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✦ 同時に、純の夢でも同じ言葉がこぼれる
純の夢の中。
同じ森。
同じ光。
同じ影。
純も影を見つめながら、
同じように口を動かしていた。
「……どうして」
姫子と純が、
同じ言葉を、同じ瞬間に口にした。
ふたつの夢が、完全に重なった。
光が揺れ、
森が震えた。
きのこちゃんが姫子の腕を強く引いた。
「姫子ちゃん、下がって!」
「なんで……!」
「この先は、戻れなくなる!」
その言葉と同時に、
影が姫子の方へ一歩踏み出した。
光が弾ける。
姫子の視界が白く染まる。
そして──
森の最深部が現れた。
そこには、
一本の大きな木が立っていた。
幹に触れた瞬間、
姫子の胸の奥に、
誰かの記憶が流れ込んだ。
──純が、誰かの名前を呼ぼうとしてやめた瞬間。
──純が、誰かを見送って立ち尽くしていた背中。
──純が、言えなかった言葉を胸にしまい込んだ夜。
全部が、姫子の胸に流れ込んだ。
姫子は震える声でつぶやいた。
「……これ、全部……森川さんの……?」
きのこちゃんは静かに言った。
「姫子ちゃんが触れたんだよ。
森川さんの“心の森”に」
姫子は息を呑んだ。
「じゃあ……影は……」
「姫子ちゃんが、森川さんの夢に近づいた証だよ」
姫子の胸が強く脈打った。