テラーノベル
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カーテン越しの朝日光で、目が覚めた。
(……起きれる)
胸の奥に、重たい塊がない。
布団を綺麗にして、制服に着替える。
部屋を出ると、キッチンの音。
【ころん】「おはよー」
【莉犬】「あっきぃ眠そう!」
【あっきぃ】「……おはよう」
普通の挨拶。
それだけで、心拍が上がらない。
(……違う)
通学路。
【ころん】「今日は寄り道なしね」
【莉犬】「前はハードだったし」
【あっきぃ】「……うん」
誰も、昨日のことを蒸し返さない。
(……ありがたい)
教室。
席に座る。
ざわざわは、相変わらず。
(……でも)
肩が、すくまらない。
(俺、今……逃げてない)
ノートを開く。
休み時間。
【ころん】「次、数学だっけ」
【莉犬】「うーわ、まじかぁ」
【あっきぃ】「……当てられませんように(小 声」
【ころん】「祈っとく!」
【莉犬】「念送る!w」
少しだけ、笑う。
(……笑えてる)
昼。
三人で机をくっつける。
【莉犬】「今日のこれ、辛ぁい!」
【ころん】「また挑戦したの?」
【あっきぃ】「……一口ちょうだい」
【莉犬】「どうぞ!」
(……自然だ)
前は、
何か言う前に
「迷惑じゃないか」って考えてた。
今日は、考えなかった。
放課後。
校門を出る。
(……帰れる)
“家”が、待ってる。
【ころん】「今日どうだった?」
【あっきぃ】「……普通」
【莉犬】「じゃあ、良い日だね!」
うなずく。
(……そうかも)
夕方。
ころんの家で、靴を脱ぐ。
【あっきぃ】「……ただいま」
【ころん】「おかえり」
【莉犬】「おかえり!」
胸の奥が、少しあったかい。
夜。
部屋で、スマホを見る。
通知は、ない。
兄弟のことは、考えないようにする。
(…いい、今は)
布団に潜り込む。
【あっきぃ】「……今日、行けた」
誰にも聞かせない、小さな確認。
(明日も……たぶん)
知らないところで、
世界が少し変わっていることを、
あっきぃはまだ知らない。
でもその日一日、
“安心して過ごせた”ことだけは、確かだった。
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