TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

こんにちワルプルギスの夜。32話です。

二村 美晴

風を引いた。が翌日には完治し、通学区域でクラスメイトと挨拶を交わすことができているわけなんだが。

「千蔭ぇ。」「んだ?」「燕ちゃんにさぁ」「うん」その時の千蔭脳内↓

(お!どうなったん?((o(´∀`)o))ワクワク)

「告白されたかも…」「マジか」千蔭がすげえ目を輝かせているので少し不審に思うが、そんなことよりも自分の体温が核融合並みに勢いよく上がっていくことに気が行ってしまう。

赤くなっている口元を右腕で隠しながら歩を進める。

「それで?kwsk頼む。」解った、と返し昨日あったことを覚えている限りで話す。

熱出た勢いで自分が暴走してたこと。燕ちゃんが自分のことを好きだと言っていた事。それ全て言うのに、顔が溶けるくらい火照っている感覚が何度も繰り返されるので、かなりしんどい。

そんな苦労も虚しく「で、どうした?」まだ追求する千蔭が今は悪魔のように見えた。まあ、別に隠すこともないので「帰らせたけど。普通に」「はあ”ああああああああああ!?」選択ミスったっぽい。訂正、嘘ついたほうが良かった。

「何故帰らせたァ!?燕さんも顔赤いってことはもうそういうことだろ!?そのままベットでイチャコラ告白のしあいっこしてりゃいいものを!!」「声でけえよ!○ね!!」周りが反応し始めているので慌てて止める。変態帰れ。

「マジで馬鹿じゃねえのか?燕さんだって勇気出してたのに、エロオチにならないとしても、……ああ、過ぎたこと言っても後の祭りだ。今日は燕さんと二人で帰れ」「はっきりさせろと?」「熱出たときにいつもと違うノリで告白されても燕さんは不安だろ。改めて、正直に話してこい。」もっともだった。それにしても協力的な千蔭は珍しいもので、こちらも調子が狂うというものである。

千蔭はもう一つ、といった感じで

「適当にあしらったりしたら、お前が何であろうとぶん殴る。期待してるぞ。」

やるときは絶対にやる千蔭の性格の元で言われると、馬鹿物騒な言葉に大変身するわけだが。でも、不思議と、ただぶん殴ると言う感じではないきがした。それは気のせいだろうか。


悲報

燕ちゃんに避けられる

挨拶してもいつもみたいに目を合わせてくれないし、近づくと遠ざかる。

なんか緑色の赤ちゃんに近づこうとしてるような感じだ。(ジョジョのキャラ。後はggrks)

次第に自分がやろうとしていることが馬鹿らしく感じてくる。

自分は燕ちゃんが好きなのか。本当に。風邪で頭狂ってた時が本当に本心を表しているのか?自分は同性愛者だとでも言うのか?好きの意味は何なんだ?燕ちゃんは私のことを性的に見ているのか?

誰にも聞けないような質問で頭が満たされ、夏休み手前でたるみきっている授業に尚更、集中出来ない。

千蔭に聞く気にもなれない。何故かは分からない。頭の良い千蔭なら答えてくれるかもしれない。でも本当に自分のためになるのか。聞いてしまったら、それは自分の気持ではないように思えてしまう。

そもそも千蔭は多分答えてくれない。聞いてしまったら、本当に見放されてしまうだろう。「期待してるぞ。」期待は自分では届かないと分かった時にしか使ってはいけない言葉。氷菓を愛読書として持っている千蔭は、そういう意味でしか期待を使うことはないし、そもそもあまり使わない。

自分ではっきりさせなければならない。分かっていることだ。分かりきっている。

そんなことを校舎の裏の日陰で考えていると「燕ちゃんに告られたって?やるじゃん。」そんな声が聞こえてくる。見ると冬美がニヤついている。

「分かんない。告白なのか。ハッキリ」させろって言われたんだろう?」被せるようにして言われた。あとに続けて「でも自分はわからないことばかりですそれどころじゃないと。」「…………はぁ、うん」考えるのに疲れて結構きつい反応になってしまっている。「お客さん不機嫌だね〜。それじゃあさ、こう考えてみよ」プツっと何かが切れる。こいつは何で笑っているんだと。思った瞬間「そうじゃないんだよ!!」冬美が言いきる前に耐えられなくなって思わず怒鳴りつける。

「わかんないことばっかで、でも自分で完結しなきゃ自分の気持じゃないような気がして。もう嫌になってきてるのに、何でお前はヘラヘラ笑ってんだよ!!」冬美が悪いわけじゃない。子供なのは自分だ。でも怒りを押し付ける余裕なんてなく。「教えないでくれ。駄目だ、ああ、……………………帰れ…って、」

休み時間の校舎裏。静まり返るわけではなく、時期としては少し早い蝉の声が耳をつんざく。

冬美は少し驚いた顔をすると。「そう、じゃあ、考えな。」と言って、少し寂しそうに離れていった。その背中を呆然と見ることしかできなかった。謝ろうにも、気が立っていてその気になれない。冬美の姿が見えなくなってから、思いっきり地面を蹴る。2回、3回、何度も何度も、心が晴れるまで。

目の縁が熱くなってくる。頬に水がしたる感覚「があ”あ”あ”あああああッ、クソがあ”あ”あ”」脚が痛くなってきても、地面をけるのをやめなかった。どれだけ子供っぽくやっても、気分が晴れることは一向にない。涙が落ちて地面に沈む。それを踏み付けて涙なんて流していない、と思い込む。それでもどんどん、流れてくる涙は制服の襟すら濡らし始める。

そのうち疲れて地面にへたり込むと、いつの間にか授業開始のチャイムが鳴り響いていた。

授業に出る気力もなくなる。泣くのも疲れ、枯れた涙と一緒に、体を震わせる。

呼吸はところどころつまづく。


そして私は、高校に進学し初めて授業をサボった。

loading

この作品はいかがでしたか?

23

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚