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人は生まれれば100分の一の確率で100人に一人の逸材になる。それは極めて道理にかなっている。
大昔のまだ現生人類が数千人しかいなかった頃、そういった人たちは人々の上に立てていただろう。
大昔の人はそういったリーダーの指導のもと、部族社会や封建社会を営んできたのである。
やがて農地を作るようになり、肥沃な土地をどんどん制圧していった。やがて海沿いに貿易の中心地が作られ、商業都市が作られていった。少数の君主のもとの統治は依然として継続され。時には人々の信仰の対象にもなった。
各地で絶え間なく戦いが行われたが、人々はお互い助け合って時の試練を乗り越えてきた。
しかし、この惑星に鉄道ができてからすべてが変わってしまったのだ。
農民だった人々は都市に行き雇われた労働者となり、貴族だった人々は鉄道会社に投資をする資本家となった。
都市人口が増加したことで世論は複雑になり、少数の君主のもとの政治は難しくなっていった。そんな中、いまだ農奴のような扱いをされる市民たちの怒りは爆発し、各地で市民による革命がおこり、政治は民主主義が主流になっていった。
また、銃が開発されたことで市民が戦争に駆り出されるようになった。銃があれば人生の殆どを戦いに捧げてきた騎士を音速でとぶ鉛玉一発で簡単に倒せるからである。世界はますます合理的になっていった。
第二次世界大戦以後、コンピューターや相対性理論、量子論、素粒子物理学の進歩、鋼鉄より便利なプラスチック、家畜の品種改良により人類は躍進的に発展し、豊かになり、やがて人々は宇宙を目指すようになった。
ある日、地球を作った監視者は起き上がった。眼の前には小さな粒が地球の周りを飛んでおり、星のマークがたくさん描かれた旗が頭に刺さっていた。地球に目をやると、陸地全体がピカピカに光っていた。そこには色のない世界、汚れた海、干からびた砂漠が広がっていた。すこしの間困惑したが、状況を理解し庭園に人間をすまわせたことを後悔した。
「私の45億年かけて作った庭園が、めちゃくちゃだ…気候も完璧に管理し、波も常に動かして、降雨も管理した、究極の楽園が築かれるはずだった世界がこんなふうになってしまうとは。生命が誕生したことを友達に自慢しようと思ったのに。人間は地球の紫外線バリアを温室効果ガスで破壊し、自滅の道を歩んでいる…それも他の生き物を道連れにしながら。今以上の悲劇が起きる前に私が対応しなければ。私の作った庭園は完全に壊されてしまう!」
地球の監視者はヒトにのみ感染するウイルスを大量に散布した。
100億人の人間の努力は意味をなさない。我々は1万年かけてなにもわかっちゃいなかった。