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「……もう無理に言わなくていいですよ」
律が静かに口を開いた。
「え……」
華は驚いたように目を瞬かせる。
「桜坂さんがどんな思いでここにいるのか、俺はちゃんと見てます。
……だから、それで十分です」
優しく告げながらも、律の声はほんの少し掠れていた。
自分でも抑えきれない感情が、言葉の端に滲んでしまっていた。
華は胸を押さえ、俯く。
耳まで真っ赤になりながら、心臓が壊れそうなほど打ち鳴っていた。
(……律さんに、ちゃんと伝えたいのに)
二人の距離はまだ曖昧なまま。
けれど、その曖昧さがかえって互いの心を強く揺さぶっていた。