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第1章 君との出会い
男子高校生が学校のグラウンドを走っている。いや、走っているというよりも、
足を引きずりながら早歩きしているように、見える。
佐伯駆。高校2年生。ある出来事がきっかけで、足を怪我した。大好きな陸上を
続けられなくなってしまった。
休憩に行こうと夕日のさす校舎に向かって歩き出す。
廊下を歩いている。すると、音楽室から女の子が泣いている声が聞こえる。
音楽室を開けると、高校1年生の女子が泣いていた。手にはトランペットを持っている。
「どうしたの。」
駆は問いかけた。本当はどうでも良かった。今は自分の足のほうが心配だから。
「グスッ。せっかく、レギュラーに選ばれたのに…。本番で失敗しちゃって。レギュラー落ちちゃったの。グスッ」
駆は(自分に似ている)と思った。
「名前は。」
気づいたら問いかけていた。
「一ノ瀬遥です…。先輩ですよね…?」
一ノ瀬遥。やはり後輩だ。
「そうだけど。俺と、似てるね。」
遥は目を見開いた。
「そう、ですか、?先輩のほうがよっぽどすごいと思うけどな…。」
駆は遥の隣の席に座った。
「去年、足怪我しちゃって。もう治らないんだって。でも陸上は大好きだから毎日走ってる。」
「その怪我、治らないってどういうことですか…?」
遥は問いかけた。夕日がカーテンを照らしている。
「筋肉の大事な部分が切れたんだって。」
「そうなんですね。私も、せっかくレギュラーに選ばれたのに…。」
駆は微笑みながら言った。
「本番に強くなればいいんでしょ?俺と練習する?」
遥がびっくりした表情で。
「え、いいんですか?でも、先輩も陸上の…。」
「いいよ、俺は。陸上なんてどうせできないし。」
遥は少し悩んでから。
「分かりました。ありがとうございます。」
駆が嬉しそうに。
「うん、じゃ、また明日。」
そういって駆は教室から出ていく。遥と話していると、心臓が苦しくなる。
なんなんだ、これは。わからない。だから逃げ出してしまった。
次の日から遥と練習だ。