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ローカルのお茶の間にヘッショ!映像をお届けしてしまいましたが、ドワーフ製の特注兜のおかげで私は今日も元気です。

部隊の指揮官さんは頭を抱えていますが、跳弾でも受けたのでしょうか?

何にせよカメラが回っているのでそろそろ立ち直った方が……


「日本国防衛軍対IFL(Invasion From Labyrinth)〇×方面部隊指揮官 国忠防人(くにただ さきもり)大佐です。まずは状況を確認させてもらいたい」


「はい。本日8時未明に翌亜流高校校庭にてゲート発生、通報する間もなくゲート周辺にデーモンタイプのモンスターが多数発生。

IFL発生と判断し、通報。直後に冒険者規定に基づきIFL防衛に自主参加、現在に至っています」


淡々と主観的な事実を述べる。するとレポーターさんが、


「〇×テレビの中継 三鈴(なかつぎ みすず)です。今の彼が言った事に間違いはありません。当局に撮影記録がありますので必要ならそちらの提出も検討させていただきます」


「なるほど。そちらは後で当局より要請があると思います。そして小野麗尾さん。先程の誤射の件は後日改めてお詫びをさせて頂きますが、まずは日本国防衛軍対IFL(Invasion From Labyrinth)〇×方面部隊指揮官として正式にE級冒険者小野麗尾 守さんに協力を要請させていただきます」


ここで中継さんが、


「ちょっと待ってください!IFL発生時の参加要請の対象はDランクからの……」


「規定は確かにそうなっています。ですが、緊急時の権限として当職には民間人への協力要請が認められています。

既に彼がここまで対応してくれた分の功績を認める為にも必要な措置です。ご理解をお願いいたします」


「中継さん、ありがとうございます。ですが、今最も被害を受けているのはウチの高校ですし、事態の早期収束の為にも協力を惜しむつもりはありません。と、言う訳であの糞ダンジョン叩き潰すのにドワーフ150人、黄泉戦人を30万人展開出来ますが、いつ頃突撃しますか?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。今30万人と言ったか!?」


「ええ近代戦装備のは流石に少数で、大半は古代~戦国時代の歩兵・騎馬武者中心ですし、ドワーフも中世重装歩兵と同レベルだと思いますが、デーモンタイプのモンスターであれば十分対応可能かと」


むしろ特効まである。黄泉戦人に日本神の加護(バフ)まで乗るしなぁ

ゲートから出てくるデーモン共の処理速度を見る限りだと全戦力投入しなくても行けるかもしれないが戦力の逐次投入は古今東西最大の悪手と言われているし、ここは初手全力で。


「なるほど、それは心強い。では、こちらの準備が整い次第、攻略を始めましょう。それまでの間、小野麗尾さんにはスタンピード時のダンジョンについてお教えしましょう」


そして教えられた情報を端的にまとめると、



・ダンジョンのボスを討伐するまでスタンピードは続く。

・出現するモンスターはボスの指揮・バフを受け、通常のダンジョンよりもモンスターが強くなる。

・ダンジョンのボスはモンスターの上位種が大半だが、極稀に名前持ちの悪魔や歴史に名を遺した人間がボスになっていることもある。

・人間ボスの場合は指揮能力が高い場合が多く、雑魚モンスターにも気を付けるべきであること。

等々……


「大体分かりました。いつも通りボスを討伐すればいいんですね?」


「うむ。おおよそ間違っていないが……最後に、倒したモンスターの魔石とドロップアイテムだが、基本的に倒した者の所有物となるが、回収はこちらの回収部隊が担当し、冒険者証の記録を元に後日再分配を行うので、現場での収集は控えて欲しい。まずはスタンピードを抑える事が最優先ですので。また、MP保管容器はこちらで用意しますので、MPはそちらに入っている分を使ってください。使用した分を後日請求等ありませんので、必要な分は必要なだけ使ってもらって構いませんが、個人用の保管容器に移し替えるのは横領の扱いになりますので、お辞めください。最後に、対スタンピードの協力参加ですが、こちらで算定した貢献度合いに応じて国から後日報酬が支払われますので、討伐には奮ってご参加いただければ」


全軍投入決定の瞬間である。MP問題をお国が解決してくれるのであれば、バフガン盛りの黄泉戦人を投入出来る。黄泉の国で駄弁っている(イザナギ除く)日本神の皆、オラ達に力を貸してくれ……!

毘沙門天の加護(ガチ)ぞある越後の龍率いる武田騎馬軍団とか、戦国・平安の時代を超えたガンダムタッグ(本田正信・源源為朝)

に鎌倉・三河武士団の頭ハッピーセットを付けて、ご一緒にポテトは如何ですかと言わんばかりにこれら全員の武器に火之迦具土神(カミゴロシ)の加護を乗せるとか若干やり過ぎ感は否定できない。

しかしこれでもさっきから出城から飛び降りてはモンスターの首を刈りまくる薩人マッスィーン共に比べればまだ大人しい方と思う俺は大分毒されているんだろうか。

そんな事を考えながらため息をついた俺の肩に後ろからトントンと指で叩かれたので振り返ると、カメラマンを引き連れて満面の笑みを浮かべた中継さんが。



「黄泉大毘売命さん。今度契約されるんでしたっけ?」


目が…目が笑っていない……!?


「えっと……その……」


「スタンピードが終わったらインタビューお願いしますね。勿論、ウチの独占で」


その眼光は鋭かった。


「アッ、ハイ……」


それ以外にどう答えろと。

ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

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