コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ヴェルツィ高等魔法学校 食堂
アイトラーと相席して、昼食を食べる。
もちろん、学校カースト最底辺の俺がアイトラーと昼食なんて信じられんだろう。
ざわついていたが、それは理由が様々だ。
普通生クラスの生徒たちは美少女のアイトラーと俺が同席している事に俺が下心を持っているんじゃないかと言うこと。
特別待遇生クラスの生徒たちはアイトラーの異常なレベル値に目を疑っていた
「…アイトラー、なんでそんな…に、人間になれたんだ…?す、スライム…だったよな?」
動揺しまくってる俺の声に困惑しながらも、詳しく説明してくれた。
「8年前に先生が初級魔法学校から魔法局に移った時、私は先生みたいに強くなりたいと思っていました。言っても当時はクソザコスライムでしたが。」
突然の暴論に俺は動揺する。
クソザコスライム…
「強くなれば、先生とまた会えると思ったんです、…それからは控えめに言ってこの世の地獄の凝縮体みたいでした。」
なんか怖くなって、そこは省略して頂くことにした。
「ひたすら小悪魔を狩りまくっていたら、偶然魔法の石を見つけて70レベルまで上がったんです。その後、瀕死になりながらも神電龍を倒すことに成功しました。ついでに黒龍を2体ほど。この時点で130レベルくらいにはなっていましたが、まだスライムでした。」
俺は厚めのポテトフライを食べながら、それでそれで?と聞くが…
「…ん?神電龍と黒龍って言った?」
黒龍は3000年くらい生きている普通のドラゴンの王のような存在、神電龍は7000年くらい生きてる雷の神様的存在。
「はい、そのあと…中級魔法学校時代ですね、イリスという神様に出会ったんです」
∵ゞ(≧ε≦๑)ぶっ、と俺は茶を吐く
ゴヘッゴヘッ!い…イリス!?
(呼んだか?)
イリスが頭に語りかけてくる
(おいおい、アイトラーと出会ったってマジかよ?しかもそんとき俺がこの学校入ったばっかだぜ?!)
イリスはフフフフと笑う
(いやー、もともとアイトラーの事は知ってたけど、神電龍と黒龍を討伐するなんてとち狂ってて面白いなと思って)
俺はアイトラーに向かって聞く
「ん…ん”ん”、それで?イリスとは何を話したんだ?」
アイトラーは目を輝かさながら語る
「イリスはバカっぽくて、『なにか願いを叶えてやる』って話したので、人の姿にして、魔法能力の幅を拡げて欲しい、あとレベルが上げられるように強いモンスターを大量発生させて欲しいって頼んだんです。
『3つ…?!』って動揺してましたけど、数の制限が無かったって言ったら渋々OKしてくれました。」
(仕掛けられてんじゃねぇかイリス)
そう頭で言うとイリスは感情的に声を荒らげて言う
(な…!だってアイトラー凄く巧みだったんだし…仕掛けられたんじゃなくて、私の優しさだから、あれは!)
(へいへい、じゃあの)
アイトラーは突然、机に乗りかかり、手を伸ばしてポテトフライを食べようとしていた俺の手を握る
「その後もまあまあ地獄でしたが、お陰でこうして先生に会えたんです。どれだけ、この手を握りたかったか…」
アイトラーは涙ぐみ、俺は周りの視線を気にしてアイトラーを座らせる。
その手は冷たく湿っていたが、どこか温もりと懐かしさを感じられた。
「ああ、そういえば…」
アイトラーは写真が入ったアルバムを召喚させる、魔法陣は机でやると机が焦げてしまうので、手を被せて急いで修復する。
「初級魔法学校の時のクラスメイトと連絡を取りあってるんです、イリアにアレイ、グレイブにサリア…」
その写真には人型が写っていた。
俺はゆっくり顔を上げて問う
「…もしかして、あのクラスの大半が人型に進化してたりする…?」
アイトラーは2回頷く
そして、アイトラーは言う
「少なくとも私入れて5人は特別進化をしています。」
俺は白目を向きかけた。
あんな可愛かった小さいモンスター達が世界最高峰の魔術を使える特別進化モンスターになるなんて…
「まあ、大体は自分の力で神様にお願いしてなっています。私含めて」
俺は「大体」という言葉が気になった
「…大体?」
アイトラーは溜息をついて言う
その溜息は嫉妬か面倒くささか分からない
「…初級魔法学校のときのユニコーンの姉妹、覚えてますか?」
俺は8年前を思い出す。
そういえば、やけに白と黒のユニコーンのモンスターの姉妹が居た。
名前は…確か…
「アリクスと…ベネクスだっけ。」
俺がそう言うと、アイトラーは身震いをして、目を逸らす。
「…はい、彼女は化け物です、先生が移ったあと、真っ先に街を出て南部のグローゲン共和国に行きました。
私が小悪魔を討伐していたとき、彼女たちは既に120レベルくらいはあったハズです。
つまりは自分でなったんですよ…
今は700レベルくらいかな…」
500とか700とか出ていて分からないと思うが、100で異常なので700はもはや神である。
「…まあ、元気ならいいけどね」
俺は席を立つ
「そういえば、アイトラーは寮に入るのか?家は遥か東だろ」
アイトラーは明らかに硬直して、冷や汗をかきながら「り…寮…」と目を泳がせる
「…ケリス寮長に書類出して無いんだな?」
アイトラーは恐る恐る頷く
俺は落胆してアイトラーに言う
「仕方ない…今日は誰かの寮に入れてもらえ、君なら誰からでも歓迎…」
「先生の寮が良いです」
アイトラーはしっかりと俺の目を見たが、だんだんと頬が赤く、熱くなり、5秒ほど沈黙が続くと目も逸れて、顔を手で隠した
「ごめんなさい…なんでもないです…」
アイトラーは恥ずかしそうに言う
流石にアイトラーと寮に入れば何かしらの誤解が生じてそれこそ社会的に処刑されるのがオチなのは見えていた。
どうするか悩むと、一つ思いつく
「スライムに…戻れる?」
「…はい?」