テラーノベル
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ジンの脳裏には、ソウルの狭いアパートで夜通しコードを書き続けた日々がフラッシュバックした
蛍光灯のチラつき、インスタントラーメンの匂い、そして画面に映る日本アニメのポスター・・・
子供の頃、ソウルの小さなテレビで観た日本の戦隊アニメ『機動戦士ジュウレンジャー』に憧れ、日本でITの夢を追うと決めたのだ
だが家族を事故で失ったあの夜から、ジンの心にはぽっかりと穴が空いた この「WaveVibe」だけは自分の命だ、御堂筋にオフィスを構えるまで苦労して這い上がったのに・・・そもそもこのままでは日本に住めない、こんな終わり方、絶対に納得できない
「くそっ! このまま母国へ帰るしかないのか?」
ジンは悔しそうに髪をガシガシと掻きむしった、ソウルに帰って自分の持ち株で新しく会社を設立する?今更?また一からやり直す? 絶対に嫌だ!
彼の目は一瞬で絶望に揺れていた、そしてすぐに社員達の顔が浮かんだ、自分の事よりまずは社員の事だ、自分がいなくなっても、せめて社員だけは守ってやりたい、絶対に! あの強欲な株主達に会社を渡したら・・・
いったい今まで自分のために働いてくれていた社員達はどうなるだろう、自暴自棄になりかけたその瞬間、ドアが控えめにノックされ、桜がトレイ新しいアイスラテを持って入ってきた
「社長・・・新しいアイスラテ・・・お持ちしました! ほ、ほら、今日は暑いですし、気分転換にどうぞ!」
彼女の声は少し上ずり、いつもの明るさがややぎこちなかった、彼女はトレイを両手でガッチリ握り、まるでそれが命綱のようだ
「あ?・・・ああ・・・ありがとうございます、ちゃんと経費で落としてくださいね」
ジンは桜を見上げ、疲れた目で微笑んだ
そこでふと思った、そうか・・・日本人の女性と結婚すれば、配偶者ビザでこのまま日本に残れるな・・・
ふとそんなアイデアが疲れた脳に浮かんだ、とても良いアイディアに思えた、日本人女性と結婚すれば会社もこのまま安泰、自分がCEOで株主達も安心していつもどおり、ジンの会社に投資するだろう
だが、すぐに自嘲の笑いが漏れた、 冗談じゃない! こんなタイミングで日本人の婚約者なんて都合良く出来る訳ないだろ!
ジンは自分の顔を思い浮かべてため息をついた、敏腕CEOとか言われてるけど、このキツイ顔に大きな体格は女性を怖がらせる・・・
自分は女性にモテない、それは嫌と言うほど自覚している、ジンは過去の合コンの時の事を思い出した、偶然ジンの隣の席の女性が「席替えしよっか?」と遠回しに逃げ出したあの夜のトラウマが蘇り、肩がガクッと落ちた
今からお見合いしたって、明日までに婚約者なんて絶対無理ゲーだ!
「ハァー・・・」
と大きくため息をついて頭を抱えた
コメント
1件
目の前にいる素敵なお嬢さんはあなた推しですよ〜🤭