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ダイヤの瞳

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ダイヤの瞳

5 - 第5話

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2022年04月22日

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グループラインに樹から送られてきたメールを見て、集まっていたメンバーは笑みをこぼした。

ジェシー「とっくのとうに知ってるよ、俺らは最強だってことは」

高地「やっと気づいたか、遅いなぁ」

大我「まあまあ。ちょっと本調子を取り戻してきたっぽいね。良かった」

北斗「うん。曲聴いたのかな」

慎太郎「だから、こうやってメール送ってきたんでしょ」

北斗「そりゃそうか」

高地「でも…、辛くなってないかな。曲聴いて、色々思い出しちゃって、あの頃は楽しかったのに…ってなってないかな」

ジェシー「うん…。いや、樹なら大丈夫だよ。俺らの気持ち、ちゃんとわかってるから」

大我「そうだね。曲聴いてって言った本意はわかってるはずだし、今でこそ、歌詞の意味がスッと入ってくるんじゃないかな。心に響いてるといいな」

うん、とみんなは笑って頷いた。



あれから、少しだけ、樹は院内を散歩したり、中庭に出たりするようになった。

今も、中庭に来て本を読んでいる。髪をニット帽で隠して下を向いているので、声を掛ける人は誰もいない。

でも、人が多くなってくると、居心地が悪くなり、本を閉じた。なるべく一人のほうが、過ごしやすいようになった。今まではメンバーと一緒だったり、ほかの人と一緒にいるのが好きだったが、今では人と会うのが怖くなってしまった。

車いすを操作し、病室に戻る。誰もいない静かな部屋。時計の針の音だけが響いている。その無機質さが、逆に心地良かった。自分だけでいられて、ひっそりと息を潜められる。その環境に安心した。

ベッドに入り、少し眠ろうかと布団をかぶったその時。コンコン、とノックの音が聞こえてきた。

「はい」

ドアが開き、入ってきたのは、大我だった。「ごめん、急に来ちゃって。今、大丈夫?」

少しの逡巡の後、うん、と答える。大我はふっと笑った。

「俺なら、アポなしでも大丈夫かなって思って」

「…きょもじゃなくても大丈夫だよ。来てくれてありがと」

樹はリモコンのボタンを押し、ベッドを起き上がらせた。

「ううん。体調とか、どう? たまには外出てる?」

「さっきも中庭に出て、読書してた」

「そっか。それなら良かった。あ、ご飯ちゃんと食べてるか? 少食の樹のことだから、病院食も残してるんじゃないの」

樹は目を伏せた。

「うん…。最近、ていうか、入院してからあんまり食欲なくて。お粥とか、体に優しいもの中心だから、食べやすいっちゃ食べやすいけど。……ちょっと痩せてる?」

「見た目的には、細くなってるよな。ちゃんと復帰までには、体力とか筋肉、つけなよ」

「きょもに言われたくねーよ笑」

だが、そう言って口角を上げた樹の表情は、大我にはどこか寂しく見えて、純粋に笑えなかった。少し無理をしているんじゃないか。わざと、笑顔をつくっているんじゃないか。長年の付き合いから、そう思った。

「樹……、無理してないか」

「え? うん、してない。大丈夫だよ」

「本当か。嘘つくなよ」

大我は、真っすぐ樹の目を見つめた。グループの中では一番背の低い大我だが、ベッドの上の樹からすると顔の位置はかなり高い。

樹は、その視線にたじろぎ、目をそらす。

「な。俺には何でもわかるんだよ、樹のこと。やっぱり、辛いんだろ。受け皿になるから、吐き出してみて」

「……最近さ……」

「うん」

「なんか、気力がなくなって。何にもしたくない。読書とか、音楽を聴くのは…暇つぶしみたいな感じでやってるけど。ほら、仕事ゼロになったから、やることないし、なにすればいいかわかんない」

「そうか……。あれ、リハビリは? やってないの?」

「まだ。骨がくっついて、ちょっと経ったら出来るみたい」

「…うん。まあ出来るようになったら、ちょっと体動かすのもいいんじゃない。好きでしょ、運動」

「まあ…ね。でも、動きたくても動けないから、辛い。痛いし。なんか、なにしても楽しくないっていうか…」

静かに心の内を吐露した樹に、大我は動じず、じっくり話を聞いていた。

「無理もないよ。……辛いなら、楽しくないならなにもしなくていい。本と音楽だけでいいから。俺としたら、音楽を聴いてくれてるだけで嬉しい。それがSixTONESの醍醐味だからね。今は静養期間だから、ゆっくり休んどきな」

「ありがと」

樹は優しく微笑んだ。その笑みは、大我には今度こそ本当の仕草に見えていた。


外に出ると、もうすっかり暗くなっていた。

あとは、夜に一つ仕事がある。病院を出たその足で、大我は仕事場に向かった。というのは、メンバーでパフォーマンスの練習をするためだ。練習の前に仕事が入っていないのは大我だけだったので、一人でお見舞いに行っていた。樹の様子も、そこでみんなに報告しようと思った。

リハーサル室に入ると、ジェシーと慎太郎、北斗が既に来ていた。

「よろしくお願いしまーす。…こーちはまだか」

ジェシー「うん。まあいつも通りのマイペースだからね」

慎太郎「まあそうだろうねえ~」

そんなこんなで数分後、高地が来て、練習を開始する。

高地「ごめんちょっと遅くなった。なんか道が混んでて…」

北斗「なんか違う道通ったの?」

高地「いや、いつもの道だけど…なんでだろ、わかんない」

大我「いいよ、全然。しょうがないもん。それより練習しよ」

そして練習を始めた。


一区切りがつき、休憩に入る。大我は、みんなに向けて話し出した。

「さっき樹のところ、寄ったんだけど」

慎太郎「ああそうか、言ってた」

北斗「どうだった?」

大我「うん……、まあ、あんまり元気そうではなかった。食欲がないって言ってて、ちょっと痩せてたし。何しても楽しくないんだって。気力が湧かないって」

ジェシー「そう……」

大我「なんか…怖い。樹が壊れるんじゃないかなって思って。もういつもの樹じゃない感じ…」

高地「うん…」

その場がしんと静まり返る。

大我「でも、本とか読んでるみたいだし、音楽も聴いてるってよ。せめてそのくらいでも、なんかしてたらいいかなって思う」

慎太郎「うん、俺も思うよ。要するに、多分ショックなんだろうね。入院した直後に、俺らに全く会いたがらなかったのと同じように…。それが続いてるけど、ちょっとマシになったぐらいじゃないかな」

北斗「そうか…。まあこれからだな。ゆっくりやってけばきっと大丈夫」

ジェシー・大我・慎太郎・高地「そうだね」


そのときみんなは、樹の心が闇に蝕まれつつあるのには、まだ気付いていなかった――。

続く

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コメント

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更新まってました! きょもじゅり多めでうれしかったです!

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