二人きりの時間が流れるにつれて、
俺はますます彼の存在に引き寄せられた。
触れるたびに、心が震えて、
それが確かに“本物”だって実感できた。
ふみくんは俺を抱きしめたまま、
少しだけ身体を引いて、俺の顔を見つめた。
その瞳には、普段の冷静で頼りがいのある
リーダーの顔はなくて、
ただ一人の人間としての、
深い愛情が映っていた。
「ふみや、どんな顔してるか知らないだろ?」
そう言って、彼は少し笑った。
その笑顔は、
普段のFUMINORIにはない柔らかさがあった。
「俺、いつもふみやが
一番大切だって思ってる。」
彼は顔を近づけ、静かに俺の耳元で続ける。
「けど、
ステージではそれを伝えるのが怖かった。
こんなふうに、
お前を…俺だけのものにするなんて。」
その言葉を聞いて、
胸が締め付けられるようだった。
今まで気づかなかったけれど、
ふみくんもずっと同じ気持ちを
抱えていたのだと知った。
俺はそっと、FUMINORIの肩に手を置き、
顔を上げた。
「俺も、ずっと
……ふみくんにだけ伝えたかった。」
その言葉に、
FUMINORIは少し驚いた表情を浮かべて、
しばらく黙っていたが、やがて静かに頷いた。
「俺たち、同じ気持ちなんだな。」
そして、彼の手が俺の腰を優しく抱き寄せ、
再び唇を重ねた。
キスは最初は軽く、優しく、
でも次第にその熱が高まっていった。
お互いの距離が、言葉で言い表せないほどに
縮まっていくのが感じられた。
――やっと、ステージでの仮面を外した瞬間、
素顔の二人が静かに重なり合っていく。
FUMINORIはFUMIYAをベッドに押し倒し、
上からそのまま覆いかぶさる。
その顔が、すぐそばで見える。
俺の息が彼の頬に触れるたびに、
彼もまた、静かに息を呑む。
「ふみや、俺、お前が好きだ。」
その言葉に、俺はただ頷き、目を閉じた。
ここでは誰にも邪魔されることなく、
ただふたりだけの時間を過ごせる。
どんな言葉よりも、ただその静かな時間が、
何よりも大切に思えた。
「俺も、ずっと好きだよ。」
その言葉を胸に、俺はすべてを委ねるように、彼に身を任せた。
明日にはまた、
ステージで輝かなきゃならないけれど、
今この瞬間だけは、
FUMINORIと過ごす時間が全てだった。
二人だけの世界で、
スポットライトの届かない場所で、
一緒に眠りについた。