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やがて由紀の赤いスーツケースが、ベルトコンベアから流れて来、係員から洋平がスーツケースを受け取った
「Good Looking Guy have an nice day!」(それじゃ!楽しみな!男前!)
「Thank you bro!」(ありがとう!兄弟!)
洋平は係員に笑顔で手を振って、由紀の赤いスーツケースを引きずって、くるみ達の所へ戻って来た
ワッと三人は凱旋する洋平を迎え、由紀は涙を拭い、慎吾は感謝の言葉を洋平に向けた
「本当にありがとう、ありがとう!洋平さん助かりました」
由紀が彼に握手を求めてきた洋平は、笑顔でそれに応じた
チラリとくるみががっしり洋平の手を握りしめている由紀を見る
「よかったね、夕方化粧水を取りに来た時は「ヨーヘーの友達だ」って言ったら分かるようにしてあげるって言ってくれたよ。彼はジャックって言うんだって、夜の8時までここにいるから何か差し入れを持って行ってあげてね」
「そうなの?」
くるみが不思議そうに聞くと洋平が笑って言う
「うん、彼らは日本と違って満足な賃金をもらっていないんだ、だからチップ次第でどうとでも優遇してくれるから」
「ハッ・・・ハイ!必ずそうします」
「それからスキンケア用品は小分けのボトルに入れるか、ここでも日本製品が買えるから現地調達した方がいいかも、色々怪しまれるからね」
「もう~由紀ちゃんが欲張ってお徳用を持ってくるからぁ~」
「ごめんなさぁ~い・・・」
由紀と慎吾は再び感謝の言葉を述べ、さらに洋平から便利な翻訳アプリを教えてもらいインストールした
ほらね、私の洋平君って凄いでしょ♪(※自分は何もしていない)
くるみはふふん♪と鼻を鳴らした、夫婦は一心同体、洋平君みたいな凄い人の奥さんの、私もなんだか凄い人みたいに思えちゃう
くるみは洋平の優しさと、頼もしさに心から感動した、空港を出ると、洋平とくるみの目の前に真っ白で巨大なリムジンが現れた、中から浅黒い肌にホテルの制服を着た運転手が出てきて、洋平とくるみの首にレイをかけられ、頬にキスされた
「ワ~ォ!さすがお母さんの旅行プランは凄いな!」
クスクス「奮発したね!」
くるみは思わず笑った
ホテルリッツカールトンのロゴが輝く車体に新婚旅行の高揚感が一気に高まる
「そうだ!由紀さん、慎吾さん、一緒に乗りませんか?」
後ろから着いてきていた、由紀夫婦にくるみが声をかける
「ええ?」
「私達もご一緒してもいいの?」
「いいよね!洋平君!」
「くるちゃんがよかったら僕はいいよ」
すっかり意気投合した4人は広々としたリムジンに乗り込んだ
リムジンは、まるで小さな豪華客船のように巨大で、窓は広く開放的だった
内装は高級感にあふれ、革張りのシートに身を委ねると、まるで雲の上にいるような心地良さだった
リムジンが動き出すと、運転手はマイクを使って、流暢な日本語で今日のツアーコースを説明し始めた
「皆様、ホテルまでの道中はハワイの美しい景色をたっぷりと楽しんでいただきます。まずはダイヤモンドヘッドからスタートいたします」
その言葉に合わせて、左側の窓から見えるダイヤモンドヘッドの象徴的な景色が現れ、女性陣はキャー!と一斉に声をあげた。くるみは必死でゴープロを回した
クスクス・・・「そんなに撮りまくってたら、すぐにバッテリー無くなっちゃうぞ!」
洋平がくるみの横で覆いかぶさるように身を乗り出して窓の外を見ている
彼の喉ぼとけが目の前にある、くるみは大好きな洋平とこんなに接近して素敵な景色を見るのに酔っていた
ちょっと・・・由紀さん達をお誘いしたのが悔やまれるな、二人っきりなら今すぐ抱き付けるのに・・・
ヒソッ・・・「今キスしたいと思ったでしょ」
洋平がくるみに耳打ちする、くるみは心の中を洋平に見透かされたようで真っ赤になった
「そっ・・・そんなこと思ってないもん!」
「ほんとかなぁ~??(笑)」
「ほっ!ほんとにほんと!」
熱く見つめ合う二人の様子を由紀がじっと見て、突然大声を上げた
「あら~~~!洋平さん!あれ何かしら!!」
「え?何?どれどれ?」
「なんだ?なんだ?」
一斉に4人が窓の外を見た、洋平から体が離れ少しくるみはガッカリしたけど、その後は楽しくなった
リムジンはワイキキビーチ沿いをゆっくりと進んでいき、白い砂浜や青く澄んだ海が窓から見える度に
洋平を除いて三人は大騒ぎをした
「わあ、すごい!きれ~~~!」
「これぞハワイの魅力ね!」
「写真じゃなくて、本物を見てると全然違うな~」
三人が口々に目を輝かせて言った
「一人だけ感動が薄い人がいるんですけど・・・」
「う~ん・・・何度も来てるからね、でも綺麗だと思っているよ」
洋平が肩をすくめて言う
「おおっ!余裕の答えですなぁ~」
「やっぱり違うわねぇ~」
「そんなことないですよ」
バスの中は自然と笑い声が絶えず、四人はまるで何年も前からの友人のようにうち解けていた
くるみは、リッツ・カールトンホノルルの、高級感あふれる、新婚スイートのベッドの上に腰を下ろし、ゆっくりとハワイのために購入した水着を広げていた
さすが母の選んだホテルは一流で、部屋に一歩入るなり、ため息が出た
部屋の内装は、白とベージュを基調としたエレガントなもので、天蓋付きのベッドには、良い匂いのするアロマキャンドルと、ハイビスカスがハート型のモチーフで飾られて
新婚様に歓迎ムード一色でとてもロマンティックだ
床から天井まで届く大きな窓からは、太平洋の青い海が見渡せる広いバルコニーが広がり、風が心地よくレースのカーテンを揺らしていた
ワードローブに日本から持ってきた、このハワイで着るデザイナーズドレスや、洋平のアロハシャツをくるみは丁寧に、所狭しと並べた
窓の先には小さなラナイ(※大型バルコニー)があり、一歩出るとそこから聞こえる波の音と湿った塩の香りが心をリラックスさせる
まさに日本では味わえないリゾートアイランドに今自分はいる
この日の為に買った水着を広げてじっくり見る、鮮やかなターコイズブルー色で、まるで海そのものを纏っているかのような、デザインが気に入った
くるみはその色彩とデザインに満足しながら、鏡の前でそれを自分の体にあててみた
ドキドキ・・・・ビ・・ビキ二なんて・・・生まれて初めてだしおっ・・おなか気になっちゃうけど・・・それにカナズチだけど・・・
洋平君に普段と違う私を見て欲しいの・・・だって新婚さんだし・・・