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深夜、玲王が去った後の静まり返った自室。
潔は最高級羽毛布団の感触に包まれながら、天井の闇をじっと見つめていた。
玲王に塗ってもらったジェルのひんやりとした感覚が、かえって自分の肌の「過敏さ」を強調している。
いつもなら数秒で夢の中へ落ちるはずの潔だったが、今夜はどうしても、脳の隅っこに引っかかった「違和感」が消えてくれなかった。
(……待てよ。……なんか、おかしくないか?)
一度芽生えた疑問は、パズルが組み合わさるように潔の脳内を駆け巡り始める。
(……まず、「挨拶」のキス。 ……玲王は御影家のマナーだって言ってたけど……。よく考えたら、ドイツ代表のノアだってあんなに情熱的に挨拶してなかったぞ。それに、なんで毎回唇なんだ? 頬ならまだしも……あれ、もしかして、普通の友人はやらない……のか?)
一度考え出すと、止まらない。
潔はシーツの中で、玲王や凪、蜂楽に触れられた自分の「胸」をそっと手のひらで覆ってみた。
(……それから、ここだ。……なんでみんな、ここを触るんだ? 凪は寝ぼけてたって言うし、蜂楽は普通だって言ってたけど……。そもそも、男のここって、あんなに声が出るような場所だったのか!?)
昨夜、凪に「カリカリ」とされた時の、脳が溶けるような快感。
今日の屋上で、蜂楽に「じゅううう」と吸われた時の、腰が抜けるような衝撃。
思い出すだけで、首筋まで熱くなってくる。
(おかしいだろ……。なんであいつらは迷いなくここを攻めてくるんだ? まるで、最初から俺がこうなることを知ってたみたいに……)
暗闇の中、潔は自分の胸の鼓動が早くなるのを感じた。
(……「普通」……? 蜂楽は普通だって言った。玲王は儀式だって言った。……でも、……もしこれが「普通」じゃないとしたら、……あいつら、一体……何を考えて……)
潔の「恋愛偏差値2」の鉄壁に、ついに小さな、けれど決定的な亀裂が入った瞬間だった。
「なんでだろう」
その答えに辿り着くには、まだ少し時間がかかりそうだったが、潔世一という怪物の「無自覚な平穏」は、確実に終わりを告げようとしていた。
(……明日、……みんなの顔、……まともに見れるかな……)
布団を頭まで被り、潔は逃げるように目を閉じたが、瞼の裏には、自分を見つめる玲王の熱い視線や、蜂楽の獲物を狙うような笑顔が、いつまでも焼き付いて離れなかった。