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#ギャップ
ひより
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鷹槻れん@コノカレコミカライズ

51,258
百はな🍑
544
48
王城、聖灯の間。
――パキィン……ッ!
聖灯の儀の最中、静寂を切り裂くような音が響いた。中央に据えられた、金色の巨大な魔石。その表面にひびが入り、隙間から禍々しい黒い瘴気が噴き出す。
「な、なんだあれは……!?」
悲鳴が上がるより早く、魔石が台座から転げ落ちた。
――ドゴォォンッ!
重い音を立てて床を砕き、魔石は黒い煙を撒き散らしながら、逃げ惑う貴族たちの方へ転がり始める。
「きゃああああっ!」
「魔石が暴走しているぞ!」
「誰か、止めろ!」
混沌とする会場の中、王太子が震える手を前へかざした。指先に灯る、かすかな光。けれどその光は、あまりにも弱々しく、頼りない。その光は、迫り来る黒い渦に触れた途端――あっけなく呑み込まれて消えた。
「う、嘘だろ……?」
「王太子殿下の光が……効かない……!?」
「王家の力でも鎮められないのか……?」
絶望のざわめきが、聖灯の間に広がっていく。貴族たちの顔から、血の気が引いていた。
時は、数時間前に遡る。
***
「父上にお目通りを」
その日の朝。レオンは、国王が静養している離宮へ続く回廊に立っていた。目の前には、王妃派の侍従が立ち塞がっている。昨夜の毒杯の痛みは、まだ喉の奥に残っていた。けれど、もちろん表情には出さない。
笑みを浮かべ、肩をすくめる。
「親不孝な息子が、久しぶりに城へ戻ってきたんだ。顔くらい見せてもいいでしょ?」
侍従は、わずかに眉を動かした。その後ろには、護衛が四人。廊下の角に、さらに二人。扉の前には、医師らしき男と、薬湯の盆を持った侍女が控えている。
「申し訳ございません、レオン第二王子殿下」
侍従が、丁寧すぎるほど深く頭を下げる。
「陛下はご病状が重く、どなたにもお会いになれません」
「誰にも?」
「はい。王妃陛下のご命令にございます」
「そっかぁ。なら、無理はさせられないね」
そう言って、あっさりと踵を返す。
だが、頭の中ではすでに別の計算が動いていた。
(護衛は扉前に四人。廊下の角に二人。医師は王妃派の人間。薬湯は朝と夕方の二回……なるほど。じいやの情報通りだ)
──その時だった。
コメント
1件
うわっ、最初の聖灯の間の場面から一気に引き込まれた。金色の魔石にひびが入って瘴気が噴き出す描写、すごく鮮烈で印象的だったよ。そして時間が遡ってレオンが父王に会おうとしているシーン……「親不孝な息子が久しぶりに戻ってきたんだ」って笑顔で言いながら、頭の中では護衛の配置や薬湯の時間まで緻密に計算してるギャップがたまらない。タイトル通り「策がある」感じがひしひしと伝わってきて、続きが気になって仕方ない!