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「⋯みどり。」
「久シブリ、ラッダァ。」
突然現れた、幽霊みたいな少年。
⋯どうやら、らっだぁと知り合い?みたいだ。
さっきまで騒がしかった空気が、すっと静まる。
らっだぁは、その少年をじっと見つめていた。
「なんで、いるの。」
「迎エニキタ。」
迎えに?
「えっと……知り合い?」
思わず聞くと、きょーさんが軽く咳払いをする。
「まぁ、そうやな。」
「前からの知り合いなんだよ。」
コンちゃんがさらっと補足する。
俺だけ知らない感じなんだけど。
「えっと、⋯らっだぁ、」
「……みどり。昔、いっしょだった。」
いっしょ?
「何が?」
聞き返すと、らっだぁは少しだけ視線を逸らす。
「いろいろ。」
その言い方、ずるいだろ。
俺がこれ以上聞き返せないってわかってるだろうに。
「アンタガ、レウ?」
「え? あ、うん。レウクラウドです。」
少年⋯”みどり”はじっと俺を見てくる。
帽子の影で目元はよく見えない。
「フーン。」
なんだその反応。
でも、不思議と嫌な感じはしない。
初対面のはずなのに、妙に懐かしい気がする。
……気のせいか。
「みどりくんって、きょーさんたちと住んでるの?」
「ソウ。」
「今日はな、荷物運ぶ手伝いに来てもろてん。」
「え、そうだったの?」
全然気づかなかった。
「さっきまで裏で段ボールまとめとったんや。」
「ラッダァ、気ヅイテナカッタ。」
らっだぁがむっとする。
「だって、静かだったし。」
「オレ、イツモ静カ。」
白い服の袖が、ゆら、と揺れる。
風はないのに。
……やっぱり気のせいだよな。
「なあ、らっだぁ。」
「ん、なに?」
「今日、このあとどうする?」
もう荷物は積み終わった。
新しい家には明日から入れる予定だ。
ふと、らっだぁが俺の袖をちょこんと掴んだ。
「……みどりのとこ、いってもいい?」
「え?」
「泊まっても、いい?」
珍しい。
自分から何かを言うなんて。
「えっと……急だな。」
「ウチ、部屋アマッテル。」
「広いし問題ないよ。」
コンちゃんがうなずく。
きょーさんも、
「段ボールの山で寝るよりええやろ。」
「あー……それはそうだけど。」
確かに、今日は向こうもまだぐちゃぐちゃだろうし。
「らっだぁは、それがいいの?」
「うん。」
即答。
その顔は、ほんの少しだけ期待しているように見えた。
「……じゃあ、お邪魔しようかな。」
「やった。」
小さく笑う。
その横で、みどりくんがぽつりと呟く。
「マタ、一緒ダネ。」
「うん。」
また?
一瞬、胸の奥がざわつく。
どこかで何度も聞いた気がする。
何千回も。
「レウさん?」
「あ、いや。なんでもない。」
気のせいだ。
「ほな、決まりやな。行こか。」
「晩ご飯何にしよっか〜。」
みんなが動き出す。
白い服が、夕暮れの中でやけに浮いて見えた。
俺はその背中を見ながら思う。
これからも、きっと大丈夫だ。
失くすことなんか、ない。
……はずだ。
NEXT=♡1000
コメント
2件
レウさん、記憶喪失なのか、? 頑張ってください!