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目次
◇ Scene 1:日常と、崩壊
◇ Scene 2:クジラの影と、最悪の夜
◇ Scene 4:現在──小学6年生の帰り道
◇ Scene 5:助けを求める電話
◇ Scene 6:夜の学校・異変
◇ Scene 7:舞台、ジョーカー、そして──歌
子どもたちの笑い声が響く公園。
まだ陽が沈みきらない時間、四年生の音無ユユは滑り台のてっぺんから街を見下ろしていた。
ユユ「やっぱ滑り台は楽しいなぁ〜!」
りま(ブランコをこぎながら)「ユユちゃーん!一緒にブランコしよー!」
ユユ(笑いながら降りてくる)「いいよぉ〜!」
しかし、ふと。
――じじっ……じりじり、ジィ……
風が止まり、妙なノイズのような音が耳を掠める。
ユユ(足を止めて)「……なんの音?」
りま(振り返りながら)「え?何も聞こえないよ?」
ユユ「ノイズみたいな……」
りま「きこえないy──」
パリンッ。
空気が弾けるような音と共に、りまの体が砕け散る。
まるで透明なガラスが割れたように、細かい破片が地面に散った。
ユユ(呆然)「え……り、ま……ちゃん……?」
必死に走るユユ。鼻歌のように、震えた声で歌う。
ユユ(走りながら)「大丈夫だよ…自分ひとりじゃあない…きっとどこかに…あるはずだか…らッ!……わあっ!」
(転倒)
ユユ「 あ……あぁあ…あ……」
――ジリジリジーーー。
ノイズが迫る。背後から、脳を焼くような音。
だが。
バッシャーーン。
水のない道路に響く、水音。
空間が歪むように、ユユの前に現れたのは──**“クジラ”の影**。
ユユ「……く…クジラ……?」
音だけが現実味を持っていた。
(自宅玄関)
ユユ「ママ!パパ!……っ!」
応答はない。
食卓には置かれたコップ。中の水が揺れ……パリンと音を立てて割れた。
母親たちはガラスの破片のようなものが散らばっていた
ユユ(ナレーション)「あれが……一番の、最悪だった。」
教室。下校のチャイムが鳴る。
(夕暮れの街を歩くユユ。口ずさむ歌)
ユユ「僕が〜歌うのが好きなのは〜歌が好きだからあ〜…夢の向こうの〜先へ〜希望の世界へ〜飛び立とう♪……ん?」
地面に落ちたクジラのキーホルダー。
ユユ(しゃがむ)「クジラのキーホルダー……?」
???(少年の声)「それ……俺の。」
(振り返ると、白と赤の髪、オッドアイの少年が立っていた)
ユユ「あ……ごめん……返すね。」
(差し出すと、彼は静かに受け取りながら)
???「あと……さっきの歌……続けて。」
ユユ「え?あぁ……僕、歌ってた?」
???(驚いたように)「まさか……無意識に歌ってたのか……?」
(風が吹く)
ユユ「君……名前は?」
???「クラネイス。お前の管理者だ。」
ユユ「えぇ……ど、どういうこと!?全然理解できないんだけど!」
クラネイス(目をそらし)「そのうち……わかってくる。」
ユユ(ごまかすように)「っていうか……友達と遊ぶんだった!じゃ……じゃあね!」
(走り去る)
ユユ(心の声)「……あの子、なんだったんだろう?」
(着信)
ユユ「ん?るなちゃん?」
るな(通話越し)「たす……けt…(ノイズ)……が…がっこうに……き…て(ノイズ)」
ユユ「ぜ…全然聞こえない……切れた……」
ユユ(目を見開き)「“助けて”って……まさか──!」
(夜の学校に走るユユ)
ユユ「学校だ!」
(門の前で警察に止められる)
警察「ちょっと君!夜遅くに出歩いちゃ──」
ユユ「違う!友達が──!」
警察「うわっ!?」
(背後で、巨大なクジラの影が現れ、警察を弾き飛ばす)
ユユ「く、くじら……!?」
(その隙に校舎へ)
ユユ「……あれ?ここ……運動場じゃ……」
(いつの間にか、舞台の上に立たされている)
????「さぁさぁ始まりました〜!残虐劇場の開催です!」
ユユ「なんのこと……?って、ぼく……舞台の上に……?」
(視界に、るなの服、そして血とガラス片)
ユユ「……っ!るなちゃん……」
(姿は見えず、残された破片だけが散らばる)
???(大きく手を広げて)「わたくしの名はジョーカー。ノイズとは、我々のようなこわ〜い存在であります!」
ユユ(後ずさり)「ノ……ノイズ……?」
(その瞬間――)
ザッブーン。
舞台の床が砕けるような音、現れるクジラの影。
ジョーカー「ッ……なに──」
(クジラ、ジョーカーを一瞬でバラバラに)
(クジラの姿が溶け、クラネイスの人間姿に)
クラネイス(静かに)「……歌え。」
ユユ「え……なんで?」
クラネイス「そうじゃないと……またノイズが増えてしまうから……」
(静かに、ユユは目を閉じて)
ユユ(歌う)「……刹那に変わる……心にぃ……つよ〜く……抱く……」
(光が満ち、砕けたノイズが空へと昇っていく)