テラーノベル
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「大丈夫ですか?」
ゴブリンを斬り倒した俺に、ミランが近寄り声を掛けてきた。
「ああ。問題ない」
「硬さは?」
ライルの質問に・・・
「オーガよりは柔いな。ライルの剣でも充分ダメージを与えられる」
「そうか。まだ役に立てそうだな」
そんな事を気にしていたのか。
「それにしても良かったね。敵がドンドン強くなるなったら、その内竜級も覚悟してたけど、どうやら…」
「それであっている」
聖奈さんの言葉を遮り、ガッシュさんが言葉を続けた。
「ここからは潜れば潜るだけ敵が強くなっていく。
取れる魔石の大きさも比例して大きくなる。
魔石は未だに合成の研究がされるくらい大きなサイズは価値が高いようだ。
何百年も出来なかったことが今更出来るとは思えんがな」
俺にもわからんけど。
でも、世の中はそんな不思議人間のお陰で便利になってきてるもんな。
この世界は不便が風情みたいなところがあるけど。
「俺が知る限りでは、23階層で10階層のオーガクラスの強さの魔物がゴロゴロ出る」
「それはヤバいな…」
オーガの身体能力だと相当だぞ……
俺とライルなら乱戦になってもやれるが、他の面子は厳しいだろうな。
「良かったね。セイくんの魔力が底なしで」
「魔力波ですか」
「うん。それがある限り囲まれることは無さそうだしね!」
何だかお気楽ムードだけど。そんなに簡単なことなのか?
「よし、この程度なら問題ねぇな。先をいこーぜ」
ライルの提案に乗り、先に向かうことに。
戦闘前の隊列に戻して進んでいくと・・・
「罠だ。わかるか?」
急に立ち止まったガッシュさんがマリンに問いかける。
「わかるよ!習った通りだねっ!」
どうやら二人には見えているようだが…俺には変わった所が分からなかった。
マリンとガッシュさんは壁に近寄り、 何か作業を始めた。
暫くすると戻ってきて一言。
「もう大丈夫です。お父さんに習った通りにしたら解除できました!」
うん。俺にだけだね。未だに敬語なのは……
「マリンは手先が器用だな。俺なんかよりも向いてるぞ」
「ホントに!?おじさんに言われると自信が付くよ!」
まぁ楽しそうだからいいか。
マリン達が解除した罠は、壁からセンサーみたいなものが出ていて、それを起動させると壁から酸が噴き出ていたらしい……
もっと原始的なモノかと思ったけど、本気でヤバい奴だった。
この後は聖奈さんとミランが別々にマッピングして、この階層をしらみ潰しに埋めていく作業となった。
次の階層への階段があるようだが、ほぼ一週間で階段の場所が変わるので、マッピングが重要になるみたいだ。
階段のできる場所は決まって小部屋になっており、魔物が入ってこないことは無いが入り口は人一人がくぐれるサイズの為、防衛しやすく休憩や仮眠の時は良く使うらしい。
俺達は初罠から3時間で3つの小部屋を見つけた。
罠は最初とは違うものが出てきたけど、説明を聞いてもよく分かんなかったな。
そして、2人がかりで解除するからはえーんだ。これが。
「ここってどれくらい広いんだ?」
ホントは楽しみたかったから聞く気は無かったけど、半日も代わり映えがないとな……
「1日で下に降りれたら大分運がいいだろうな。最悪は探している時に階段が移動した場合だ。
そうなると、その階層の全部の小部屋を回っても階段は見つからんからな。
また一からマッピングした小部屋を回らなくてはならない」
「それって全ての小部屋の配置を知っていてもってことだよな?キツイな…」
うん。もうダンジョン探索やめてもいいや。
マリンが許さないだろうけど……
その後も休憩を挟みながらみんなで小部屋を探した。
こういう時の俺達の長所は、体力の限界近くまで探索できることだ。
他とは違い安全安心な家へと帰れるからな。
「反応が近づいてきた」
俺の言葉に慣れた様子でみんなが配置を変える。
「見えました…人?」
ミランが伝えてきたのは、予想外のモノだった。
「人?冒険者ってことか?」
「はい。こちらの人数より多いですね。どうやら偶然鉢合わせただけのようです」
Aランクでこちらより数が多いのか。
頼むからまともな人であってくれ。
近づいてきた冒険者達は8人組だった。
向こうは慣れているのか、警戒度がこちらより低く見える。
男性5人に女性が3人のパーティーだ。
その中の一人が声を掛けてきた。
「よう。見ない顔だな?」
特に敵対する気はなさそうなので、会話をすることに。
「最近Aランクになったばかりでな。ということは、熟練者か?」
「ははっ。熟練者なんていいもんじゃないな。荷物が少ないが…大容量のマジックバッグ持ちか。
悪い事は言わんから、偽装のバッグくらいは持ち歩け。下の奴らに狙われるぞ」
なんだ。警戒したけど良い人達っぽいな。
「ご忠告ありがとう。次からはそうするよ。
俺はアルカナの探求者のセイだ」
「素直なのは良いことだ。俺は凱旋者のカーズだ。頑張れよ」
みんな20後半くらいの見た目をした凱旋者達は、何事もなく通り過ぎていった。
彼らは荷物を持っていたが、多分マジックバッグも持っているんだろうな。
「あれは現在の最深部到達パーティーだ」
ガッシュさんは名前を聞いたことがあるようだ。
「スマートで余裕があったですっ!」
「ですが、皆さん警戒は怠っていませんでしたね」
「あれがトップランカー…アイドルみたいにオーラがあるね!」
3人はテンションが……
いいさ。俺もいつかああなってやるんだからっ!!
「凱旋者の悪い噂は聞かないな。
だが、冒険者でも人の足を引っ張る奴もいるし、中にはダンジョン内で盗賊みたいなことをする奴らもいるから気をつけろよ」
うん。この前見たよ。
「でも、もう少しですね」
えっ?何が?
「そうだね。今日中に見つけられそうだね!」
「よし!いこーぜ」
ちょっと…貴方達のリーダーがわからないんだが?
「そうだな。凱旋者が向こうから来たということは、階段が近い可能性がある。
20階層以降は道が入り組んでいるから確実ではないがな」
そういうことか!
良い人そうだったから聞けば良かったな。
謝礼は弾むぜ?
いや、あの人達もお金持ちか……
俺がなんの得にもならない事を考えていると、目的のモノが見つかった。
「ここが階段か…」
「そうだ。やはり凱旋者が通った道だから罠がなかったな」
罠が無い場所を道標にしたのか…やるなガッシュさん……
道理で引き返したりしたわけだ。
あそこからここまで1時間くらいでこれたもんな。
「とりあえず下に行こ?」
「そうだな」
聖奈さんの号令で階段を降りていく。
「ここが22階層か。なんだかさっきと変わらないから階層を間違えそうだな」
降りた先も普通に洞窟だった。道のサイズも変わらない。
ガッシュさん情報の光苔の灯りも変わらなかった。
「今日はここまで来れたんだから帰らない?」
そうだな。
ガッシュさん曰くかなりの早さでの階層突破らしいので、今日はキリ良く帰ることにした。
ガッシュさんをエトランゼに送り届けてから、全員でリゴルドーへ帰った。
外は真っ暗ですでに月が出ていたので、聖奈さんはすぐに地球へと転移して行った。
「セイさんは行かないです?」
「今日は予定がないからな」
何だよ。一人サボってるみたいな目で見るな!
聖奈さんみたいに勝手は出来ないんだ!
「ミランこれ食うか?」
「はい!」
「なんでっ!?」
嘘だ。ちゃんとエリーの分もあるよ。
二人にお菓子の餌付けをしながら過ごした。
なんだか最初にした誓いはいつの間にやらどっかに行ってしまったようだ。
ありがたや〜。
「あんまり菓子ばっかり食ってると、セーナが帰ってきた時に飯が食えなくなるぞ」
「大丈夫です!ライルさんに食べてもらうです!」モグモグ
ライルが幼児二人にお小言を伝えるが、エリーはどこ吹く風だ。
「まぁ食うけどよ」
食うんかいっ!
そんなコントを繰り広げていると、聖奈さんが帰ってきた。
「セイくん。来てもらっても良い?」
「構わんよ」
何だろう…聖奈さんにそんな風に言われると、子供の時に学校から家に電話が掛かってきた時のことを思い出すのは。
何も悪い事はしてません!
「私も良いですか?」
「良いよ。行こ」
ミランも付いてきてくれるみたいだ。
良かった。怒られるわけじゃなさそうだな。
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凱旋者1「若いっていいなぁ。さっきのパーティはかなり若かったな!」
凱旋者リーダー「俺達もまだまだ若いぞ!」
凱旋者女性「そんなこと言って、リーダーカッコつけてたよね?若い女の子の前だと男って馬鹿だよねぇ」
凱旋者リーダー「普段はおばさんばかりなんだ!偶に会った若い子にカッコつけてもいいだろ!」
その後、リーダーの姿を見たものはいない、とか……
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