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「第三幕 第二章 砂に眠る記憶」
砂嵐の翌日、あなたたちは地図に記された〈星降りの遺跡〉へと向かっていた。
そこは千年前の王国が星を祀った聖域であり、今は砂に半ば埋もれている。
星槍の反応が強くなり、空気が薄く震えているのを感じた。
ラシードは無言で歩いていた。
いつもなら軽口を叩く彼が、今日はやけに沈黙している。
「……ここは、俺の故郷の近くだ」
ぽつりと呟いた声は、砂よりも重かった。
セレスティアが驚いた顔で振り向く。
「故郷……?」
「ああ。俺がまだ“兵士”になる前、家族と暮らしていた村が、この遺跡の北にあった」
ラシードは歩みを止め、遠くの砂丘を見つめる。
「だが、ある夜……空が裂け、星が降った。その光と一緒に……〈月殿〉の者たちが来た」
声がわずかに震えている。
あなたは何も言わず、彼が続けるのを待った。
「村は焼かれ、家族も……。俺は生き延びたが、その夜から全てが変わった」
彼はゆっくりと槍を握り直した。
「だから俺は月殿を追っている。ただの任務じゃない、これは俺自身の戦争だ」
やがて遺跡に辿り着くと、そこは白い石柱が何本も倒れ、中心には巨大な星型の祭壇があった。
祭壇の表面には古い文字が刻まれている。
あなたが触れると、星槍が共鳴し、文字が光り始めた。
「……読める」
セレスティアが目を細め、声に出して読み上げる。
『星は鍵、月は門――集いし時、天は沈み、闇は満ちる』
その瞬間、地面が震え、祭壇の周囲から黒い影が這い出してきた。
人の形をしているが、目は空洞、体は砂と闇でできている。
「……月殿の守り手か!」
ラシードが槍を構える。
影たちは一斉に襲いかかり、遺跡の空気が一瞬で戦場の匂いに変わった。