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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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毎日ジメジメと太陽が僕らを照らす。でも、この夏ももうすぐで終わる。名残惜しいなあ。あなたの首筋に滴る汗。それを拭う骨が浮きでた綺麗な手。太陽の光が苦手なあなたは目を細める。この夏のあなたの一瞬をも見逃したくない。気付かないで、まだ、僕の気持ちに。






side R


今日も練習。体育館は男だらけで蒸し暑い。バレないように少し休憩。タオルで額の汗を拭き取る。隣に気配が感じるが気のせいだろう…気のせいであってほしい。沈黙。すると頭に衝撃が走る。



「イッタ!何するんですか!って…祐希さん。」

「らーん?何サボってんの。」

「あ、いやいや、サボってないっすよ?てか!頭叩かなくてもいーじゃないっすか!ひっでぇ。」

「それは藍がサボってるのが悪いよ。ほらほら、練習。あと五秒。ご、よん、さん、」

「…あ〜〜、もう!!分かりましたよ!行けばいーんでしょう?祐希さんのバーカ!」



サボってたのバレた。やっぱり祐希さんは、僕の事分かりきってんだなあ。やべ、にやけちゃう。あ〜ゆう絡み、僕にしかしないから。やはり少しだけ特別というものに優越感を感じる。やっぱり夏はいい。夏が好き。サボったらあなたが来るから。近づけるから。いや、夏のあなたが特別好きというわけではない。春、夏、秋、冬。どの季節でも好き。というより、あなたの仕草が好きだから、どの季節でもいい。あなたに近づけるならなんでもいい。



「あ、小川さん!祐希さん!俺抜きで何話してるんすか〜??」

「え、藍抜きで飲み行くかって話してた。」

「え?!ちょ!!小川さんそれは酷ない?!」

「ンはは、藍落ち着きな。ちゃんと藍も誘おうとしてたからね。藍なしだったら静かだしね。」

「ですよね〜、僕抜きの飲み会とか面白くないやろ〜??」

「じゃあ、現地集合で。」



祐希さんと飲み会とか、久しぶりすぎる。楽しみやな。今日はお気に入りの香水つけて、髪も服をキメて。完璧。そして自信満々に扉を開け、小川さんと祐希さんを探す。すると今にも酔いつぶれそうなあなたと小川さんが居た。



「お、藍。遅かったじゃん。もう祐希さん潰れそうだよ。」

「え〜ちょっとちょっと、二人して僕より先に飲んでたんすか??ひど〜い!」

「お前が遅いからだろ。最初の五分くらいは待ってた。」

「五分って!!全然待ってないやないですか!!」



頬を赤らめたあなたが僕のことをじっと見詰めて、“ああ、藍。遅かったね。”とふわっと微笑みながら言ってくる。反則でしょ。ここに小川さん居なかったら、今すぐにでもお持ち帰りしていただろう。あなたの仕草全部が目に映る。目で追いかけてしまう。暑そうに、髪をかきあげて、手で仰いで。それでも少しずつお酒を口にする。ああ、あなたにキスしたい。そんな欲情にかき乱される。この欲もあなたにはバレないように。蓋を閉める。いつか、その時まで。



side Y


何やら視線が痛い。酔ってるせいで、ほんの少し赤かった顔も真っ赤に染まる。君が俺のことどう思っているかなんてもう知っている。それに、藍がその気持ちに気づく前から、ずっと前から俺は君のこと思い続けてたんだけど。藍はすごく分かりやすい。一つ一つの表情が。怒ったら眉を顰める。拗ねたらツンとしてそっぽを向く。嬉しい時は万遍の笑みを零す。照れている時は顔を赤く染めて口元を少し緩める。こういうちょっとしたところに目がいく俺は、大分藍に惹かれているのだろう。



「藍、小川も帰ったし聞くけど、藍からの視線が痛いんだけど。そんな見詰めないで。」

「え、ああ、そんなに分かりやすく見てましたか??」

「分かりやすすぎ。もっとバレないようにしてよ。」

「ええ〜〜、別にいいでしょう??」



なんて言いながらまだ見詰めてくる。“そろそろ帰りましょうか”と自分自身の肩を差し出してくる。俺がふらついてるのに気遣ってくれたのだろう。こういう所もモテポイントなんだろうな。まあ、もうモテないでくれ、と心の中で思う。例えば、この前はファンの子にハグを迫られていた。それを了承して。ハグくらいなんだって、みんなは思うかもしれないが頬をくっつけていた。ずるい。俺だってあんなに近づいた事ないのに。大きなため息を着く。



「祐希さんどうしたんですか〜〜、悩み事?的なもんすか??僕でよければ聞きますよ〜。」

「ああ、重大な悩み事。だから、藍には難しいかなあ。」

「な、ひっど!僕だってもう大人なんですからね?!」

「いやいや、でかい子供だよ。」

「あ〜もう言ったな??!祐希さん置いていきますよ〜〜!!!」



置いていく、なんて言ってるけどしっかり肩貸してくれてる君は優しさの塊なんだと思う。ただ、まだ、あと少しでいいからこの距離感を楽しんでいたいと思ってしまう。いつか、その日が来るのは知っているけれど。まだ、その時じゃないから。




まだ気づかないでいて

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