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闇ユーギは千年パズルの完成によって目覚めたもう一人の人格、武藤遊戯は奇跡を起こした。クラスメイトの級友・海馬瀬人の犯罪じみた忌むべき愛憎の行為に裁きの天罰を与えて“神官”としての記憶を取り戻しゆく、ゲーム≠究極の心理戦! 密かに好意を寄せる紅一点の友達・杏子、唯一無二の家族・双六の【鬼の居ぬ間の洗濯】の熱視線を搔い潜り抜けて今日までの二つの人格との共生・共存の毎日の日々、日常を作り上げたー社長業の補佐としての彼のプライド‐矜持はバラバラに打ち砕かれたのである! カードショップでの卑劣な罪と罰がデス・ゲームを介して№1のカードゲーム『DM(デュエル・モンスターズ)』の近頃の最近の若者(10代)の流行りとたった一度の人生の攻略法を伝授した。もう一人の僕自身は心の扉の向こう側の世界(迷宮)で静かにその時を待ち侘びる……オレとゲームをしようぜ!
「遊戯~パスパス!」
「ボールはトモダチだろ? 手加減しなきゃ」
「昼休みの返上計画、これこそ未成年の主張! カードゲームばかりで足が訛ってた頃合いさ」
「火の鳥・ニッポン侍魂参るッ!!」
校庭のグラウンドではサッカーに熱が籠る。休み時間の神様たちの会合と遊び尽くした思い出のロマンスが少年の脳裏に深く刻まれてゆく……海馬君。あれから2週間も欠席して授業を休んでいる。パズルの完成と共に第二の人格が彼に罰ゲームを執行した、じーちゃんにはこのまま言わないつもりだ。下手に調子悪くしてぎっくり腰にでもなったら冗談でも無い! 事情を知らない杏子が何度も僕に確認しに来たー
「忙しくて知恵熱出た? プリント届けようにも隣街で住所分かんないし」
「社長風情の父親に体罰されて入院でもしてるのかも」
「聞いたことある、実弟のモクバ君は小学校低学年だって。ゲームの腕は兄譲りらしいよ」
「誰かオレと戦ってくれ、DM面白すぎ~~」
こんな様子。僕等の青春は相変わらず気まぐれの風のまま、自由に流離う旅人の如く、言霊をこだまに込めて白紙のノートに落書きを書き殴る日々だった……二つの人格が目覚めた。周りには誰一人とて口外していない。パズルのパッケージの裏箱にはアラビア文字で書いてあったー
『光の守護者・再び現世に舞い戻らん。完成と共に叡智と魔力の二つの褒美を与えん。無限の極み、此処に眠りし“王”の記憶が闇を照らし新世界の扉を叩き壊す』
「それってまさか……願いが三つ叶うとか!?」
「違うよ! ドラゴンボールじゃないんだし、とにかくパズルは完成したんだ。じーちゃんったら腰抜かしてたよ」
「アハハ。さすがゲーム屋の一人孫、海馬も真っ青ね! 嫌な奴だったわ、このまま停学処分かしら」
杏子とのトークも軽快に弾み通学路は小春日和に色づいてゆく。あれ? 家の前で人だかりが出来てるぞ……小学生の集まり、なんだか物騒な連中だ。じーちゃんの大ピンチ!? 不良の舎弟がモデルガンを掲げて叫ぶ!!
「よこせコラァ~レアカード売って闇市場に捌くんだよ!」
「「真紅眼の黒龍」でも満足してやるぞ? 年金暮らし~」
「DMの達人!? モクバ様も最強の弟だぞ!!」
杏子が聞き分けない!! バレーボール部主将の血が騒ぐ、危ない!!
「危険な子供達、オヤジ狩りなんて立派な犯罪よ! 警察のパトカーで連行されなさい!! 親不孝者ッっ」
海馬モクバー? 瀬人君の兄弟……まさか報復の復讐!? もう一人の僕のバトル・ファイトの続き、まさにその時っっ。実家『武藤家の宝物』店の真ん前で人騒がせなモクバ君のクラスメイトの級友達が危険な武器で僕の周りを取り囲んだ!!
「武藤遊戯~~!? こんな弱そうな餓鬼が社長様を? 信じられねぇ、モクバさん!!」
「高そうなパズル首からぶら下げて、偉そうに!! 俺名義でメルカリに出してやるよ、つべこべ言わず渡せ!!」
「お前なんかにDMの頂点の№1面させねェぞ、モクバさんシクヨロっす!」
海馬モクバー!? 杏子が通り過ぎる人々の視線の盾になって遊戯とじーちゃんをフォローする……そうか。完敗したアイツの腹いせに! 杏子の問いかけに遊戯は素直に答える!
「うん、僕が勝ったんだ、デュエルしてカードも取り返したよ!」
モクバ君は不敵な笑みで「真紅眼の黒龍」の輝きを太陽に翳した。復讐劇のスタートー!?
「じじい。店番代われ、兄さまの次の攻撃さ」
「何を言うー!? 全員少年院送りだ!! 杏子ちゃん、警察を……」
モクバが腰のポケットから生々しく札束を落とした。
「釣りは取っとけ貧乏人!! 慰謝料だッ」
じーちゃんは目の色を変えて頬ずりしている、ははーっ。お代官様!! 杏子は腰を抜かしてギャラリーの野次馬の目線を気にしている、僕に耳打ちした。
「大丈夫なの? 負けたら命が危ないわよ!?」
僕は千年パズルの力に頼り過ぎている自分を律して戒めた……! 店の入り口のドアーを開けてロビーの座椅子に座った。
「分かったよ。君が勝ったら「青眼の白龍」を渡すよ、瀬人君の敵討ちに来たんだろう?」
モクバは危ない級友を尻目に挑発した!
「兄さまはこんなひ弱な高校生に負けたのか、信じられないぜ」
DMのデッキは40枚!! シャッフルしては決闘者(デュエリスト)の熱き血潮の信念を込めた戦いの火蓋が切って落とされた!!
「デュエル!! 俺の先攻「バーバリアン2号」攻撃力2000だぜ!!」
テーブルの上にカードが置かれた。先日の“闇のゲーム”とは違いもう一人の人格は眠ったままだ……それでも負けない! カードショップの主人の孫として!!
「「ホーリーエルフ」守備表示。魔法罠カードセット」
フィールドの場に戦慄奔るーモクバ君は魔法カードを手札から出した。
「「サンダーボルト」、お前のモンスターを総て破壊するー墓地送りだ!!」
なんて強力なレアカード……並大抵の事じゃ怯みそうにない相手ー不足無し!
「分かったよモクバ君。本気を出す」
舎弟達がゲームを余所に店内の珍しいモンスターや魔法・罠に舌鼓を打っている……杏子は監視カメラの映像を厳しくチェックしていた、ヤバくなったら警察にこの動画を店に直行よ。遊戯、安心してネ!
「僕は「クリボー」守備表示。そして魔法カード……」
その場が爆笑の渦に包まれたー
「ハハハハ!! 貧弱そうなカード、弱腰な手前ェにぴったりだな、モクバ様、殺っちゃってくださいよ!! 地獄送りだッ」
モクバは言葉を失うー
「増殖、5体に増えた!?」
杏子は目を輝かせる。じーちゃんは生真面目そうに顎に手を当て感心している……デュエリストは戦いが終わったら皆、仲間。海馬君の弟……モクバ君。本当の優しい君に戻ってくれ、「青眼の白龍」もそう願っておるぞー総べてを察していた。
「この場はもう攻撃不能。僕のライフポイントは減らない、さらに」
チッ……貧弱で頼りない高校生ごときが兄さまを精神崩壊に追いやった。どんな手段と方法か知らないが、こいつにはいちいちハラハラさせられるー潜在能力の高さか?
「「強欲な壺」で「封印されしエグゾディア」を引き当てた。五体のパーツが揃えば即決闘終了、君のターンだ」
「そんなスーパーレアを……クソ!」
その瞬間。モクバはアーミーナイフを取り出し杏子の首元に当てる!
「きゃ……っ」
舎弟達がニヤリと笑いだした!
「手加減しねぇとこいつの首かっ切るぞ、返り血浴びたくなかったら「青眼の白龍」返せ! バトルなんざどうでもいい!!」
恐怖に慄いたじーちゃんがその場に尻もちする。杏子はぎらりと、彼を睨んだ!
「そんなもの怖くないわよ! 警察呼んだから」
「嘘だね。お前等、カメラをぶっ壊せ、テープの映像もだ!!」
店内は騒然と化すーCLOSEDの看板と死亡遊戯……緊迫の一瞬、千年パズルの耀きがその場を包み込んだ。
「モクバ!! 絶対に許せねェ、オレと変われ相棒!!」
人格が変わった!? これが噂の第二の顔……ギャラリーは目を疑った。
(遊戯!? いつもと雰囲気が違う……)
「遊戯。目覚めてしまったのか、ワシ達に言葉はいらない。ゲームの神官の番人に委ねるぞい」
その場の空気が一変した、デュエルを続けるぞ! ユーギは手札融合を実現させた!!「ブラック・マジシャン」、「バスターブレイダー」超絶進化ー
「「増殖」解除。「ブラック・パラディン」特殊召喚、お前のターンだ」
「……」
どうした。怖気づいたか? 瞳は輝き神々しさを全員に魅せゆく“奠の刻印”、これから先は闇のゲームだ……モンスターが実体化する! 濃霧でテーブルが亜空間にシフト・チェンジした。
「生き残れるのか、少年。君の兄は勇敢で立派だった」
杏子とじーちゃんは視界に居なくなっていった、ユーギとモクバは暗闇の先の決闘場に一対一のバトル・ファイトの鐘の音色を高らかに鳴らす!!
「降参(サレンダー)したら1000%失望するぜ」
モクバは血眼になってデッキからそのカードを引き当てた! 恐怖で泣き叫びながら名前を轟き呼んだー
「「真紅眼の黒龍」カード、奇跡を起こしてやるよ!!」
「全力で来い、粉砕するぜ」
手札から召喚するのは、当然。
「オレはライバル(好敵手)の最高のしもべ「青眼の白龍」攻撃表示。」
青眼の白龍VS真紅眼の黒龍!! 龍虎合い打つ、審判の鬨ーそして。モクバが妖しく嘲笑った……引き当てた魔法カードは!
「やっぱり俺様は兄貴譲りのラッキーボーイだぜ、「サウザンド・ナイフ」超動!!「サンダーボルト」とより強力なウルトラレア……遊戯、貴様の場のカード総てを葬り去る!!」
「了解」
ユーギの場は裸同然、生き残った「真紅眼の黒龍」の黒炎弾が彼のライフポイントを焼き尽くした!!
「ざまあないぜ!! な、お前等?」
ライフポイント100。次はオレの奇跡の番!!
「引き当てたぜ」
エグゾディア登場ー封印されし者の両手、両足。5枚のしもべは結束の力で全力エナジーを解き放った……
「君の負けだモクバ。そして罰ゲーム」
? 視界が暗転した……アレ、俺は今まで何をー兄さま!?
「モクバ……ゲームなんざどうでも良い! 未来の副社長なら勉強に勤しめ、AB大学院に合格するまでDMは没収だ!!」
兄さま~助けて~~、暗いよー怖いよー!!!『武藤家の宝物』店内は街頭ビジョンとプロジェクションマッピングの様なDMのありとあらゆるカードの絵柄が表示されゆく……気が付けば“彼”の人格は元に戻っていた。
「杏子。じーちゃん。僕勝ったよ」
千年アイテムはまた一つ、キセキを起こした。杏子は安堵して思わず僕を見惚れている……じーちゃんは何も言わずにモクバの肩を叩く。
「デュエルが終わったら皆、友達だぞ。夢と希望のいっぱい詰まった宝箱じゃろ? それがわしの名前の込めた想いさ」
警察のパトカーの音色が聞こえて来た。じーちゃんが大人の責任を背負い必死に店外で説明している、杏子は僕の事を一番心配してくれていた……全然へっちゃらだよ。
(相棒。オレの声を聞け、これから一緒に戦うんだ)
もう一人の僕? 辺りには聞こえていない。
(決闘者(デュエリスト)に二言は無いぜ。仲間を大切にな、君の大切なピースのカケラだ)
(うん。ありがとう)
(ほら……呼んでるぜ)
じーちゃんと杏子の必死の説得によって警察は帰って行った、モクバ君達を連れて。書類送検だけで終わりだろう……じーちゃんは何食わぬ顔で僕に歩み寄る。
「これからじゃよ。お前の耀かしい歴史の創まりは……闇のゲームの番人は大切なものの為に戦える勇者じゃ、遊戯」
「うん。杏子もじーちゃんも、みんな僕の手で守りたい」
「彼女に良い所見せてやれ……杏子ちゃん! お腹が空いただろう、カツ丼でも出前取るかい?? わしの奢りだ」
「やったー☆ 楽しみ!」
時刻は午後6時ー好きなものに夢中な時間はあっという間に通り過ぎゆく……今日も日が暮れる。遊戯はパズルに優しく触れてみた、胸のどこかで言ノ葉が反応した。
「海馬瀬人。モクバ、君達“戦友”はまたオレの心に深く刻まれた……カードは大切にな」
「君は何者なの? 千年アイテムの意志?」
「答えを知るのはまだ早過ぎる。オレを信じろ」
杏子の大声で会話は掻き消された、明日も良い天気になあれ! 真夏の夕焼けがオレンジ色のパレットのキャンバスに成り僕等をどこまでも祝福していた……カツ丼美味ー!! 海馬兄弟、大丈夫かな。明日も学校でDM三昧、サイコー!!
「遊戯。苦しくなったらわしや友達にそれを貸せ」
「それ?……うん。全部分かってる」
「見直しちゃった。フラグGET♡ あのイケメン王子様に伝えといてネ」
え~!? 恋のライバル出現!! 勝てないよ~。カツを平らげて僕は頬に米粒をつけたまま間延びをしてみる……もう一人の【相棒】が心の扉をノックした気がした。よろしくね、ユーギ君……