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星の英雄 ゲズとリオン

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星の英雄 ゲズとリオン

15 - 第15話 「封じられし世界と、雷の記憶」

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2025年05月27日

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第15章:封じられし世界と、雷の記憶
――転移の光が収まり、目を開けたゲズとセレナがいたのは、

静寂と霧に包まれた、どこか懐かしさを感じる空間だった。


セレナが周囲を見回しながら言う。


「……ここ、“現実の宇宙”じゃない。

 時空の狭間――記録と記憶だけで構成された、封印領域のような場所ね」


《境界領域・アーカ=ヴェス》

星々が滅んだ後に作られた、最後の“知識と真理”の図書館。


彼らはここで、“ある存在”と出会うことになる――



―記憶の番人―


霧の中から現れたのは、浮遊する球体のような存在。

無数の光を纏いながら、古代語でこう語り始めた。


「雷の継承者よ。

君の中に眠るのは、“始まりの者”の記憶」


ゲズが目を見開く。


「……俺の中に……何かがいるってのか?」


番人は静かに頷いた。


「君の雷は“偶然”ではない。

君の血には、かつてルシフェルと並んで生まれた一柱――

《雷帝ゲル=オルド》の力が受け継がれている」



―ルシフェルと“かつての英雄”―


番人が空間を揺らすと、幻影のように1万年前の記憶が映し出された。


そこには、まだ“神々が共にいた時代”のルシフェルと、

それに並ぶ“雷帝ゲル=オルド”の姿があった。


かつては共に宇宙を守った神たち。


だがルシフェルは、命の循環を否定し“永遠の存在”を望み、

ゲル=オルドはそれを拒んだ。


そして――ふたりは戦った。

雷帝は敗れ、その魂は肉体を失いながらも、遠い未来に託された。


それが――ゲズだった。



―新たなる道標―


番人が最後に語る。


「ルシフェルを“完全に滅ぼす”唯一の手段。

それは、“魂を斬る刃”――

**《ソウルスレイヴ》**を呼び覚ますこと」


それは、雷帝の意志と共鳴した者にしか使えない、魂に届く唯一の武器。


ただし、それを扱うには――

自身の“弱さ”をすべて乗り越えなければならない。



―旅立ち前夜、ふたりの心―


その夜、アーカ=ヴェスの静寂の中。

ゲズとセレナは、炎のように揺れる記憶の灯りを見つめていた。


「俺さ……怖いんだ。

 ルシフェルに立ち向かうのが……じゃなくて。

 “誰かを失う未来”が……」


セレナは、そっとゲズの手を握る。


「私はね、もう誰も置いていかないって決めたの。

 リオン兄さんも、あなたも。

 もし“あなたが壊れそう”になったら――」


「私が、あなたを止める」


ゲズの胸が熱くなる。


「ありがとな、セレナ……」


ふたりは手を繋いだまま、静かに夜を迎えた。


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