テラーノベル
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幻と幻が、交わった場所。歴史と夢が、食い合った地。
そしてその瞬間――現実が落下した。
京都と千葉の戦いが極点を迎えたその時、空から“巨大な何か”が落下する。
地鳴り。音はない。だが、空気が“止まる”。
京都:「……来た、か。」
瓦礫を割って、鋼鉄の塊が姿を見せる。それは都市であり、兵器であり、意思を持つ城。
煙の中から現れる、黒コートの男。眼光は冷たく、無感情。肩にかかるのは、三河湾製の鋼鉄義手。
愛知 :千葉。夢は夢のままでよかった。現実に踏み出した瞬間、それは製品になる。そして、“不要品”は――廃棄する。
マスコットが一斉に笑い、観覧車が起動。夢の国が再起動しようとする。
千葉:「あれれ、知らない人が来ちゃったよ……ねえ、君も遊びたいの?」
拳が変形し、多重構造の機関拳になる。
腕に刻まれた技術特許番号が、光り始める。
あらゆる“虚構”を「未特許」「未製品」「未登録」のまま抹消する力。
夢・幻想・概念・神話など、現実で“物として形を持たないもの”を削除する。
愛知の拳が振り下ろされる。
衝撃波ではない。
定義変更。
観覧車が鉄骨に戻り、崩壊する。空に浮かんでいた夢の城はCAD図面のラフに戻り、破れる。
千葉の背後の全キャラクターが、笑みを保ったまま“無”になる。
千葉:……あれ? これ、夢……?ねえ、ボク……まだ……“始まったばかり”だった、のに……
彼の体は崩れない。
“存在の定義そのもの”が、塗りつぶされて消える。
愛知:夢とは、資本なき幻想。出資者のいない王国。製造されなかった物語など、不要だ。
歴史と夢は、産業により粉砕された。
それは、冷徹な正義ではない。
ただ、“作られたもの”が“作られなかったもの”を駆逐する理。
今、列島にとって最も恐るべきものが現れた――定義する者。製造する者。消去する者。
その名は――愛知。
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