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しかし、芹那の発言により苦しさもそこで終わる。怒りが、考える余裕を無くす程に勝ったからだ。ある意味感謝をしなくてはいけないかもしれない。無意識に唇に冷笑を浮かべ、低く小さな声が這うように芹那へ向かった。
「お前が立花に矛先向けてなきゃ、脚くらい舐めて土下座してやってもよかったけど。バガだな」
「……バカ? 私が?」
うん、と一度だけ深く頷く。
「あいつにやろうとしたこと、お前にもしてやってもいいけど。同じことしても物足りないしね」
「何の話?」
「いやぁ、男にさ、最中に写真撮らせるなよ。女の方がリスク高いでしょ」
「……な」
「動画もあったし、お前、危機感ないね」
坪井はスマホを取り出して、画面に絡み合う、ある男女の写真を開いた。
覗き込んだ芹那の表情がみるみる青ざめていく。
「今日、立花の為に用意してた三人のうちの誰かとお前だよね、残念ながら顔バッチリ」
「な、なんで、そんなもの……」
「言ったじゃん。女の身体で動く奴は金でも動くよって。買い取ったの」
芹那はタバコを地面に落として坪井のスマホに手を伸ばすけれど、悠々とかわされる。
「落ち着いてよ、大丈夫。スマホからはすぐに消すよ。どんな目的にせよ立花以外の女の画像、しかも裸なんて手元に残しておけないし」
「そ、そんなもので脅すつもり!? 今、そーゆうの厳しいんだから警察だって動いてくれる」
落としたタバコを踏みつけながら芹那は坪井を怒鳴りつけた。
しかしそれとは対照的に坪井は酷く愉快そうに笑い声を上げる。
「警察? バカにしてんの? お前が使おうとした男どもに、こっちもそれ相応に証言させるよ」
「未遂じゃん」
「そうだね」と、未だ愉快そうに笑い声を上げながら坪井は頷き、穏やかな声を心がけ言った。
「昨日男の一人と会って、お前とのやり取りの画面保存しておいたんだよね」
坪井の言葉に「だから?」と不敵な笑みで返す芹那。
「あいつらが素直に認めるわけないでしょ。私をどうにかしたい坪井くんの為に進んで犯罪者ですって名乗り出るわけないじゃない、しかも未遂! バカなのどっちよ」