アイテム番号: SCP-4789-JP
オブジェクトクラス: Eucild
特別収容プロトコル: SCP-4789-JPはフロント企業によって買収し、民間人によって購入されるのを防いでください。SCP-4789-JP内には隠しカメラを5台設置し、内部に存在するSCP-4789-JP-Hの監視を行ってください。現在、SCP-4789-JP内部及び敷地内への進入は[実験の場合を除いて]許可されません。収容以前にSCP-4789-JPに居住していた佐藤氏は、現在Eクラス職員としてサイト-8107に拘留されています。
佐藤氏が居住する以前にSCP-4789-JPに居住していた[4体]全てのSCP-4789-JP-Hはサイト-81■■の病室に改装された収容室に収容してください。以前にSCP-4789-JPに居住していた残りの人物は[現在捜索中です]全員確保されました。
説明: SCP-4789-JPは■■県■■市に存在する一戸建ての住宅です。財団による調査の結果、SCP-4789-JPを構成している建築資材そのものに異常性は存在しないことが確認されていますが、SCP-4789-JPがいつ建設されたのかは不明です。
SCP-4789-JPの異常性は、SCP-4789-JPに婚姻関係にある男女が居住を開始してから一ヶ月が経過した頃から発現します。異常性が発現すると、居住者らの妻に当たる人物(以降、対象)の喜びや”幸せ”という感情が増大し始めます。発現して間もなくは一般的な人間より感情が豊かになる程度で収まりますが、異常性が発現してから半年が経過すると対象はどのような行為をされたとしても、喜びの感情以外の感情を出す事が不可能になり、同時に記憶処理による治療も不可能となります。さらに異常性が発言してから1年が経過した対象の身体はいかなる事故や人為的な行為による負傷も負わなくなります。またその時点で居住者の顔面の骨格が変化し口元が[⚠PQLが閲覧上限値を超過しています]に類似した状態となります。
補遺.1 発見経緯
SCP-4789-JPは、■■県■■市に存在する不動産会社に潜入していたエージェントが公的に登録されていない住居の記録を発見し、調査を行ったところSCP-4789-JPの異常性が発覚しました。そして財団はその時点でSCP-4789-JPに居住していて、影響を受けていない佐藤氏を一時的にサイト-81■■に移送し、収容体制に置かれました。妻の方は認識災害の影響が重篤状態であることからSCP-4789-JP内に隔離する事が決定しました。
補遺.2 インタビュー記録4789-JP
インタビュー記録4789-JP-6
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対象: SCP-4789-JP-H(佐藤氏妻)
インタビュアー: 浜田研究員
注記: インタビューはオンライン形式で行われました。
〈再生開始〉
インタビュアー: ではインタビューを開始します。佐藤さん、どうか楽なお気持ちでお応えください。
対象: はい、分かりました。
インタビュアー: ではまず、いまのお気持ちを教えて下さい。
対象: はい、とても嬉しいです!
インタビュアー: それは何故ですか?
対象: なぜって、とても幸せだからですよ。それに夫もとても優しくて、この家も住みやすいし、近所の方たちもいい人たちばっかりで…
インタビュアー: 優しい……。ですが、いまあなたの旦那は入院中(※1)ですよね。それに関してはどう思っていますか。「大きな病気だったらどうしよう」という考えはないんですか?
対象: 嬉しいですよ、だって病院って病気を治すところですから、旦那の体の調子を良くしますよね。そして元気になった旦那に会うのを想像すると嬉しくてたまりませんよ。
インタビュアー: [沈黙]…すこし縁起の悪いことをお聞きしますが、では仮に病院が治療に失敗して、もしご主人が亡くなったらどう思いますか?
対象: 嬉しいですよ、だって私はまだ若いですから、新しい出会いもあるかもしれないし、出会わなかったとしても一人で自由にいろいろできますから、そのことを思うと嬉しくって……。
インタビュアー: [絶句]
対象: だから、
対象: 私はとても幸せなんです!
インタビュアー: [溜息]インタビューを終了します。
〈再生終了〉
インタビュー終了後、浜田研究員はサイト-8107管理者である██博士に異動願を提出しました。異動願は受理され、浜田研究員はサイト-81██へ異動となりました。その後行われた財団忠誠心評価テストにおいて、浜田研究員の得点が以前に比べ大きく低下したことが明らかとなりました。
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インタビュー記録4789-JP-2
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対象:佐藤氏
インタビュアー:松村研究員
付記:前回のインタビュアーを担当した浜田研究員は前述の事態からサイト-81██に異動したため、新たに松村研究員がインタビュアーを担当します。
〈再生開始〉
インタビュアー:では、インタビューを始めます。
対象:はい、よろしくお願いします。
インタビュー:では最初にSCP-4789-JPで生活していて、違和感を感じたのはいつ頃からですか?
対象:SCP……あぁそうか、あの家のことか。ええと…[約10秒間沈黙]
対象:……最初に変だなーって思ったのは、あの家に越してから、大体一ヶ月ぐらい前でしたかね。
対象:あなたは知っているかどうかは分かりませんけど、私には妻がいるんですよ。学生の頃から付き合っていて、就職して少しあとに結婚してあの家に越してきたんです。
インタビュアー:続けてください。
対象:変に思ったその日、どうやら妻とご近所さんでトラブルがあったみたいなんです。まあ実際、お互いの勘違いだったようですけど。でも妻は人付き合いが苦手なんで、他人と話したあとすごく疲れるみたいなんです。
インタビュアー:では、その日の奥様はいつもと違ったと。
対象:はい、事情を話してくれているときも何故か明るくて。理由を聞いたら「誤解が解けてよかった」って明るく言われたんですよ。そこからですね、妻の様子がどんどんおかしくなっていたんです。
インタビュアー:なるほど。では最後になりますが、貴方の奥様がおかしくなったのは、SCP-4789-JPじゃないかと思ったことはなんでしょうか?
対象:えっと、たしか半年前だったかな。私の父が亡くなって、葬式に二人で出席しようとしたんです。その時はもう、「頑張りすぎておかしくなったのかな」って思いましたよ。
インタビュアー:あ、辛いことならお話にならなくても結構ですよ。
対象:いえ、大丈夫です。
対象:[一息つく]当日、妻も当然行くだろうと思って、「おーい、もう行くよ」みたいな感じで声をかけたんです。そしたら何故か行きたくなさそうだったので、「具合が悪いの?」って聞いたら、妻が「違う、この家から離れたくない」って言ったんです。それを聞いて私、訳が分からなくなって「え、なんで?」って聞いたら………
インタビュアー:あ、あの、大丈夫ですか?無理そうならまた後日でも結構、
対象:あいつ……笑顔で「あなたも一緒にいましょう、この家にいる限りずっと幸せになれるのよ。現に今、