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横須賀で発生した渡辺蓮の死を受けて、日本国内では市民団体の呼びかけに応じて、反米デモや集会が至る所で開催された。アメリカ合衆国に対する日本人の意思表示は、安保闘争時代の光景と重なるものがあった。
デモに参加した若者の中には、イベントと勘違いしている者も多く、街中ではゲリラライブをを行う学生達や、動画を生配信するダンスグループも現れた。
アメリカ合衆国の主要メディアは、過激なヘイトスピーチを行う団体のみをクローズアップして報道し、半ばフェスティバルと化した反米祭りの詳細は伝えなかった。
「ヒロシマ・ナガサキの恨みを晴らせ!」
「汚いアメ公は日本から立ち去れ!」
「アメリカへ原爆を!」
等々の文言は、アメリカ国民の感情を逆撫でさせるには充分だった。
在日米軍の撤退や、日本に多額の補償金を求めよと云った世論に、アメリカ政府も手をこまねいていた。
羽田空港で墜落した空中司令機内の多くの要人や軍人、東京ジェノサイドで行方が分からないアメリカ国籍の観光客やビジネスマン、大使館員や在日米軍基地の全ての安否不明者家族の感情も、日本人の反米感情が強まるにつれ、日に日に悪化していった。
そうして、アメリカ国内でも、反日デモが頻繁に開催されるようになった。
渡辺の遺作となった動画は衝撃的で、急発進するピックアップトラックを止めようとする警備員はいなかった。
むしろ、身体を退けて日本人目掛けて突っ込んで来る車を、何者かが誘導させたと云った疑惑も取り沙汰された。
中でも、韓洋グループが大株主を占めるさくらテレビの報道は過激だった。
渡辺蓮が跳ね飛ばされる瞬間を、モザイク処理無しで放送し、軍属のヴェルナード・キンスキーの過去の生い立ちを事細かに取り上げた。
両親が白人至上主義の団体に帰依していたこと。
日本人女性と付き合ったものの、ヴェルナードによるDVがキッカケで破局したこと。
トモダチ作戦で負った足の傷は、日本人の所為だと言っていた話を一方的に放送した。
他の民放テレビ局も、さくらテレビの報道姿勢を真似た。
そんな中で、アメリカ合衆国大統領 ドナルド・ザッケンバーグは国民向けの声明を出した。
その模様は、日本国内でも生中継された。