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あれから
何回繰り返しただろうか。
何度も何度も同じ時間日にちに目覚め、柔太朗は目の前で死んでいく。
舜太は心も体も疲弊していた。
違うルートを辿っても必ず死んでいく柔太朗に、何も出来ずただただ命拾いしているだけ。
「……もう、あれしか、ない」
何回何百回何万回と繰り返した舜太の目は覚悟と決意で溢れかえっていた。
「じゅうちゃんを救うには、これしか方法なんてない」
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「しゅんちゃん、おはよー。少し遅刻だよ」
待ち合わせ場所に柔太朗はいた。
柔太朗は少し寂しそうな表情で、スマホの画面を指さす。
時刻は12:35分を指していた。
「……ごめんなぁ」
「まぁ、いいよ。対してすぎてないしね。じゃ……行こっか」
最近出来たカフェに行ってみようかと、2人は話をしていた。
「サイトでさ、メニュー見たんよ。どれも美味しそうやったな」
「ね。」
柔太朗は微笑んだ。
「ん?」
ニャー
木陰から猫の鳴き声が。
それは、2人の前を横切って行った。
「……猫ちゃんや。可愛ええなぁ」
野良猫の割には毛並みが揃った黒猫。
「でもあれやな、俺ら犬派やしなぁ」
舜太は黒猫を行った先をじっと眺める。
「…そうだね。しゅんちゃん時間おそくなるよ?」
「あっごめんごめん!行こっか!」
そう言って2人は横断歩道の前に立った。
『……よし』
いつもより少し長く感じる赤信号。
2人を刺すような太陽の光。
そして青に変わる信号。
2人は歩き出した。
柔太朗は少し早足気味で歩いていた。
「しゅんちゃん」
急に柔太朗が横断歩道の真ん中で立ち止まった。
「……じゅうちゃん」
その時だった。
ドンッ
舜太は思い切り柔太朗を前に突き飛ばした。
柔太朗は飛ばされた勢いでコンクリートへ打ち付けられる。
「いっっ……て……!え、しゅんちゃ」
柔太朗が舜太を見た時、舜太は安心した。
『……これで、ええんや』
柔太朗が助かる方法。
それは。
舜太の体に鋭く鈍い痛みが走った。
体は宙を舞って地面に叩きつけられる。
舜太を突き飛ばしたであろう大きな物体は、スピードを落とさずに通り過ぎて行った。
『……これで、じゅうちゃんは助かる、』
「…!しゅんちゃん!!!!!!!」
微かに残る意識で辺りを見渡せば、泣き叫んで駆け寄ってくる柔太朗の姿。
ぶつかった衝撃で遠くに飛ばされたのだろう。
横断歩道が遠くに見えていた。
耐え難い痛みも、柔太朗が今までずっと抱えていたと考えると何も痛くない。
「……じゅうちゃ、、よか、た」
舜太は安心して目を閉じた。
「………………ごめん」
「……また、しゅんちゃんを助けられなかった」
[END]
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