♪『それでは、聞いてください!世界の果てで君とビデオ通話セックス!』
「切るわよ(怒)」
遠く離れたイギリスのホテルの一室と、日本の小さな沙羅の家・・・時差も、雨雲も、二人の間を隔てるものは何もないかのように二人のやりとりは続く
ギター片手にハイテンションの力の声はさすがに疲れが滲むけれど、沙羅を見つめる目は変わらず愛に溢れている・・・
沙羅もまた力の笑顔に心を預ける
『愛してる、沙羅!』
「私もよ・・・力」
どんなに離れていても、二人の絆は揺るがない・・・
力の笑顔も、力の冗談も、沙羅を見つめる優しい眼差しも・・・
そのすべてが、二人の愛を確かに繋いでいるのだった
今度こそ私達は家族だ
そう思っていたのに・・・
この日から力の連絡はぷっつりと途絶えた