テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「此処が…………」
目の前にある建物は大きく、そして静寂を感じる外装だ。
「さあ、入って」
中に入ると其処には悪魔研究者と思わしき人物らが数人居た。「エリミア。おかえりなさい」
そっちの進捗はどう?」
「その事については後で詳しく報告するわ、今日は訳あってその悪魔事件の被害者家族を匿おうと思って連れ込んできたわ」
とエリミアはそう言ってルナリス達を紹介し、悪魔憑き事件についての報告を交えて事情を説明した。
「なるほど………確かに幼い子供がいる状況で、しかも元居た住居も今や荒れ果ててるとなると住めないよな……つまりは帰る場所を失った事になる」
「そういえば、その少女って確か殺人罪で捕まったあの子だよね、それなら尚更元居た場所には帰れない…………」
「ええ、ヴェルリナちゃんの刑期が明けるまでの間この家に一家の皆さんを匿おうって思ってね。それに小さい子供も産まれて余計に不安が大きいだろうし、それで急遽提案したの」
そう話しているとラヴィシアは母親に抱きつき、知らない大人がこんなにも大勢居る空間に戸惑っているようで、少し緊張してるみたいだ。
「……………………………」
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ、此処にいる人達は皆んなとても温かいの。何より貴女のお姉ちゃんが苦しんできた事も深く理解を示せる味方よ」
そう優しくラヴィシアに言葉をかけた。
怖がりながらもそっと周囲の人に目を向け、警戒しなくて良い人物かどうかを再確認する。
「……………………お姉ちゃん、暫く帰って来ないんだよね…………寂しいよ」
ラヴィシアはポツリと涙を流した。そんな彼女に研究家の者達も一緒になって寄り添い、頭をそっと撫で安心させた。
すると恐れなくて良い人だという事を理解し、そっと抱きついた。
「やっぱり余程寂しかったのね、私達だって同じよ。だけど貴女は間もない年齢だし、寂しさに耐えられるような忍耐力はまだないもんね」
こうして研究家達は共に一家と過ごす事にし、ラヴィシアの世話をする事になった。
この家には多くの悪魔を研究対象に、調査をする悪魔研究家を始め霊現象や超常現象といったものの専門知識を持った専門家が集う、言わば事務所のような場所。
その為、本棚には無数の専門書やこれまでの調査記録などが多く敷き詰められている。
「資料や専門書……こんなにもあるなんて、まさかこれ全部悪魔事件や超常現象に関する本……?」
「ああ、そうだ。これまでの悪魔事件の報告書や調査記録、超常現象の分野にまつわる文献を纏めてるんだ」
ルナリスが本棚を見つめているとラヴィシアも興味津々そうに本を眺めている。何より姉は最近まで悪魔祓いを受けていた、悪魔の事をもっと良く知りたい。そんな気持ち一心に駆られ、「ねえ、此処の本色々読んでみたい、それにお姉ちゃんにこれまで何が起きていたのか……それを知る為にも……此処にある読み物って悪魔や超常現象?ってものに関する本なんだよね」
「ああ、そうだ。読んでみるかい……?」
「うん……!」
遅かれ早かれ、何れは知る事になる事には変わりない。ラヴィシアは自分姉にこれまで何があったのか、その一切を知らずしてあの突然な裁判が訪れた……故に何故捕まる事になったのか、事の経緯を知らない。
それを知る為には今回の全ての発端であったあろう悪魔という存在を深く知る必要があるんじゃないか、そう感じたのだろう。
「じゃあ、ちょっと待ってて文献を持ってくるから」
そうして彼女は運ばれてきた専門書や文書を良く読み漁り、悪魔とはどんなものか、悪魔が及ぼす影響やその憑依者の心理状態などを知る。
「…………お姉ちゃん、とても苦しかったよね……自分じゃない別人みたくなってたって思うと……、なのに……」
とラヴィシアは姉を思い、涙をポツリ……またポツリと流し、ヴェルリナのこれまでの経緯を理解し、胸を痛めた。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん………寂しいよ」
「ラヴィシア……………………」
「でも刑期が明けさえすれば、必ずお姉ちゃんに会えるわ。永遠に会えなくなった訳じゃない」
と彼女の寂しさに寄り添い、前向きになるような言葉を伝える事で安心感を与える。
「そうだ、他に読んでみたい本や資料はあるか?良ければ一緒に読もう、勿論知りたい事があるなら、答えられる範囲の事なら教えられるよ」
「…………じゃあ、読みたい」
そして悪魔研究家らは其々依頼されている悪魔事件の調査結果やその詳細を報告書に纏める作業をラヴィシアの世話を並行しながら、取り組み始めた。
彼女は興味津々そうにもっと深く知りたいとその探究心にくすぐられ、夢中になる程集中して本を読む。
そうしていると時間はあっという間に一瞬で流れていく。
「………………お姉ちゃん、元気にしてるかな」
「ええ、きっと元気に過ごしている筈よ」
「悪魔や超常現象による事件というのは本当に難題だよ、そもそも話をまともに聞き入れても信じてもくれない、霊が見えたり悪魔に憑依される苦痛や苦しみは当事者しか理解できない、この手の案件は大抵周囲の人間はそういう人を避けるばかり」
「それに証明しようにも馬鹿馬鹿しいって罵られる……だけど目に見えぬ存在や恐怖に苦しめられている人間がいるのも、また事実……ほんとにこういうのは何時も胸が痛むわ」
研究家らはルビネット一家に対し、親身に寄り添う。
そうして、ルナリスらは久方振りにヴェルリナに面会しようと彼女が収容されている刑務所へと向かう。
その道中、裁判所付近に群衆が出来ており………何やら抗議デモをしているようだ。
その最中で聴こえてくる声に耳を傾けているとその内容というのが、つい最近判決が下されたヴェルリナに対しての納得がいかず反発……つまりはあの無差別虐殺事件で犠牲となった者らの遺族や親族らが不服の意を申し立てているのだ。
「想像はしてはいたけど、やっぱり……でもヴェルリナちゃんが望み自らの意思で犯行に及んでた訳じゃない」
「悪魔や霊の存在を信じてない人間はその被害者に対し、皆んな口を揃えて異常者……呪われた穢れ者だと……普通は見えないものが見えてしまう、その恐怖心を知らないんだよ」
「お姉ちゃんは悪者でも異常者でもないのに…………お姉ちゃんが抱え込んできた苦しみを……お姉ちゃんの感情も知りもしない癖に……」
と群衆の声に対し、エリミア達だけに止まらずラヴィシアまでもが思わず我慢できなかったようで、ポロッと本音を漏らした。
そしてヴェルリナに面会する為に彼女が収容されている刑務所へと入った。
「久方振り、ヴェルリナ」
「……………………………………」
ヴェルリナは俯き、暗い表情で無言のまま。
「お姉ちゃん、後何年で帰ってこられるの……?ママも……パパもそれに私も凄く寂しいよ……」
「………………もう帰ってこれないかも」
「え…………?、どういう事……だって貴女に下された判決は死刑でも無期懲役でもなく言い渡されたのは懲役15年だった筈よ」
ルナリスは思わず、どんな反応をしたら良いのか。とにかく困惑の感情を隠せない。彼女にその訳を聞いてみると、どうやら被害者遺族らが裁判所や刑務所に対し、抗議デモを起こして反発していると。
「此処に来る途中、デモ活動をしている人達を見かけなかった………?その人達が今回の判決に対して不服だったみたいで裁判のやり直しを強く要求してるみたい、無期懲役…もっと言うなら死刑を望んでるんだよ」
コメント
1件
ちゃんと読みました……第17話、とても温かいお話でしたね。ラヴィシアが「お姉ちゃん、寂しいよ」って涙をこぼすシーン、胸がぎゅっとなりました。小さな子が自分の置かれた状況を理解しながら、それでも前を向こうとする姿が健気で。研究家たちが「永遠に会えなくなったわけじゃない」と寄り添う言葉も、すごく優しくて沁みました。ラヴィシアが悪魔の本を読んで姉の苦しみを知ろうとする探究心も、尊いなって。あと、抗議デモの描写は現実の厳しさを感じさせて、胸が痛みました。でも、こういう世界観だからこそ、研究家たちの温かさが際立つんですよね。続きも気になります。
*.꒰ঌ𝕐𝕦𝕚𝕜𝕒໒꒱.*
202
#腐男子
光
59
#たぐ?なにそれおいしいの?
#オリジナルキャラクター
エメラルド
257