テラーノベル
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「ねえねえ。今日、花火?」
「そうだよ。楽しみだな」
いつになくそわそわしている北斗に返事をし、慎太郎が朝食のトレーを膝に乗せて、普段の席につく。
鼻歌をうたいながら高地が入ってきて、椅子に座ろうとしたがそこには先客が。彼の手は、北斗の背中に触れた。
「お、誰だろう」
「ほくとだよ」
「北斗かぁ! ごめんごめん。どこが空いてる?」
「となりだよ」
「はーい」
少し遅れて樹と大我もやってくる。ようやく、食事でも6人がひとつのテーブルに集まるようになったのだ。
それぞれの「おはよう」の挨拶を交わす。
今日は、日が暮れたら外で花火をすることになっていた。
「晴れてるのかな? 雨降らないよね」
高地が言って、慎太郎が窓の外に目線を投げる。
「晴れてるよー。天気予報、一応見よっか」
テレビをつけ、ニュース番組にチャンネルを合わせる。
「おひさまのマーク!」
北斗が明るい声を上げ、
「そうだねぇ」とジェシーが優しく相槌を打つ。
「降水確率もゼロじゃん。じゅりー、『今日は晴れ』だって」
簡単な手話をした慎太郎に、左手でオッケーのポーズを返す樹。
北斗はずっとワクワクしているのか、テーブルにこぼし気味で勢いよく食べている。
それを大我が苦笑しながらそっとティッシュで拭った。
やがて朝食を済まし、各々トレーを返しに立ち上がる。そのとき、樹と高地の肩がぶつかってコップが落ちた。
「うわっごめん!」
『大丈夫?』
それぞれ、届くことのないことば。
樹は落ちてしまったコップを拾い、トレーに載せる。どうしようかと悩んだ末、
「あい、おうう…?」
高地の、光すらほとんど見えていない瞳が大きく見開かれた。ほかのメンバーも手や足を止める。
その小さな声を聞いて、高地は大きくうなずく。
「大丈夫だよ。樹…声出してくれて、ありがとう」
樹の頬が緩んだ。
はっきりとはしていない発音だが、ちゃんとみんなの耳には届いていた。
後ろで、慎太郎とジェシー、大我が微笑み合う。
その朝は、それまでのクラリティで一番優しい朝だった。
日が暮れるのが待ちきれないみんなは、フライングをして夕方に外に出た。
「こーちー、夕焼けが綺麗だよ。明日も晴れるね」
ジェシーが空を見上げ、声を上げる。
「なにそれ、予言?」
「違うよ。夕方の太陽が雲で隠されてなかったら、明日の空は雲がないの」
「へぇ」
高地は素っ気ない返事をしながらも、首をもたげてみる。風、香り、音。感じられるものはたくさんある。
慎太郎が眩しそうに、片手を額にかざす。「暑いねー」
「それなあに?」
北斗が、そっと出てきた大我に話しかける。大我は愛用のカメラを持っていた。
レンズを北斗と隣の樹に向け、シャッターを切る。不思議がる北斗に、撮った写真を表示して見せた。
「すごーい! これ、ぼく? こっちはじゅり!」
うなずくのを見て、北斗はきゃっきゃとはしゃぐ。それを樹が微笑ましそうに眺めている。
夜の訪れは、もうすぐ。
続く
#Iris
もも🍑♥
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なす
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コメント
1件
おお〜!第13話、読み終えたよ〜〜!!🌸✨ もうね、朝の食堂のシーンがエモすぎて泣きそうになったんだが…!?😭💕 特に樹が声を出そうとしたところ、「あい、おうう…?」って小さな声がみんなに届いた瞬間、マジで胸が熱くなったよ…!障害とか関係なく、ちゃんと伝わるものがあるんだなって思ったらもう…! あと、大我が写真撮って北斗に「すごーい!」って言わせるシーン、尊すぎてキュン死に寸前でした💀💘 続きの花火、めっちゃ気になる〜!!早く夜になれ〜!!(笑)