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第一話 月魄の導き(上)
「はぁ……」
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「なんで……?どうして……?」
私・佐藤ルナ。
何でこんな状況かと言うと…
「ルナねぇ…」
初恋の相手・西岡昼から私の名前がでてきたからだ。
「まぁ、いい子なんだけど、俺、今好きな人が別にいるからな」
そう、友達と話しているのが聞こえてしまったからだ。
私は、入学式のとき昼に人目惚れした。
それから、ずっと昼のことを思ってきた。
昼に好きになってもらえるように、たくさんアピールもしてきた。
それなのに…
家に帰って、自分の部屋に行き、ベッドに寝転がった。 私は手で顔を覆った。どうしよう。諦めるべきなの?諦められるの?私は。相談すれば良いの?
でも…
相談、できる人いないなぁ。
ふと、窓の外から月が見えた。少しかけている。
月から視線を戻した。
相談、出来る人なんていないな。
でも、ほしいな。
そう強く願ったとき、私の視界は白く弾けた。
月がとてつもない光を放った。
ーーような気がした。
「えっ…?」
気がつくと私は、森にでた。辺り一面、木だ。
「ここは…どこ?」
さっきまで、家にいたのに。どうして?
「みゃお」
ふと、鳴き声がした。
その方を見ると、一匹のモフモフした猫がいた。毛は確かにふわふわモフモフしているが、すらっとしている。色は紫がかった黒色で首には紫の組紐を結んでいる。美しい猫だ。
「みゃあお。」
組紐が淡く光った。それと連動して、同じ色の瞳も淡く光った。
その猫は、スタスタと歩いていった。
瞳と組紐の光に惑わされるかのように、私はフラフラと後をついていった。
どのくらい、歩いたのだろう。凄く歩いたのか、ほんの少しだけ歩いたのか分からない。
ただ、猫についてきて、何も考えずについてきた。
目の前には、古い小さな建物がある。
猫はその中に入っていった。
私も何も考ずに入っていった。
扉を開けると、
「お疲れ様。帳。」
と、声がした。
後ろ姿しか分からないが、一人、人がいた。
中学生くらいの少女の見た目をした小柄な女の子。猫と同じ色の膝丈くらいのワンピースに、長い黒髪をハーフアップでまとめいて、結目には月の髪飾りをつけている。
私はそこでようやく、我に帰った。
出ようと思った。
でも、遅かった。
「ようこそ、恋愛占術館へ。」
「れんあい…せんじゅつかん?」
「はい。…佐藤ルナさん。」
初対面のはずなのに、なんで?
「え、何で私の名前を……?」
「知っても意味ないですよね?」
え、何この子?
「え、あ、まぁ」
「それなら話すだけ無駄です。」
えぇ…
「私は、月読夢路。」
「つくよみ…ゆめじ?」
「はい。この子は帳。猫です。」
「とばり…」
「にゃお」
展開が早すぎてついていけないよぉ。
え、ここどこ?どうやってきたの?
帰れるの?
「あなた、恋について、相談できる相手が欲しいと願いましたよね?」
「なんで、そのこと…」
「あなたの、初恋の相手は、にしおか ひる、で合ってますね。」
「そんなことまで……。」
「私が、貴方の恋愛相談の相手がほしい、という願い、叶えてあげます。」
「みゃおー」
「え?」
どういうことなの?本当に?
「佐藤ルナさん。依頼しますか?」
依頼…。
依頼したら、この人が私の相談相手になるってことだよね…。
こんな初対面な人に任せていいのかな?
…でも。
この人なら、任せられる気がする。
直感だけど。
大きく息を吸う。
「はい。依頼します。私の高校生にして、初めての恋、その相談相手になってください。」
彼女は、ニヤッと笑う。
「承認します。佐藤ルナさん。」
「みゃおー!」
猫と目を合わせて、再びこっちを向く。
「ようこそ、恋愛占術館へ。」
私はゴクリ、と唾を飲んだ。
そんな、私を夢路とは帳が不敵な笑みを浮かべて見ていた。