TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



夢魔の精神魔法を教わりたいのは、魔王さまのために他ならない。

魔王さまが、二度とうなされたりしないように……夢魔の魔法でどうにか出来るかもしれないから。



……そのリズと、会えなくて困っている。

お昼時の繁華街に、夕方の高級そうなレストラン。

居そうなところをウロウロとしてみてはいるものの、成果は無い。


歩き疲れて、ベンチで休憩しながら人ごみを眺めて……ため息をついた。

待合わせ場所に使われている噴水前は、暗くなっても若い男女がたくさん居る。



「ただいま戻りました。お姉様、ホテルはどうですか? 美味しい食事も出来て、そのまま宿泊もできます」

少しの間離れていたシェナが、戻ってきてそう言った。

ここなら強引な輩は少ないだろうからと、私を休ませて聞き込みをしてくれていたのだ。


「そっか! たしかに、最後に良い夢を見せるのに、すぐ泊まれる方が便利なんだ」

私が浅慮だった。

というか……最初からホテルで全部済ませると言う発想が、私にはなかった……。

だって、デートするなら色々とお店を回ったり、休憩でフラッとお茶したり、そういう行程があるものだと思い込み過ぎていた。


「商会が運営しているという案内所で聞いて参りました。食事の後のプランを聞かれて、泊まれる所も、と伝えたら、ならホテルでしょうと」

「凄い。シェナはほんとに有能ね」


「そ、そんな……。え、えっと。最高級のホテルと、少し高めのホテルをいくつか聞いておきました」

「偉い! えらすぎるぅぅ。じゃあ、さっそくいこ。リズなら最高級ホテルに行く気がする」

「私もそう思います」



**



――ここの文明は、日本やアメリカのきらびやかさを参考にしている。

絶対にそうだ。

繁華街も全体的な街並みも、メーンストリートはそうした雰囲気を感じさせるものだったから。


けれど、それらを飛び超えて、最高級ホテルはその荘厳さと異質さを際立たせていた。

「空中……ホテル……?」

「浮いて……ますね」



それはそれとして先ず、敷地がとんでもなく広い。

一般人お断りなゲートから、建物まで五百メートルとはいかなくても、かなりの距離がある。


何台か通って行ったけれど、基本的に車か馬車だった。

リムジン的な。

馬車もこう、かなりエレガントで重厚感のある四頭引きで、おいそれと乗れるようなものではなかった。

でも……一度は乗ってみたい。



ともかく、その格式高いゲートをくぐるのもはばかられたけれど、特に門兵みたいな人は居なかったので、こっそりと入った。

入るまでは拒絶されているような緊張があったのに、入って数歩も歩くと……まるで自分がそこの主にでもなったような、特別な気持ちになった。


車用の道とは別に、歩くのも楽しめるように庭園になっていて、完璧に整備された草花と歩道がある。

そこを歩くだけで、自分の庭であるような錯覚が起きる。

選ばれた者に首を垂れるように、低く広く整えられた花たちのお陰だろう。

芝生の踏み心地も、高級な分厚い、やわらかな絨毯のようで。



そして、ライトアップされた噴水が静かに、けれど高く高く吹き上がり、間を置いて心地よい水音を立てる。

パターンをいくつも用意しているらしく、時間を忘れてずっと見てしまいそうだ。


「上から眺めたら、ステキだろうなぁ……」

浮いているホテルは、高さとしては二十階建てくらいだろうか。

その、ほぼ最上階くらいまで、噴水が届いているように見えるから。


「この噴水に、かなりの魔力を感じます」

「えっ? あぁ……そういうことかぁ」


物理的に、あそこまで放水するにはどのくらいの水圧が必要なんだろう、と思っていたけれど。

殿下は、魔工科学と言っていただろうか。

着水の音も静かで、なのに、あの高さまで噴き上げるなんて。



――いけない。心を奪われていた。

「ごめん、目的を忘れてた。いこう」

「いえ、私も見惚れていました」


聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

1

ユーザー

第二章・十まで読んで頂き、ありがとうございます。 空中ホテルがもし現実にもあったら、いつか泊まってみたいですね。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚