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あの子は素敵。

皆が褒めてる。


私はあの子と親友。


わかってるの。

あの子はとっても明るくて、面白くて、優しくて。

なんでもこなしちゃう。

いつもクラスの中心に居る1番の人気者。


だから私は_



ユメ部に入って2週間。

あれから何度か部室には行ったものの(ハルに無理矢理呼び出されて)特に活動的なことをすることはなかった。


「結局何がしたいんだ…」


…何もしないなら別にいいか。

腕を枕に机に突っ伏して寝ようとした。


そのとき


「どうかしたのか?」


頭上から声が降ってくる。

声の主は緋原だ。

はあ、こいつ懲りない奴だ。


「…別に何も?何か用?」


「いや、何か疲れてそうだったからさ!なにもないならいいんだ!」


「ふーん。そう。」


「あ、えと、じゃ、そういうことだから!またな!!」


颯爽と去っていく。

友達の所へ行ったようだ。


緋原の友達が緋原に話しかける。

大体の会話内容は想像できるけど。

多分あいつ(俺の事)に話しかけないほうが良いとでも言われてるんだろうな。


ここ2週間、俺は静かで平穏な学校生活を送るために徹底して人に関わることをしなかった。

無理に友達なんて作っても、ろくなことはない。

その結果皆俺と話そうとはしなくなった。


だが…緋原だけはしつこく俺に付きまとっていた。


「優!おはよー!!今日も学校ってだるいよなぁ〜」


昼休み

「なあなあ、今日昼飯一緒に食おうぜ!!俺弁当作って来たんだ、凄いだろ。」


放課後

「一緒に帰ろうぜ!え、部活?そっか~それは残念だな、また明日!!」


ずっとこんな調子だ。

あの手この手で避けてはいるものの何時までもつか…。

正直うざい。


そんな感じで部活に緋原にと静かな学校生活とは程遠い。


ふと外をみる。

あー、あの空を飛んでる鳥は良いよなぁ。


…ん?

下を見ると男子生徒と女子生徒が2人で話している。

これってもしかして。

あ、男子生徒が走り去ってった。

これは振られたな。可哀想に。


「あー!また白金先輩告られてるよ〜」


「え、マジ?俺ワンチャンあるかな笑」


「ないない笑、あの白金先輩が俺らなんかの相手してくれる訳ないだろ」


「まあそれもそっかぁ」


クラスの男子達が騒いでいる。


白金 椿 《しらがね つばき》。


この学校の生徒会長を務める3年生だ。

入学式での挨拶以来見ていなかったな。

なんでも容姿端麗、勉強も運動も出来て性格も良いという噂。


ぼっちの俺にまで噂が流れてくるくらいなのだから相当なんだろう。

俺には関わりがない人だろうな。




放課後。


「今日こそは一緒に帰ろうぜ!」


「…いや、今日は家の用事で早く帰らなきゃ」


「えぇー、また?…まあ仕方ないよな!またなー!」


緋原はなんで俺に構うんだろう。

新手の嫌がらせか…?

実際今日は母親の仕事が遅い日で俺が夕飯を作らないといけない。

早く帰らないといけないのは本当だ。

まあ、万が一緋原に遭遇しないよう裏庭の校門から帰ろう。


裏庭に入る角を曲がる。

人影がみえる。

構わず通ろうとすると急に後ろからぐんっと引っ張られた。


「!? おい、なにすんだ_」


「しーっ!!ちょっと黙っててなさいよ」


見ると知らない女が口の前で人差し指を作っている。

1年のネクタイをしているから同じ学年か。


「誰…てか何してんの」


「そんなのは後々!今大事なとこなんだから」


女はさっきの人影を指差す。


「あれは…白金先輩か」


「そうよ!」


人影の正体は白金先輩だった。

花壇の花に水をあげている。


いや、だとしてもなんでこんなところでこそこそしているんだこいつ。


まさか。


「…え、白金先輩のストーカー?」


女は俺をギロリと見て怪訝そうな顔をする。


「はぁー?人聞きの悪い事言わないでよね!」


良かった。


「なんだ、違うのか。ならなんでこんなところから先輩を見てるんだ?」


「…べっつに?アンタには関係ないでしょ!」


勝手に巻き込んだのはお前だろ…。


「それに…私と椿は親友だし。」


「…?そうなのか?なら尚更なんで付け回すようなこと…。 」


「…ま、色々あってね」


これ以上詮索するのは野暮だろうか。


「あ、椿帰っちゃったみたい。もう帰ってもいいよ。」


「そうか、じゃ、遠慮なく帰らせてもらう」


さっさと帰ろうと思った

その時。


「ちょぉーーーと!待ったぁ!!」


「うわっ」


どういう原理か知らないが、ハルが空から降ってきた。

いやなんで??


「ふっふっふ、もー優くんったらぁー、女の子と逢瀬なんて破廉恥なんだから」


ハルがニヤニヤとこちらを見やる。

ふざけるのも大概にしてくれ…。


「わぁ、何この子!中学生?可愛い〜」


女がハルのほっぺをぷにぷにしている。


「……そいつ、そう見えて俺らよりは年上らしい。」


「…え。うそっ!?」


俺もそう思う。


「嘘じゃないよっ!!僕は君らより年上なんだから敬いたまえ。まったく」


やはりほっぺをぷくぅーとさせてハルは怒った。


「おい、ハル。お前何しに来たんだよ。」


「えー、裏庭見てたら優くんが女の子と喋ってたんだもん!!だから邪魔しに来ちゃった☆」


………。


「ごめんって!!君が人と話してるの珍しいなって思ったからさ〜!ついでに部活の活動しよっかなって」


「え、活動?」


なんでそれが部活の活動に繋がるんだ?


「言ったでしょ?活動内容は人の夢を叶えることだって!!そこのお嬢さん、お名前は?」


…そういえば名前聞くの忘れてた。


「私?私は赤花 杏《あかばな あんず》よ!」


「ふむふむ、良い名前だね…ところで君は夢ってあるかい?」


「えっ、急ね…夢、か…」


赤花と名乗る女は深く考えている。


「そんなに難しく無くてもいいんだよ?簡単な事でも良いんだ」


「その夢って教えたらどうなるの?」


「んー?それはねぇ、この優くんが君の夢のお手伝いをしてくれるのさ!!」


まあ、それも勝手に決められた事だけど。


「…それってなんでもいいの…?どんな夢でも手伝ってくれる?」


「うん、言ってごらん!」


それなら。

「私の夢は」


《あの子に勝ちたい》




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