テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
人は毎朝、同じ事の繰り返しをしている。目が覚めて、顔を洗って、朝食を取って、制服に着替えて、学校に行く。そんな日の繰り返しを普通の人は送っているのだろう。でも、私はそんな普通の毎日を送る平民ではない。だって、私はリディル王国の七賢人が一人、〈白銀の魔女〉セレナ・クリスタリアの弟子なのだから。
「ごきげんよう、皆様」
「ごきげんよう、アルジェント嬢」
貴族学校に入ったならこの挨拶は必ずだ、ぶっちゃけ面倒臭い。でも、私が〈白銀の魔女〉の弟子というのを知っている人もいる為、師匠の隣に居ても恥じないようにするのが私が今できる、師匠への恩返しといえる。
そんな私にも月一の楽しみがある。師匠の任務でたまに私が同行された時、必ず任務の打ち合わせは私の待ち焦がれた人とやるのだ 。
「はぁ、ルイス様〜…♡ 」
「おや、貴方はリーシャ・アルジェント嬢ではありませんか。」
「え、!?こ、こちらに!!」
「月末の報告書を出すために一度城に戻らないといけないだなんて、まだ少し残ってるから〈翡翠の間〉で作業させてもらおうかな、」
リディル王国城の西棟の最上階にある〈翡翠の間〉は、七賢人と国王のみが出入りを許される特別な部屋であり、それゆえに複数の結界が張り巡らされている。
その〈翡翠の間〉の下の階に、七賢人達のために用意されている個室があった。
七賢人が城に滞在する時は専用の立派な客室が用意されている。なのでこの個室は名目上は執務室という扱いになっていた。
執務室の用途は七賢人によってバラバラだが、資料や荷物置き場にしている者が殆で、雑然としている部屋が多い。実際に執務室で実務の類をしている者など、ルイスぐらいのものだ。
「ここは静かで集中できる、」
「…セレナ?」
「あら、レイも来ていたの?」
リディル王国がおける最高峰の魔術師七人。七賢人が一人、〈深淵の呪術師〉レイ・オルブライト
祖母である二代目〈深淵の呪術師〉アデライン・オルブライトの後任として、17歳の若さでリディル王国における魔術師の最高峰七賢人になった国一番の呪術師。同期は〈白銀の魔女〉セレナ・クリスタリアである。
幼少期から少しずつ呪術(呪い)を体内に取り込んで耐性を付けていった結果、髪は紫、瞳はピンクに変色している。また、取り込んでいる呪術が呪印として体表に浮かんでいる。
「セレナも、もしかして、月末の報告書を書きに来たの?」
「そうよ、その為に学園まで休んだの」
「学園、大変?」
レイ・オルブライトは非常に陰気小心かつ自己肯定感の低い性格をしているため、その陰気さや引きこもりは同じ七賢人の〈沈黙の魔女〉に似ているとも言われている。
(あのレイが学園生活を気にするなんて)
「セレナ?」
「そうね、大変だけれどかなり楽しいわ。今度の学園祭、レイに招待状が届くよう手配しておきましょうか? 」
「お、俺なんかが学園に行ったら皆俺の事を指さして歩くミノムシだとか言うんだ、あぁ、憎い憎い憎い…」
あまりにも醜いほどの自己肯定感の低さだ。
「まぁ、気が向いたらぜひ来て、それよりレイ 」
「?」
「どうして、そんなに報告書が溜まっているの?」
七賢人が求められる報告書は任務として与えられた内容の詳細を事細かに書かないといけないが基本的に任務にあった七賢人を出発させるため、武闘派のセレナとは違って余程の事がない限り、呪術を扱うレイに任務がいくことはまずない。
「結界男と月末の報告書を賭けて勝負したんだ 」
「それで、負けて貴方が報告書を?」
「そう、アイツ今度会ったら呪ってやる、」
七賢人の中で任務数が多いのは〈砲弾の魔術師〉、〈結界の魔術師〉、〈白銀の魔女〉の三人である。その中でルイスは群を抜いて竜害などの任務が多いため、報告書は五枚や六枚などではない。
(この前の竜害の報告書も私に押し付けてきたわね、あのメガネ… ”)
「それで?ルイス君は今どちらに?」
「確か、セレンディア学園に滞在している弟子の様子を見に行くって」
あの〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーがセレンディア学園に来る、それはつまり…
「早くそれを言ってよ!! もう、報告書終わってないのに…着替えてる暇はないからこの格好で行くわ」
「うん、気を付けて」