続
shk「 …br…っ、? 」
誰、その人。
…なんて、聞けない。聞けなかった。
にこにこと、和気あいあいとした雰囲気を纏った二人は、側から見たら美男美女の お似合いのカップルだ。
…気がつけば俺は走り出していて、…ひたすら足を動かしていたことだけは覚えている。そこからは、焦燥感とか 寂しさとかで、でよく覚えていない。
次第に、しんしんと雪が降ってきたことにも気が付かず。
ようやく辿り着いた家は暗く、暖房も入れていなかったため寒いのだろう。そんな家の中で1人、ため息をつく。
その吐き出した ため息は、呆れや諦めのものとは違って、言いようのない喪失感によるものだった。
一言で言うと、心が痛かった。
可笑しいな、俺、痛みなんて感じられないはずなのに。
どうして…
shk「 …っ、ぅ”〜、ッずび、ぁう、っ( 泣 」
浮気をされたのだろうか。この文章が、頭を巡る。
…頭の中には、ずっとbrがいて。
今だって、忘れられない。ずっと、思っていたい。
俺はbrに助けられてばっかりで、何もしてやれなかった。だからなのだろうか。遂に愛想を尽かされてしまったのか。
未だ混乱していて、それでいて冷静な俺の脳内は brを手放そうとしない。
こんな風に、惨めに泣き叫ぶ姿をbrが見たらどう思うだろうか。
shk「 …あ、…材料… 」
外からの寒さで紅く色付いた指先に、使おうと思っていた卵やココアパウダーが入った袋が触れる。
…もし、もし本当にbrが俺に愛想を尽かしてしまったのなら、これらを使う必要はなくなってしまう。
味覚の感じないbrに、少しでも喜んでほしかった。
俺が、brに救われたのと同じように。
ガチャッ。
扉が優しく開く。
br「 __ただいま〜、…って、shk、!? 」
その扉の先には、俺に驚くbrがいた。
br「 ど、どうしたの…?!shk?体調悪い…? 」
俺の肩を優しく さする。その手つきに、どんな感情を抱けば良いのか。
俺は、震えているだけかと錯覚するくらいに、首を小さく横に振った。
気持ちも、体も、俯いたまま。
br「 …疲れちゃった?一緒に休もうか、 」
shk「 ねぇ、br。 」
brの袖を、きゅっと掴む。
shk「 ねえ、brっ、!brにとっては、あの人が本命なの…?俺じゃ駄目なの、?あの女のひとのほうが…っ、ひぐ、( 泣 」
溢れ出る、弱音と泣き声。
俺は、ぐちゃぐちゃになった心をbrにぶつけてしまったことを後悔する暇も無いほど泣いていた。
br「 ちょっ、shk…!? 」
brは、あたふたと困惑しながら俺に近づく。
そして、俺に目線を合わせて…まっすぐな青い目を向けた。
br「 shk違うの。誤解だから… 」
一瞬、悲しそうな顔を見せた。
そう思った瞬間。
「 僕を信じて… 」
…時が止まったんじゃないか。それとも、時に取り残されたんじゃないか。そう考えた俺の 瞳孔が広がる。
__ぎゅっと、包み込まれる感覚に襲われていた。
不思議とその感覚は、心底 安心する、大好きな感覚だった。
shk「 brっ、…ぅあ、 」
やっと、状況を飲み込めた。
…俺よりも大きい体を持つbrの腕の中に、収められている。
「僕を信じて」。震えがかったその声色には、きっと俺が思っている以上の感情が詰め込まれているはずだ。
ごめん、ごめんねshkと続けるbrは、雫が頬を伝っていた。
br side .
まさか、まさか 僕はこんなにshkを追い詰めていたなんて。
誤解させてごめんね。不安にさせてごめんね。心配にさせて、泣かせて、ごめんね…
気づけば僕も泣いていた。だって、彼女に怖い思いをさせてしまうなんて…彼氏としてあり得ないことだから。
あの一面だけ見たshkからしたら、僕は最低だ。
浮気を疑われたって仕方ない。
抱きついているshkとの温もりに、溺れていた。
shk「 __br、?…もう、大丈夫だから、! 」
ばっと正気に戻った、僕とshk。
shkは僕の前に座り直し、あの女の人とはどういう関係なのかと聞いてきた。
長くなり過ぎたので分けます👍🏻
次で終わりです!!!!!!!!!
コメント
2件
やっぱり誤解系のやつだったか…… 続き楽しみにしてます!!